第13話

13話

<div name>レミキ2</div>


???「尊ー?手は洗ったの?」


レミキ「洗ったぜーーーー!」


出されたスイカにかぶりつく

???「お兄ちゃんのやつおおきい!」


妹がキラキラした眼差しで見てくる


???「にいちゃん後から来たのにずるい!」


弟が騒ぎ立てる


???「いっぱいあるから喧嘩しないで」


笑いながらお父さんが兄弟をなだめる


どこにもある幸せな家庭がそこにあった



仲の良い父と母

喧嘩はする、だけど仲の良い長兄の尊、二男の志谷、三女の美夏

日々は柔らかく過ぎて行く


長男である尊は面倒見が良く、弟、妹が大好きだった

生まれつき体が大きく、運動も出来る尊は志谷がいじめられれば助けに行くし

家の力仕事も進んで行う


暦尾尊

同年代の誰よりも強く、子供達の中ではいつもガキ大将のようなもので

誰より優しく

兄弟から頼られ

両親からたくさんの愛情を受けていた少年時代


レキミ「いってきまぁーす!」

いつものように学校が終わりランドセルを家に放り込み

いつもの遊び場に向かう

今日はいつもの仲間達が全員揃うのでいつもより楽しいことができるはず


母「遅くなっちゃあダメだからね」


レキミ「大丈夫!」


そう言い放ち駆け足で広場へ向かう

早く遊びたいと思うだけで全速力で向かう

子供の原動力は単純なモノである

広場へ他取り付く頃にはちょうどいいぐらいに体がほぐれている


男子ばかり集まり何をしようか話しながら何かが始まる

毎日が新しいワクワクの日々である

今日もそんな日になるはずだった


レキミが広場で遊んでいると、突然爆発音が鳴り響いた

子供A「、、、なんだ、、?」

子供B「あれ、暦尾の家の方じゃないか?」


不穏な不安な予感がレキミを襲う

レキミ「ちょっといってくる!」

レキミは走った

何が待つか分からない、だけど走らなくちゃいけない

そんな気がした


ワクワクに包まれて先刻通った道も今は不安しか感じない

最後の角を曲がると


大好きな家が、崩壊し炎に包まれていた


周りは野次馬に包まれ騒がしい

立ち上がる炎が肌を焼く

状況を飲み込めずただ呆然とレキミは立ちすくむ


??「尊ちゃんかい?よかった無事なんだね、、」

近所のお婆さんが声をかけてくる


??「お母さんは?皆は無事なのかい?」


その言葉を聞いて

レキミ「、、、、!!!」


レキミの中でなにかが弾けた

レキミ「母さんは、、!家にいた、、!妹も、志谷も!!!」


炎に飛び込もうとするレキミを大人が抑える


レキミ「はなせよぉぉ、、!母さんが、、!」

お婆ちゃん「だめだよ!」


いかにレキミと雖も大人数人がかりで抑えられると動けない


レキミ「、、志谷がっっ!実夏っっ!!」


助けたい

あの日々を失いたくない

母を、父を、弟を、妹を

守りたい、俺が守ってやらなきゃいけないんだ!


遠くからサイレンの音がなり


ひときわ大きな破壊音とともに

家が崩れて行く


レキミ「、、、、!、、、、、」


声にならない声をあげるが連鎖する崩壊は止まらない


そこからはほとんど覚えていない

ただ周囲の大人たちが慌ただしく動き

一人病院の椅子に座り待っていた


守るべき家族は全て崩壊した


親戚のおじさんが自分を連れて行き新しい家で過ごすことになった


時折、思い出す

家族で過ごした時間を


それからレキミは荒れた

言葉を話すことも少なくなり

周囲の同世代からも恐怖の象徴と呼ばれた


もともと力は強く、負けることなどなかった


家族を守る力はただの暴力になっていった


??「聞いた?暦尾君がまた。。」

??「近寄らない方がいいよ」


そう噂されるのもすぐだった

親戚に預けられ今までの学校も変わったこともある


レキミ「俺に近づくなぁぁぁぁ!!!!!」

今日も声をかけてきた同学年のグループと揉めていた


理由はなんでもいい

ただ、力の行く先を求める行為だったのかもしれない


相手は誰でも良かったが自分より弱いものは相手にしなかった


弱い相手が目の前に立たれると愛した弟と妹が頭をよぎる


守りたかった、しかしもうこの世界にはいない

その時に行き場のなくなった思いを晴らすように強い者へ力を振るう


レキミの戦う理由は誰にもわからず理解もされない

誰かに理解されることも、もうレキミは諦めていた


ただ行き場のなくなった力をどうしていいかわからずに暴れる毎日だった


そんなある日


いじめというものか

外人のような容姿の少年を集団で囲んでいるのをレキミは視界に入れた

少年は怯え、なすがままにされている


気分が悪くなる

不愉快だ


何も言わず近づき

いじめていた集団のなかの一人を蹴り飛ばす

集団はいきなりの出来事に混乱する


???「お、おまえは、、!」


レキミは有名だった


??「お、おぼえてろよ!」


聞いたことのあるような言葉を残し集団は去る

残されたのはいじめられていた外人のような少年だけ


??「・・あ、ありがとう、、」


お礼も言葉を聞き終わるより早くレキミは去る

ただのいつものこと

この時はそう思っていた


翌日、レキミの前に二人が現れた


はる「いつむー!はやくいこうよ!」

琴木「急がなくてもまだまにあうだろ」


二人を見て

妹と弟が浮かんだ


遠いあの日、家族で過ごした日々


レミキ「、、、な、なぁ、、、」


言葉が出た

手を伸ばした


だけど届かない

何も届かない



離れて行く二人


無くした家族と同じように届かなくなる


そうしてまた一人になる


それからのレキミは通りすがりだった二人が気になっていた

暴れまわった時に二人の情報を集めてみたり

行動に少し変化が出た


懐かしい思い出にすがる行為だったのかもしれない


クラスは違うが同学年の二人

琴木逸

美納春

の二人だとわかったが、話しかけにいけなかった


そんなある日


いつものように一人であるいていると騒ぎが起きていた



??「喧嘩だってよ、、!」


通りすがりにそんなことを耳にする

暴れる先がまたできたかと騒ぎの中心に向かうとそこで


美納春がいじめっ子の大原に立ち向かっていた

体格も違う

小さな存在の美納春が

琴木逸を守ろうと立ち向かっていた


レキミ「ばかやろう、、、」


妹の姿が映る


レキミ「無茶だろう、、、、無茶するなよっっ」


体が動いていた


体格の大き大原を蹴り飛ばし乱入する


守りたかった

小さい子の二人を


守りたかったんだ

あの頃の思いを


大原「お、おぼえてろよ!」



投げゼリフを吐き大原が去る


この時交わした言葉はあまり覚えていない

ただ、

家族を守りたかった自分自身のあの頃と

琴木を守ろうとするはるを重ねて

思わず出た言葉が

レキミ「ま、守りたかったからさ、、」


という言葉だった


この二人を守ろう

無茶ばかりしてみてられないからさ

恥ずかしいから

馬鹿のフリでいい

馬鹿していよう

俺は子供だからな

あの頃と変わらない

こいつらの前では変わらないでいいんだ

俺が守るからな


レキミのこの時思い出した家族は皆笑っていた










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