第12話

12話

<div name>レミキ</div>



はる「こときくん!あのね!」


休憩時間にはなしかけてくるはる


一緒に帰ってから以降よく話しかけに来る周囲の目などしったことかという意気込みすら感じる気もする(多分何も考えてないんだろうが)


しかし9歳にもなれば周囲の視線が痛いってものだレイディ

変な噂もされるのさセニョール


なんていうか、、変わり者扱いだけなら別に何も思わないが

色恋の噂が立つと変に緊張する


レウス「こときくんー」


そんなときこいつが救いではある


3人で遊んでいればならば色恋もないはず


そんなこんなでいつもこの3人で遊んでいた


レウスとはいつもゲームを漫画をよんで遊んでいたがはるは興味ないみたいなのだがいつも一緒にゲームに混ざろうとしてきたり同じ漫画読んだりしていた


自宅に戻り夜になれば両親の喧嘩が始まる

そんな日々に学校での友達は本当に救いであった


そんなある日、いつもの通りに母がお酒を飲み帰ってくる

そして父と喧嘩を始めて、琴木は怯え、布団に隠れる

破砕音、狂気の声

感覚が麻痺しそうで、慣れることのない状況


だが、その日は違った、


静かになった


琴木は恐る恐る部屋を覗き込むと


父が腹部を抑え辺り一面の血の海だった

母が言葉を無くしどうしていいかもわからずに座り込んでいる


惨状を見て理解するまで少し時間がかかった


父が吐血していた


母のところへ行き

琴木「おかあさん!救急車よんで!」


母は意識を取り戻し電話に向かい走る

琴木は父の元に残り

父の血にまみれた手を握り

涙を流し

琴木「大丈夫だから!だいじょうぶだから!」


根拠もなくただそう言った

父は琴木に視線を写し

笑顔を向けそのまま意識を失った


緊急手術になり

母と琴木は誰もいない病院で手術が終わるのを待つ

泣いてばかりの母を見て大丈夫だからと声をかけていたが

琴木も不安だった


やがて手術が終わり

部屋に移動し倒れたままの父がいた


琴木は父のもとへ走り寄り

手を握る


その手はとても冷たくて

温めなきゃいけないと必死で大きな手を握っていた


母は後ろで先生と話をしている

また泣き出す母


琴木はお父さんの優しい笑顔が大好きだった

どんなに険しい状況でも自分を見て微笑んでくれるお父さん


お酒をのんで暴れる母を抑えるお父さん

いつも琴木のことを愛してくれていたお父さん


冷たい手は温まることなく

必死で握りしめても暖かくならない


泣いていた母が琴木を抱きしめて

ごめんねごめんねと繰り返す


繋いだ手を離すことなく朝を迎え


もう笑顔を見ることはないんだと琴木は理解した



運命だというのが口癖だった


これも運命なのだろう


それから母はより一層お酒に逃げた


琴木は自分で生きることを覚えていった


父が消えた日からほんのわずかな時間が立ち




母が倒れた




母は病院暮らしになり

琴木は一人で広い家に住んでいた

親戚のおばちゃんが時々世話をしてにきてくれるのだが


琴木は嫌だった


喧嘩をしていても

父と母と手を繋ぎ歩いたのを琴木は忘れたくなかったから

誰かが入ってきたらそれが崩れる気がして


入院した母はみるみる間に痩せこけていき

「いつむ、、お前にはなにもしてあげれなかったね、、ごめんね、、おかあさんがいなくなってもお金がはいるからね、

親戚のおばちゃんに任せたら大丈夫だからね」



琴木「お金なんていらないよ、だからよくなって、、」

母の手を握った


母は優しく笑い


そのまま眠った


ずっとずっと母の手を握っていた


琴木「運命だから、、、これが自分の」


変えれない、帰れない運命



夜空を見上げて

母と父と手を繋ぎ歩く

3人は笑顔で

幸せしかなくて

ずっと続けばいいと願った




母が死んでから色々親戚のおばちゃんがしてくれていた

していた


母が残した琴木のためのお金


それは

大人の餌のようなもの

餌があるから食う

それだけだ

琴木にはそれぐらいわかっていた


それがほしくて自分の面倒見ようとしたことも


琴木は一人であった


これも運命だと思えば笑えた


誰も家には入れないようにしていた

3人の家なんだから


喧嘩もなくやっと静かになったんだから

これからはきっと静かに笑顔だけで暮らせる

そう思うと楽になれた



???「こときくーーん!」


聞き慣れた声が聞こえてくる

となりのはるだ


自分の部屋とはるの部屋はちょうど向かいになっていて窓を開ければすぐに見える位置にある


窓を開けるとやはりはるが叫んでいた



はる「あそぼー!!」



窓を閉めた


ベッドに戻りも一度寝ようとしたら

階下からドアの叩く音がする


??「こときくーん!」


こちらも聴き慣れた声がする


階下に降りてドアを開けると

レウスだった


レウス「殿中でござる!」



ドアを閉めた


もう意味がわからないので部屋に戻ったら



はる「遊びに来た!」


琴木「うわっっつ!!!」


マジでビビる


琴木「どこから入ってきたんだよ!」


はる「窓から!」


無茶苦茶である。。



レウス「こときくん!」


琴木「!!!!!」


レウス「あそぼ!」


琴木「はぁ。。。。」


ため息をつくも。。

なんだろうか少し救われた気がした


また3人で遊んで、今まで通りとはいかないけど

楽しくて、笑った


日が暮れレウスは帰りはるも帰り

また一人で過ごそうとしていた時にドアが叩かれた


誰だろうか、、?と考えていた矢先に

はる「こときくんーあけてー」


はるだった


ドアを開けるとはると、大人が一人立っていた


琴木「、、?、、どうも」


??「いつもはると遊んでくれてありがとうね」


どうやらはるのお母さんのようで

しばらくはるの家にご飯食べにおいでとお誘いだった


いつもなら断るのだが

この時は弱っていたのか、お邪魔することになり

はるとはるのお母さんと自分で食事をした

3人での食事は本当に久々で


どうしていいか分からなくなる


はるの母「家だとおもっていいからね、色々あっただろうけど何も気にしなくていいから、なんか息子ができた気分だね」


はる「家族だーーー!」


はるの母「いつむ君だったね、これからはいつむ君って呼ぼうかしらね」

はる「はるもーー!いつむ!」


賑やかで騒がしくて、でもそれも少し心地よかった


それからは食事のたびにはるが呼びにきて

ご馳走になる日々だった


学校に行くのも再開して

いつもの日々がまた戻りつつあったそんなある日


レウス「そういえば今日ははるちゃんはこないんだね」

琴木「そういえばそうだな、、」

休憩時間にいつもレウスとはるが遊びにくるのだが今日は姿を見せない

まぁ、女の子の仲もあるだろう

と考えていたら

レウス「あ、はるちゃん」

少し向こうに元気のないはるがいた


レウス「なにかあったのかな、、?」


気になったので話に行ってみる


琴木「おーいはる」

はる「、、あ、いつむ」


どこか元気のない様子である

琴木「なんかあったのか?」

はる「えとね、、、、大原君がね、、、」

琴木「誰だそれ、、?」


そんな人間いたっけか、、、


はる「ほら、体の大きい」

琴木「あぁー!あいつか」


レウスをいつもいじめてくるあいつか


はる「うん、、実はね大原君に、、、好きだっていわれて、、」

琴木「、、お、おう、、、」


はる「もちろん断ったんだよっ!、、、だけど、、」


あのいじめっ子のことだ、、何かしてきたりしそうだなと危惧しているみたいだった


琴木「、、まぁなんとかなるだろ、きにするなよ」

はる「、、、うん、、」


はるはその日1日元気なかったが

次の日に危惧していたことが起きた


いつもの通り、レウスとはるが来て話していると


大原「琴木まだ外人と仲良しごっこしてるのかぁ?」


いじめっ子Aこと大原君が因縁をつけてきたのだ


琴木「別にいいだろ、ほっとけよ暇人」


大原「な、、なんだよ、俺しってるからな、お前親にすてられたんだろう?」


琴木「、、っっ、、」


絶句した

怒りでもない、呆れでもない

言葉が出てこない感情


はる「ちがうよ!いつむは!そんなんじゃないよ!」


大原「美納さんもこいつといるのやめなよ、こいつの親は危ないんだぜ」


はる「、、!ちがうよ!」


ノイズが走る

頭の中はノイズに支配される

危険な兆候だ


感情が湧かない

目の前の人の形をした(モノ)はなんなんだ?

ノイズが走る


はるが人の形をしたモノに摑みかかりにいく


それはいけない

いけないことだ

アイツは

はるだけは守らなきゃいけない

大切な家族なんだから


はるの笑顔が思い浮かんでくる


ノイズが晴れていく


琴木「やめろ!」

はるを引き剥がし、庇う


大原「、、お前ほんとむかつくなぁ!」


体格の違いもある

当然相手の方が強いだろうし

倍ちかくもある相手にどうしようもなく


ただ、はるだけは守らなきゃいけない

そう体が動いたんだ


はる「いつむ!」


殴りかかってくる大原だが

はるを抱きかかえている状態で躱せない


ゴッッッッ


鈍く世界が揺れる後頭部あたりを殴られたみたいで

じわじわと痛みが広がる


大原「なんとか言えよ!」


さらに追撃してくる大原


はる「いつむ!にげてぇ!」


琴木「ダメだ!、、はるは俺が守るから」


何度も殴りかかられる


早く誰か先生呼ぶとかしろよ、、


そう思いつつはるをかばいながら身を守る


が、そろそろ辛くなってきた

その時


??「お前、なにしてんだよ」


体の大きな大原が吹き飛ぶ

琴木「???」


自分より少し背の高い男の子が大原を吹き飛ばした


大原「て、てめぇ!おぼえてろよ!」


前も言ってたセリフを繰り返す大原君

小物感すごいな、、、



琴木「、、ありがとう」


始めてみる男の子に礼を告げる

こっちが覚えてないだけかもしれないが


はる「いつむ、、大丈夫、、?」


琴木「まぁ、、少し痛むけど大丈夫だと思う」


???「怪我とかないか?」


琴木「、あぁ、、君は?」


??「俺は暦尾尊、そろそろ休憩時間終わるから、また下校時間にくるわ」



そう言い放ち暦尾は去っていった


下校時間になると暦尾は姿を表し一緒に帰ることにした


琴木「何で助けてくれたんだ?」


疑問に思っていたことを聞く


暦尾「あー、、琴木も親いないんだってな、俺もいないからさ、、なんていうか、、、守ろうと思ったんだよ」


少し照れながらそう話す


琴木「、、そうか、、」


守られるというのはむず痒いもんで、、


琴木「、、ありがと」


素直に礼をいっておくことにした


はる「いつむをまもってくれてありがとう!」


暦尾「おう!これからはなんでもいえよ!」


はる「うん!ありがとう!レミキくん!」


暦尾「れみき?」


はる「うん!呼びやすいなぁっておもって」


レミキ「そうか!ならそれでいい!」


それがレミキとの出会いだった

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