第4話

“戦争おつかれー“

“今回は勝ててよかったなー!“

“次は報酬戦場だし、『プロ』の方々も気合い入るだろうな“


戦争を終えて口々にそう述べる人達

■■も50回目の戦争を終えて、次はどんな戦争が来るのか思考に深けていた


“支援してくれた盗賊職、ここ!ってところで来てくれるから助かったよ“

“だよな、ああいったサポートしてくれる人なんてそうそういないし、凄いよな“


────それは僕のやったことだ


■■は言葉を発したが、届かなかった

■■は認めてもらいたかった

それか強くなる糧となるから



後ろから来る人にぶつかり、地面とキスをする


「っつぅ…、ハァ……ハァ……」


ぶつかった人はそれに気づかず、帰路へと歩みを進めていた


「僕は…1人なのか…」


声は出せるが、誰も耳を貸さない


「あと何回、戦えばいい…?」


疑問をぶつけるが、答えはない


「僕は…ひとりぼっちなのか…?」


問に関しての回答は存在しない


故に


「僕は…オバケなのか…な?は、ははは…」


■■は


──存在しても

──誰にも存在を認識できない




「亡霊とは、的を得ているな」


疑問に対する同情は得られたようだ


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「アアアッ!!」


勢いよく上体を起こし、周りを見る■■

バケツの水を被ったような顔、身体はベッドのシーツを濡らしていた



とあるマンションの、二階にある角部屋

そこに、■■が住んでいる


ベッドとパソコン、VRゴーグルだけ配置された1LDKは殺伐としていて無駄なものがなかった


ベッドから出て、洗面所で顔を洗う


鏡に映るは17歳を迎えた少年の青々しい顔つき


無垢な童顔が未だに抜けない顔つきの双眸は白く、瞳孔のみ黒く濁っていた


「目…まだ、白くなったままだな…」


■■はどういう訳か、VRを用いたゲームをすると目が白くなる


これは『F.war』を始めた当初から変わらず、しっかりと茶色があったものの、世界ランク一位にたどり着いた頃には完全に白くなっていた


病気かと両親は不安に思い、病院へと連れていくも、原因は不明と匙を投げた


だが、海外プレイヤーに受けたのかあだ名に“白眼の亡霊“と付けられた


不快に思うことはなく、むしろ貫禄があると思ったので否定はしなかった




だが、今や眼の原因さえも知っている


(試練を持つもの──)




──ドンドンドンッ!!


勢いよく叩かれた玄関ドアに、脊髄が驚愕する


未だ慣れないこのインターホンに、ため息がひとつ零れる


「…なんで“あいつ“はドア叩くんだ?」


インターホンを鳴らせばいいのに、というつぶやきも束の間、窓が割れる音がした


「こ、今度はなんだよ!?」


「ドア叩いても無反応だから!」


元気よく返答した少女の声は遠慮というものを知らないらしい


「はぁ……あのさ、インターホン鳴らせばいいの、わかる?」


「わかんない!さ、学校行こっか!」


「……“くそ天使“」


学校の制服を着た元気な少女の正体は、ガールズバー、前の戦争に参加していた“えんじえる“だった


「聞こえてるからね!?」


「他人と対面した時の、言葉少ないキャラはどこに行った…」


「あれはあれ!これはこれ!」


と、区別させる少女は、部屋に住む家主の姿を見る


「…なんで上半身裸なの?」


家主である少年は、ボサボサ頭に首から下げたネックレス


上半身裸に青のジーンズというラフな格好をしていた


「…何かあった時に動きやすい?」


「私に聞かないでよ…ほら!制服に着替えて!」


渋々と少年は着替え始める


白のワイシャツに腕を通し、ジーンズから学校制服用のズボンに履き替え、上着の制服を着込む


ワックスを手に塗りこみ、ボサボサ頭をオールバックにする


「いつも思うんだけどさ」


「…なんだよ」


「目つき悪いからオールバックにすると不良に見えるよ?」


「…背中に刺青入った、くそ天使に言われたくない」


「チャームポイントだし!」


「…はいはい」


学校側から用意された教材が入ったリュックを背負い、マンションの一室から出る


────ghost22、16歳


学校生活が今、始まる



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

とある教室では転入生の話題で持ち切りだ


どんな子が入ってくるのか

イケメン?

可愛い子?


男子と女子が半々に混同している教室では、ふたつの意見に別れていた


教室の横開きのドアが開く


入ってきた先生の後に続く男子一人と女子一人に歓声が上がる


後から続いた男子の方は黒のオールバックに、鋭い白い目つきで、小柄ではあるものの顔立ちが整っていたため女子には受けた


女子の方はこれまた背が低く、小学生と間違えられてもおかしくない童顔で、茶髪に猫目、眼の色の金は男子を虜にしていた



「静かにしろー!新たに転入してきた生徒を紹介するから、みんな仲良くするように」


1年生のいる教室で、ghost22とえんじえるが教壇に立つ


「では、お名前をお願いします」


「…」

「…」


必要では無い言葉を話さないghost22と、えんじえるにとって名を名乗る程ではない


「あの、え、えー…今回転入してきた、男の子の方は『乾拭からぶき はじめ』君だ」


もちろん偽名だ、元世界1位の時点で名前がバレている為、伏せているのが一つの理由だ


ghost22こと始は一礼する、宜しくもなしに


「女の子の方は…『とどろき 天使てんし』さん、ですね。みなさん仲良くするように!」


こちらも、もちろん偽名だが自己主張の強い、捻りのない名前である


えんじえること、天使は一礼も宜しくもなかった



「空いてる席は窓際になるが、授業中に居眠りしてもすぐにわかるからな2人とも!」


先生の言葉を聞き、席に移動し着席する2人


ざわついた教室内で、平然としている2人は適度に楽な姿勢をする


その事により先生は注意し始める


「あ、あのな乾拭…机に足を乗っけるのはダメだからな?」


注意され足を床に落とすghost22


ルールはきちんと守るghost22なのだ


それに対しえんじえるはというと、どこか落ち着きの無い様子でソワソワしている


「……くそ天使、じっとしてろ。目障りだ」


第一声が同じ転入してきた女子に対する暴言


これにより教室内にいる女生徒たちの評価は一気に下がる


ギャップもクソもない、見た目不良がそういう事言えば株価は暴落するものだ


「えぇー、いいじゃん。私こういうの初めてだもん」


えんじえるがそう言うと、思春期真っ只中の男子たちは意見が分かれた


かわいい

ちょっとワガママ?

垢抜けない幼さ

合法ロリ…


最後あたりは犯罪臭しかしないが、外から見た性格から興味有り無しが別れた


「まだザワついてるな…とりあえず連絡事項だがもうすぐ衣替えとなる、転入してきた2人には悪いが一週間後には上着を脱いでもらうからな」


時たま来る冷たい風は着込まなければ免れない、しかしクールビズを取り入れた社会にとって涼し気な格好は、社会に夏を呼び込む新たな発見となる



「あとは…最近だがとあるオンラインゲームで生徒たちを狙った事件が多発している、ゲームをするなとは言わないが…文武両道を心がけてマナーを守ったプレイをすれば事件は起きないと僕は踏んでいる、十分気をつけるように!いいな!」


事件の内容だけを述べ、対策すら提案しない先生は、それだけを言い残し教室から出ていった


結局、自分の身は自分で守れという典型的な先生という人物像の完成型が、ghost22の担任となった


────────────────────


ghost22は転入初日を終え、ため息を零していた


休憩時間や昼休みは、女子からの質問が絶えず飛び交ったのだ


ほとんどは無視したが、あまりにもひどい時は体に触れてくるなどをしてきたため、払い除けるなどをして株価を下げに下げまくった


「生徒間の…評価なんざどうでもよかったんだがな…対処方法でも考えとかないと」


そう呟き、部活動時間帯の校舎をひとり歩く


えんじえるは、表向きはghost22と同じ転入生を演技しているが、本来はghost22の監視役である


ghost22の視認できる周りにえんじえるは存在しなかったが、またどこかで見ていると思うと憂鬱になるghost22だった


そして今も、見られている感覚はあった


追跡方が下手なのだろう、素人のghost22でもわかるストーカー


足音、物音、そして謎のつぶやき


ボソボソとしたつぶやきの内容までは把握出来ないが、のは確かであった


声をかけようと思った矢先、ghost22は目的地につく


──『パソコン教室』


平時ではパソコンを用いた授業などで用いられているが、部活動時間になると『パソコン部』が『パソコン教室』を部活動に入り浸っている


こちらもまた横開きのドア


開き、教室内を見ると確認できた生徒が2名


1人は脂ののったテカテカとしたストレートに二重アゴのメガネ


1人は長い髪を、前後ろに垂らした女生徒


必死にパソコンに向かいつつも、ノートに殴り書きしているのが見える



「…すいません、部活動を見に来たものですが…」


ghost22は小さい声ながらも、2人に聞こえるように努力した


無意味だった

聞こえておらず、2人はパソコンとノートに面を向けている


一声はかけたと、ghost22はそう思いパソコン教室内を徘徊する


机1台にパソコン1台

それが計40


中々金を使い込んでるようで、パソコン自体もいいものが使われているのが見て取れた


メガネデブのパソコン画面を覗くghost22


ディスプレイには『F.war』のリプレイ動画が表示されており、ノートの方には気付いた点、反省点が書き並べられていた


10年も続いている『F.war』は、アップデートがない限り研究し尽くされている


なので、『プロ』レベルとなると自身の技術向上による研究が必要となる


生徒ふたりはリプレイ動画のそういった注意点、反省点を書き、自身の技術向上に励んでいたようだ


「ふぅ~…こちらは終わりましたぞ『さかき』女史!……ってうわぁ!だ、誰でござるか貴殿は!!」


典型的なござる口調を堪能したghost22は自己紹介する


「…あ、いえ、部活動を見学しに来た1年のゴー…乾拭というんですが…」


「そ、それなら一言声かけて欲しいものですな!まったく!!」



なぜか憤る脂メガネ

そして、榊と呼ばれた貞子の女生徒もまた顔を上げ、終わったことを報告しようとする


「部長、私の方も終わりました…今回の戦争、やはり森林地帯と高低差のある地形によって荒が目立ちます。海外プレイヤーたちの戦争の仕方を見比べても、動きがだいぶ劣ってます…“あんサラ隊長“に今回の件を報告して戦術の勉強を『ネグライア国』に勧めるよう促した方がいいかと思います……っ!キャァァァ!誰ですかあなた!!」


言うこと言ってghost22に気付く貞子は、悲鳴とともにghost22の紹介を待つ


「あ、えー…1年の乾拭っていいます…部活動の見学をしに来ました」


「一声かけて欲しいものです!!まったく!!」


“部長“と呼ばれた脂と同じ反応をされ、頭を抱えたくなるghost22



「…あ、お…自分はゲームしたくてこの部活動に申請しに来たんですけど…」


この言葉で、部長と貞子は別々の表情を見せた


部長は思いっきり嫌な顔をし、貞子は嬉々とした表情を見せた


「だ、だだだだだ大歓迎ですよ!ね!部長!!」


「いや!定員オーバーだ!帰ってもらおうかね!!」


──読めた


ghost22は理解した

部長はリアルハーレムを築きたいと


そして、交渉した


「…自分が入れば、女の子も自動的についてきますけど…、定員オーバーなら仕方ないですね」


ghost22は敢えてえんじえるの名を出さず、《女の子か着いてくる》と煽った


「な、なんですと!?むむむむむ!!」


悩んだ──えんじえるがこの男に惚れる訳が無いが、ハーレムを築きたいなら慾は言えないはずだ


もう一押しか、そう思い口を開こうとすると貞子に遮られらた


「部長!もういいじゃないですか!あなたの狙いはわかりませんけど、5on5まで期間無いですよ!」


────5on5


『F.war』には50人対50人の戦争の他に5人対5人による戦闘もある


5人の連携プレーが必須となる戦闘では、個人が強くとも数が減れば個人では対処出来なくなる


『プロ』レベル達が数を占める5人対5人は一人での無双など無理難題な話だ


故に、チームプレーが必要とされる


そういった要素を含めた大会が間近に迫っており、報酬目当てに武器や防具を狙うものは少なくない


貞子が言ったことが正しければ生徒ふたりは『ネグライア国』に所属しているようで、報酬となる防具はそれほどの価値なのだろうとghost22は予想した


「~~っ!!あーっ!もう!!乾拭君!はいこれ!」


いつの間に出したのか、部活申請書を提示してくる貞子こと榊


「ちょ、ちょっと勝手なことをしないでくれるかな榊女史!!」


「四の五の言ってる場合じゃないでしょう!!結果を出さなければ廃部ですよ!は・い・ぶ!!」


ゲームしてるだけで廃部を免れる学校側にも問題はあると思うのだが、ghost22は榊の指示に従い、申請書に名前と動機を記入していく


というより、部員が申請書を持ってることに疑問を持つghost22


そしてまぁいいかと腑に落とすghost22


「わ、わわ分かった!乾拭君は認める!宜しく頼むよ!!」


眼鏡脂は致し方なしといった表情で握手を求めてくる

ghost22は触りたくなかったようで、握手はし返さなかったが


「む、むぐぐ…まぁいい!乾拭君、『F.war』にいるキャラのレベルはいくつかね!」


「…45レベルです、最近…始めたばかりで…経験値ブーストアイテム使って到達しました」


嘘は言っていない


語弊を産みかねないが、再開し始めた、ということであって間違いではない


経験値ブーストアイテムも過去に使ったことがあるのでこれも正解だ


「ふん!まだプロになりたてか!僕なんかはプロになってから3年目だぞ!!立場をわきまえてもらおうかな!!」


妙に上から目線の部長に、ghost22は少し苛立つものの、先輩と後輩であることに変わりはない


「…はい、わかりまし────」


ghost22の言葉を遮るように、横開きのドアが前に吹っ飛ばされる


「こんなとこにいたっ!探したんだからね!?」


近づいてくる天使ことえんじえるに、耳打ちするように小声で愚痴るghost22


「…くそ天使…何遊んでやがった」


「…あ、遊んでない…よ?周りのものかつい気になっちゃってとかそんなんじゃないからね!?」


どうやら気になってフラついていたらしい


「ぶ、ぶ、ぶ、ふひぃぃぃいいい!!何ですかこの天使は!?」


部長が叫ぶ


一目見て天使とわかるところ部長は才能があるらしい


概念を見通す能力か──


「こ、このような天使のような女の子が着いてくるとは、やりますなぁ!」


天使というのは、ただの比喩だった

まぁ傍から見れば童顔とはいえ、子役に抜擢されそうな程の顔立ちだ


危ないお兄さんにハイエースされても何らおかしくはない


「あ…うぅ、っ!」


えんじえるは人見知りを発動させた


ghost22の後ろに隠れながらも部長を見ている



ghost22はゲームがしたい

しかし部活動には、絶対参加しなければならない


えんじえるが部長を毛嫌いし、入りたくないと言ってしまえば計画は頓挫し、ghost22はゲームが出来なくなる


ghost22はえんじえるに告げる


「くそ天使…おれはここで部活動をする、お前も入れ」


貞子こと榊に申請書をもらい、えんじえるに名前を書かせるよう指示したghost22


「え、い、いやだ…」


「…てめぇに拒否権はねぇ、それとも“あの“口約束はでまかせだったか?」


脅しをかけ、天使ことえんじえるは嫌々ながらも名前を書いた



ghost22とえんじえるには、とある約束がされている


──監視するにあたって、あなたにはどこまでもついて行く


こう言ったものではあるが、約束に近い契約により、えんじえるはghost22に付きまとわなければならなくなっていた


「……これは、どちらへ?」


「私があずか──」

「ぼ、僕が預かるよ!ふっひひ、あ、あとで顧問に渡しておくからね!」


榊の声をさえぎり、部長は直接えんじえるから紙を貰う


その際にえんじえるの手を、ベタベタと触れたところは見なかったことにしておくghost22


「うぇ…」

「柔らかぷにぷにすべすべの手……はぁはぁ…」


これが犯罪者予備軍と呼ばれる存在であれば、注意せざるを得ないのだが、ghost22にはゲームがしたいという揺るぎない意志があるのでえんじえるには餌となってもらうしかなかった


「天使ちゃん、っていうんだね!天使ちゃんは『F.war』のレベルはいくつかな!」


一挙一動が気持ち悪い部長の質問に、えんじえるは返答しなかった


「…あ、あー…天使さんはまだ卵で…」


「き、君には聞いていないなぁ乾拭君!」


じゃあどうやって知ろうとしたんだよこいつ

そんな目をしようとするが、部長の機嫌を損ねてしまうのは分が悪い


ghost22はえんじえるを前に突き出し、答えさせる


「え、えと…卵です、レベルは35ですけど…」


「ん~っ!いい!良いよォ!!35でもすぐに初心者にするからね!大会までには間に合わせるから!」


5人対5人の公式認定大会は、ghost22が記憶してる限りだと毎年2度、夏と冬に開催される


夏と言ってもコミケからはずらす為、日本鯖では8月1日を開催日にしている


衣替えが6月1日からなので、2ヶ月は猶予はあるものの、レベル上げをサボれば初心者への道は遠くなる


「そ、それじゃ、徹底的に扱いてあげるからね!僕に任せてふひひ」


こうして、榊を置いて部長権限の元、はれてghost22とえんじえるは部活動に入れた


────────────────────


さすがに初日からパソコン教室で部活動するには時間が足りなかったので、下校時間の予鈴がなるとghost22とえんじえるは帰宅した


「…なんでくそ天使が家に来る」


「ひま……監視対象の帰宅時による行動観察かな」


「つまり暇だってことだな?わかった帰れ」


ghost22は玄関先で蹴り飛ばそうとするも、謎の障壁によりえんじえる本体には当たらなかった


「…それ、学校行ってる時もやってたのか?」


「んーん?さすがにそれはまずいから解除してるよ」


「なら…俺も解除しろ」


「蹴ってくるのはghost22だけだもん、防衛策はやっておかないと!」


はぁ、とため息をひとつこぼしたghost22は、帰らないえんじえるを渋々家にあげた


「男の子の部屋ってワクワクするよね!」


「てめぇだけだ…飯作ってやるから食ったら帰れ」


「やった!ごちそうになりまーす!」


ghost22は猫用の餌を取りだし、皿に盛り付ける


「ほらよ」


「……ねぇこれさ」


「…俺は風呂入ってくるから大人しくしてろよ」


えんじえるの返答を聞かず、浴室へと向かったghost22


────────────────────


「……まだいたのか」


「私は猫じゃないもん!!」


「うるさい……隣近所に迷惑かかるだろ」


「隣と上の階と下の階は、誰もいなかったよね!?」


新しく出来たマンションということもあり、新居者は未だ少ない


「……ゲームするが、くそ天使はどうする?」


「添い寝する!」


「…くたばれ」


パソコンを起動し、ディスプレイに光が灯る


画面内ではメールが大量に届いており、ghost22の生死確認を求める内容で埋め尽くされていた


「はぁ…死んだら返せないだろ…」


メールを無視して、『F.war』を起動する


パソコンの起動に同期し、VRにも電源が入る



ベッドで横になり、VRを被ると視界を黒く染める



──どういう原理なのか、または『VR』を媒体に精神を別の世界に移しているのか





『お前たちのいる世界は偽りであり、本物に似せている』

『VRという言葉は便利だな、すぐにこちらへ干渉できる…もっと人が増えたら管理も楽なのだがな』

『…亡霊よ、わしの祈願のために…』


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