第17話

17話

<div name>萌え</div>


部屋は萌えで出来ている

壁はタペストリーで天井もタペストリー

幾たびのコミケを超えて腐敗


唯の一度の敗走も無く

唯の一度の病欠もない


かの者は常に独り

PCの前でニヤニヤと萌える

故に生涯に意味はなく

その体はきっと萌えで出来ていた



無言でベッドに転がりレウスは考え事をしていた

いつもならゲームにアニメに色々嗜んでいた頃であるが

ここのところ起きた一連の事件でいつも通りの日常を過ごすことに気分が乗らなかった


小学校からずっと一緒だった3人、琴木、はる、レキミ

その中のレキミが欠けてたまらない喪失感に襲われている


まだ生死はわからない、しかし、

最後のレキミを見て嫌な予想もしてしまう


出会ってからずっと琴木、はる、レウスを守り続けていたレキミ

いじめられていた時いつも体を張って助けてくれた



そう、いつも守られていたんだ


自分には何も力はなく、偏った知識だけ

先頭に切って戦うこともできない自分


一番の自分の自信のあるものといえば

今期のアニメと旬のゲームを逃さないこと


でもそれはなんと無力なのだろうと思ってしまう

友達がいなくなり、友達が苦しむ


そんなときに自分には何もできないのだろうか、、、?


ベッドから起きあがりスマホを取りまた寝っ転がる


いつも見ていたサイトをなんとなく開く

いつも話していたネットで知り合った友達から来ているメッセージ

起動していたゲーム


その全てが今は頭に入らない


レウス「、、、某、、、無力なり、、」


スマホを放り出し虚空を見つめる


どこかの英雄は戦いの果てに絶望を見たと言うが


今のレウスの場合は戦いにすら行くことなく絶望している


つまり戦えばいい


レウス「、、そうだ、、戦えばいいんだよね」


身を盾にして仲間を逃がしてくれたレキミを思い浮かべ

同時に今まで自分たちを守ってきたレキミを浮かべる

自分にもできる戦いがあるはずなんだ


今まで守られてきた、琴木に、はるに、レキミに


今からは自分が琴木を、はるを、仲間を守りたい

何ができるかはわからないが


レウス「あの二人は見ていて萌えるからな」


そう、あの二人のやり取りは見ていて大変、、、そう、、尊い


リア充爆発しろと思うが、あの二人は見ていて応援したくなるのだ


レウス「レキミ殿のいない間は拙者が守ろう、、」


これは聖戦っ、、、推しを守る戦いなのだ



そう、それでいいよね?


皆が笑って過ごせるように、

笑われてもいい

でも負けない


馬鹿だと言われてもいい

でも負けないんだ


騒がしくふざけあっていたレキミを思い出す

意味のわからないことを言ったり、騒いだり

騒ぎの中心にいつもいて、いつも道化を演じてたんだよね


目から何かが伝う


何ができるかはわからないが

それを見つけよう


あれやこれやと考えていたら一つ思いついたことがある


今問題の遺産の使い方だが


こんな現実味のない道具の使用方法なんて現実にないってこと



そうだよ


現実にないよこんなこと


ならば、、、(現実外)ならどうなんだろう


都市伝説、の類なら何かわかるんじゃないか?

過去に遺産を使う人もいたらしいし

自分たちを襲ってきたあの車も使っているのだし


そういうことに詳しいオタク友達に連絡を取ってみる


むしろ遺産を女体化したらどうだろう、、?

天使降臨すんじゃね?



、、、、いけない、暴走した


よくわからない妄想が入るが振り払い

色々と調べてみる


現実ではなく

オタクの世界だからわかるものもある

これがレウスの戦いだ




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