14 午後十時のささやかな幸せ
夜の帳がすっかり降りた後。
仕事を上がってごはんを食べて、諸々済ませばあっという間に午後十時くらい。
午後十時。
ここからが私のお楽しみの時間。
特に、今日みたいな明日になんの予定もない金曜日の十時は格別だ。
私はスマホを片手に、ビーズソファにゆったりと体を埋める。
傍らのローテーブルには、お取り寄せしたとっておきのクッキー缶とよく冷えたアイスティ。
もしくはちょっとつまめるものと、発泡酒なんて用意して。
のんびりできる姿勢で、配信され始めたばかりの気になる映画の画面を開く。
映画がない時は、好きな音楽を聴くのだって良い。
何しろ、どんなことをしたって良いのだ。
素敵なリラックスタイム。
ひとりの部屋でのひとりの時間。
これが私の週末。ささやかだけど至上の幸せだ。
友達は「週末は彼と……」なんてうそぶくけど。
誰に気兼ねするでもないすっぴんで、ちょっとだらしないルームウェアを着て。
好きなものを食べて飲んで、好きなものを見る。
こんなに素晴らしいことってあるだろうか。
おひとり様で悪いことがあるだろうか。
怠惰だけど、ちょっとカロリーは気になるけど、たまにはそれも良いじゃない。
会社の顔とも友達の前の顔とも違う。
ありのままの私でいられる時間。
午後十時からの三時間弱は、私にとっての大事なひと時。
この時間のために日々頑張っている。
綺麗に並んだクッキーの中の一枚を選って、そっとつまむ。
ふふっと小さな笑みがこぼれる。
「あーあ、幸せ!」
両手両足をぐいーっと伸ばして快哉を叫ぶ。
ふかふかのソファに埋もれて、ちょっとダメになっていく。
それは、私だけの幸せな時間。
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