第7話

7話

<div name>開戦</div>


探しものは以外なところにあったりするもので

探していた時は苦労して探していても

見つかれば呆気なく


不思議だなといつも思う


今回もそれの類いなんだろうが



赤髪の女が先導して入ったビルの1室

扉を開ければ



海都がいた


拘束されるわけでもなく

意識がないわけでもなく

ただ開いた扉を見つめ

視線をこちらに移し


海都「琴木?」


琴木「!海都、、、!」


赤髪「とりあえず中に入ってくれ、あまり外で騒ぎたくない」


八木、レミキ、襲って来た男と続いて入る


赤髪「とりあえず海都さんは無事だ、少し話したいことがある」


八木と顔を見合わせ頷く


赤髪「適当に座ってくれ」


海都の近くに座り

琴木「はるが心配してたぞ」


海都「、、うん、、」


恥ずかしそうに答える海都


赤髪「私の名前は遊離(ゆうり)、まず一つ聞きたいんだが、君たちは今(遺産)を持っているか?」


琴木「名前は知らないが、、これのことか?」

手元から球体を出す


遊離「それだ、君が選ばれたんだな、、君は遺産を起動させたか?」


琴木「何度か動いた?感じはする」


遊離「やはりそうか、、、ならもうこちら側だな、、」


琴木「こちら側?」


遊離「単刀直入に言うが、協力してほしい、私が知ってることは全部話す」


八木「返事は話しを聴いてからになるが?」


八木さんが割って入る


遊離「構わない」


八木「じゃあ話してくれ」


そうして遊離は話し始めた


遊離「まずは、、海都さんをさらった理由は、守る為だ」


琴木「??」


いきなりわけがわからない


遊離「まぁ聞け、私は海都さんが好きだ」


琴木「、、は?」


レミキ「、、えっ、、?」


八木「、、んあ?」


3人揃って?になる


遊離「いや、、その、、そう言う意味じゃなくて、、、ファンというかなんというか、、」


八木「、、あぁ、、、確かいろんなイベントで海都ちゃんに握手してもらったり写真撮って嬉しそうにしていたな」


遊離「!!!、、、」


照れてしまう遊離


琴木「、、なんか萌える、、、」


海都「ちょっ、、、」


話が進まない


遊離「ともかく!海都さんは危ないんだ」


八木「危ない?」


仕切り直して話を進める


遊離「まず、私たちは組織の人間だ」


琴木「UNITか?」


遊離「、、それは違う、UNITは実行部隊の呼び名だ」


八木「なら何の目的がある組織なんだ?」


遊離「それは詳しくは分からない、自分たち実行部隊に知らされるのは一部だけのことなんだ」


八木「分からないって自分の組織だろ」


遊離「まぁ聞いてくれ、私の組織の狙うものは、その遺産だ、その遺産を使える可能性のある、周囲に影響力の大きい人物、それが狙われる対象だ」


琴木「人気レイヤーだからか、、?」


海都が恥ずかしそうにしている、、、


遊離「それだ、そして狙われた人物は、、、消される」


八木、琴木、レミキ「、、!!」


驚愕する


琴木「消されるって、、」


遊離「命がなくなる」


身も蓋もなく告げる遊離


遊離「過去にも何人も消されている、消されなかった人間がいるのかもしれないが、存在は消されている」


八木「それで海都ちゃんをかくまったってことか?」


遊離「そうだ、、」


レミキ「警察とか言ったほうがいいんじゃね?」


遊離「警察、公的機関は無理だ、全て組織の手の内なんだ」


琴木「手の内って、、、」


八木「、、、、見える事だけが全てじゃないからね、、、」


何かを思い出すように八木が言う


無茶苦茶な話になってきた


遊離「組織はあらゆるメディア、情報を操作できるんだ、警察に逃げ込んでも、なかったことにされるだけだ」


琴木「そんなのどうにも出来ないだろ、話が大きすぎる、、」


遊離「、、そうだと思う、だからこそ、その(遺産)にかけてみたいんだ、奴らが執拗に求める遺産、それこそが何かの切り札になると思う」


八木「遺産を使える人間を消したいってことは、、何かしら組織にとって都合が悪いって事、、か」


遊離「そうだ、具体的なことは分からないが、実際、遺産を使えたあんたらなら何か分からないのか?」


話しても良いかと一瞬悩んだが起動した時の事を自分の考えを含めて話してみる


遊離「つまり、、予知夢?みたいなものか?」


琴木「なんか、、分かるんだよ、対象がどう決まるのかは分からないが、何かについて、分かるんだ、わからないことだらけであやふやにしか答えれないが、、」


海都がさらわれた時の事が(見えた)事を説明する


万物が分かるのであれば凄いとは思うが、、、


琴木「あと、バッテリーか何かが切れかけてるみたいなんだ」


遊離「バッテリーか、、」


遊離は少し考え込むような素振りを見せ


遊離「前に一度聞いたことがある、遺産は魂を利用して起動するとか、それがバッテリーなのかもしれないな」

                                                                                                                                 琴木「なんか壮大になってきたな、、」


魂を使い起動って、、、

琴木「寿命が縮むとか、、か?」


遊離「周囲の魂を使う?とは聞いたが詳しくは分からない、遺産に関してunitに知らされることはほとんどなく、ただ、実行する命令を下されるだけなんだ」


琴木「この遺産ってものは他にもいくつもあるのか?」


さっきからの疑問点を質問してみる


遊離「あぁ、世界中にいくつか確認されている、起動させた人物はほぼ存在していないが」


ゾッとする


琴木「そもそも、この遺産はなんなんだ?」


なんかすごい力を持ったモノ?という認識ではいるが、イマイチわからない


(分かる)という事もおぼろげ過ぎてよくわからない


遊離「私も色々と調べてたんだが、太古の人類の残したモノ、ってことはわかった、何に使うのか、なぜ作られたのかは分からないが」


レミキ「そもそもそれは誰でも使えるのか?」


そういえばレミキいたんだな。。

忘れてた。。。


遊離「使える人間は限られている、遺産が選ぶみたいだ」


琴木「選ばれちゃったのか。。。」


世の中上手くいかないものである


遊離「ともかく、ずっと私はunitとして活動していたんだが、ウンザリなんだ。。」


八木「それでもアンタは何人も攫い、時には(消して)来たんだろう?

虫が良過ぎないか?」


怒り?をあらわに八木が発言する


遊離「私は実行部隊だが、私が実際に消すことはしてないさ、今回は私がさらったが。。

他にもunitは存在する、機械のように(実行)する奴らもいる、、

幸いノルマはないんでね、私と(そこ)のは上手く避けてたのさ」


無言を貫いていた(男)を指し遊離は言った


遊離「そもそも組織の指示もよく分からないしな」


八木「じゃあなぜ所属している?アンタのワガママに付き合うほど俺たちは暇でもないんだが?」


八木さん。。ちょっと怒ってる。。?


遊離「色々と。。あるのさ。。」


少し遠い目をする遊離


少し沈黙が訪れた



琴木「つまり、遊離さんは組織に嫌気がさした、海都を襲うように指示されたが襲ったように見せて保護したってことだね?

そして遺産の力を利用して海都を救いたい、そういうこと?」


遊離「海都さんを救いたいのもあるが、出来ればこのドス黒い世界から抜け出したいと思っている」



八木「それは分かったが、もう少し聞きたいことがある、アンタが所属した理由だ、

正直俺は気に入らない、理由が納得のいかないモノならば、俺はアンタに協力はしない」


どんどん怒って来てる八木さん。。

温厚な人だと思ってたんだが。。


遊離「。。弟が組織の手の内にいたんだ、私がこの仕事をしなければ弟は死ぬ、ただそれだけさ」



琴木「。。」


学校に行って、ゲームして

そんな日々が遠い昔のように思えてくる


八木「そうだったのか。。

弟がいたってどういうことだ?」


遊離「そのままだ、今はもういないんだよ、この世のどこにも、、 」


八木「。。そうか。。すまんかった」


遊離「。。いや、いいさ、それが私の所属していた理由だ、そして所属する理由がもうない、アンタ達の力を借りて海都さんを救いたい協力して欲しい。。」



八木「。。分かった。俺は協力するよ、琴木くんはどうする?」



琴木「何ができるかは分からないけど、友達を救いたいとそう思う」


ここにはいない幼馴染がふと思い浮かぶ


レミキ「琴木がそういうなら俺はそれについて行くぜ」


いつもこの馬鹿に救われるんだよなぁ。。


遊離「。。ありがとう。。」

涙を浮かべ遊離が呟くように吐いた



いつもの日常は遠くへと

毎日見ていた常識は非常識へと変化して行く


大きな、大きな渦に飲まれて

なんとかなるかなぁと

琴木は思っていた




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