第14話

14話


<div name>大抵抗</div>



走り続ける車

抵抗するレキミを見て琴木はふと思い出していた

あの日からレキミははるを、そして琴木を守り続けている


馬鹿な事を言い周囲を和ませる

馬鹿をしているその時はいつも誰かが和ませなきゃいけない場なのだということを琴木は知っている


誰よりも気を使って

誰よりも強く

誰よりも、絆を大切にするレキミ


そしていつも無理をしている事も

琴木はまた知っていた



レキミ「八木さん!次のカーブであいつを崖に落とす!」


確か次のカーブは大きめの急カーブ

この勢いで突っ込めば危険だとは思うが、、、


レキミ「こっちがカーブ曲がって追ってくるあいつのタイヤに石投げつけてやる」



わかりやすく説明してくれるレキミ


八木「、、そういうことか、わかった、しっかりしがみついてくれよ」


レキミ「任せたぜ!」


猪突猛進に見えるレキミだが以外と色々考えている

このスピードで急カーブを曲がる途中に大きめのタイヤに乗り上がれば横転させることができる


しかし、、、このスピードでその大きい石をどうして掴むのか

掴めるのかがさっぱりわからない


琴木「、、レキミ!」


レキミ「??」


琴木「無茶は、、するなよ、、!」


それを聞き笑って返すレキミ


いつかレキミは言っていた

琴木とはるは家族のようなものだと


一緒に居る時間はレキミにとって

いなくなった家族そのものなんだと


思い出の中で


レキミ「俺は、お前たちを守るからな、守れなかった家族がいた、死ぬほど悔やんだ、でもお前たちをみてほっとけなかったんだ、、小さいくせに、弱いくせにかばい合って、助け合って、、、これからは、お前たちは俺の家族だ

だから俺は家族を今度こそ守る、だから安心しろよ」


そう言っていた


いつもそう、レキミは琴木に心配かけないように笑う

馬鹿なことを言い励ましてくれる

無茶だとしてもレキミは戦う


そんなレキミを今見ていることしかできない事

頼るしかできない事

悔しくて、苦しい




カーブがもうすぐ来る


ひときわ大きな石をレキミは両手で掴み、足で踏ん張っていた


はると海都とレウスがレキミを押さえている


レウス「レキミ殿!!任せましたぞ!」


はる「がんばって!!」


口々に応援するメンバー達



八木「、、、いくぞ!!!」



爆走する車体がカーブに入り、、、


傾く車内で琴木の声が響く


琴木「レキミ!いけぇぇぇぇぇ!!!!」


カーブが終わり、後続の恐怖そのものが姿を現し、、


レキミ「ぅ、、、おおおおおおおお!!!」


肩幅ぐらいの岩を死の象徴のタイヤめがけ放り投げる


象徴の少し手前に落ちた岩に象徴が乗り上げ

横転しそうに傾き


ガードレールを超え


崖から落ちる


崖といってもそんなに高くはないが

無事ですむはずがない高さ



沈黙のまま走る車で、、、


琴木「、、ぃ、、」


一同「いやったーーーーーー!!!」


騒ぐ一同、スピードを落とす車二台


レキミは落ちていった車を見つめたまま


レキミ「、、このまま逃げろ!!早く!!」


咆哮するレキミ


八木「、、同感だ、行くぞ!」


再び走り出す車と??を浮かべる面々


琴木「理解したっ、、、このまま一気に街まで逃げましょう!」


泉「、、わかったわ!」



はる「??やっつけたのににげるの?」


レキミ「、、崖から落ちたあいつは無事だ、崖から落ちた車が何も反応していない」


そうなのだ、あれだけ派手に落ちたのだから大破しているならば漏れたガソリンに引火しても不思議ではない


時間差はあるだろうが、泉さんとの話でもあった遺産はどうやっても破壊できないということ


そして


運転手、所有者の安全を(決定)しているかもしれない


遺産についてはわからないことだらけだが楽観視している場合でもない


レキミ「、、いてて、」

はる「大丈夫、、?」

琴木「、、怪我、、したのか?」

レキミ「たいしたことねぇよ、、」



危険が一旦去り走る車


皆が無事でほんとうに良かったと思う


林道を走り

車は街へ向かう


琴木「ともかく街についたら車を置いて一度あつまっっ、、、!」


途端に激しい衝撃が走り言葉を遮る


八木「、、やつだ!!!」


衝撃は死の象徴が横ばいにぶつかってきたものだった


八木「、、、車が動かない!!」


泉「、、、私の車に早く!!」


訳がわからないまま車外に出ることを促される


八木「皆!早く泉さんの車に!」


レキミ「、、、、」


一早く車外に出て(象徴)を睨みつけるレキミ


一同が泉さんの車に避難している間、

レキミが放たれた獣のように(象徴)に向け疾走し

車体を持ち上げる


レキミ「うぉぉぉぉっっ!!!行けー!!琴木ぃぃぃ!!!」



琴木「馬鹿っ、、、!レキミも早くこい!!!」

はる「レキミちゃん!!!」


残ろうとするレキミ


レウス「レキミ殿ぉ、、、」

海都「、、ばかやろう!!!!」



(象徴)が走ろうとするが持ち上げられた前方の車体のタイヤが空回りする



前輪駆動、、、なのか


いくらアクセルを踏んでも進まない(象徴)

持ち上げた車体でタイヤが動き続ける


琴木「早くっ!早くぅ!!!!」


それしか言えなかった

頭ではわかっている

やつから逃げきるためにはそうする方がいいのかもしれない、、が



はる「だめだよっ!!レキミちゃんもはやく!!」


悲鳴を上げるかのように(象徴)のタイヤが唸る


八木「、、、こんな、、こんなことって、、、」





レキミは(象徴)の運転手を睨みつけながら

レキミ「、、、、ここからはいかせねぇよぉ、、、、

よその家庭に踏み入るんじゃねぇよ

ここから先はっっ、、、、、


俺の家庭だぁぁぁぁぁ!!!!」



八木が琴木の肩を引く


八木「、、、、、行こう、、、」


琴木「ダメです!!レキミが!レキミがぁぁ!!!!」


叫ぶはると琴木を無理やり引き車に詰め込むが、、

抵抗する琴木とはるに八木が




八木、、「、、生きなきゃ、、、生きなきゃいけないんだよっ!!!残された奴がっ、、、


行くしかっっ、、、ないんだよっっ!!!」



声を荒げて琴木とはるを車内に押し込めて、、


八木「泉さん言ってください!早くっ!!」


泉「、、わかったわ、、、」


車は発進しスピードをあげて消えていく



唸るタイヤ、エンジンの音、

車体を掴む指先が血に滲む



???「素敵だぁねぇ、、

仲間を逃がすために、自ら殿(しんがり)を務める少年よ

大切な仲間だもんねぇ、、

だけどね

だけどもだけどねぇ、、、

(車内)は危険なんだよぅ???


ワタァシ以外のぉ、、、生物の侵入を除外スルコトを決定するっっ」



レキミ「、、、?、、、!!!うわぁぁぁぁあっっっ!!!」


落ちる車体、掴んでいた指先が


なくなっている、、、、



???「、、、そーーーう、(車内)は危険だぁよぉぉ、、?

掴んでいた指先も、(車内)だーよねぇぇ??」


車体が落ち





空を切るタイヤは地面に接地し




レキミを引きずり、押し込み


レキミごと木に激突する


レキミ「、、ごふっ、、、、」

・・・



??「、、徒花も咲かなかったかぁーーな?

無駄花だったかぁーーーね


何も変えれはしなぁーぃよ

これが世界だからーぁね」


最後に


最後に



琴木とはるを思い出して



レキミは楽しかったと心から



笑えた


レキミ「ありがとうな、、琴木、はる、、」














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