26.メルルの属性鑑定

という訳で、私達は「魔法省」にやって来た。目的はメルルの魔力属性の鑑定を依頼する為である。私の「鑑定眼」で調べられなくもないが、やはり正式な場所で調べてもらった結果の方が重要だと思いここまでやって来たのである。


「それにしても……アリー。悪いわね。あなたにまで付き合わせてしまって……」


「いえいえ。大丈夫ですよ。お姉様。元々魔法省には代表に選ばれた件で色々相談したい事がありましたし……」


うん。うちの可愛い可愛い妹は謙虚な天使で本当に可愛いわね〜!


「それに、少しでも長くお姉様と一緒にいたいですし……」


ん?なんかアリーがボソッと何か呟いたような……気のせいかしら?

そんなこんなであっという間に魔法省に到着した。まぁ、実は「リリカルスクール」からかなり近い場所にあるのよね。「リリカルスクール」は魔法省が管理してる学校でもあるからそれが一因してるみたいだけど……


「は〜い!アンナちゃん!アリーちゃん!待ってたわよ!」


すると、魔法省の入り口の前で、ヴィオル・アスカルド様が手を振っていた。って、ちょっ!?ヤバい!?公爵のご令嬢をあんな所で待たせてしまうなんて!!?


「すみません!?ヴィオル様!まさかこんな所で待ってるとは思わず、ゆっくり来てしまって……!」


「いいのよ!いいのよ!気にしないで!私が待ちきれなくて待っていただけだから!」


ヴィオル様はそう言って微笑まれた。何というか……やっぱりヴィオル様は大物よね……


「それで……魔力属性の鑑定の依頼って聞いてるんだけど……何で今更?」


「はい。実は……」


私は先程までの出来事を簡潔にヴィオル様に説明した。


「あぁ……マチョリンスキー……あのやたら筋肉が暑苦しい家ね……」


ヴィオル様が話を聞いて辟易となさってる。うん。確かに説明を聞いてるだけでも筋肉が暑苦しそうなイメージだ。


「で、そこの生まれでありながら筋肉がつかないけど、異様なパワーがあるそこのメイドちゃんが気になる訳だ」


「そうなんです。ですから、メルルの魔力属性の鑑定をお願い出来ないでしょうか?」


私の話を聞いてしばらくヴィオル様は押し黙り……


「そうね……あの家はいつも美しい筋肉がついていれば魔力鑑定など必要ないとか言って、魔法省の鑑定を拒否してるし。分からせる為にも丁度いいかも」


って……国のルールになってるのを拒否していいの?旧い名家だからってダメだと思うんだけど……


「分かったわ!メルルちゃんは私が隅から隅までじっくり鑑定してあげるから任せてちょうだい!こんな可愛い娘を鑑定出来るなんて役得よね!」


「ふえぇ!!?」


「さぁ!行きましょう!メルルちゃん!お姉ちゃんに身を任せるだけで大丈夫だからね〜!」


「ふえぇ!?あ!?あのぉ!!?」


メルルはヴィオル様に首根っこ掴まれて別室に強制連行された。それを呆然と見送るしか出来ない私達……うん。大丈夫よね。ヴィオル様って仕事出来る人だし……大丈夫……よね……?

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