24.マチョリンスキー子爵家
アリー達に事情を説明し、私達は私の部屋でメルルの話を聞く事にした。
「それで、メルル。改めて聞くけど、あの人は誰なの?」
「はい……あの人は……私の実兄で……アルト・マチョリンスキー子爵です……」
メルルは若干言いづらそうにしながらもそう答えた。やっぱりあの筋肉モリモリ男、メルルのお兄さんなのね。全く似てないけど……
すると、メルルの話を聞いたアリーが驚いたように口を開いた。
「マチョリンスキー子爵って!?メルルはあの有名なマチョリンスキー子爵の出なんですか!?」
「えっ!?何!?マチョリンスキー家ってそんな有名なの!?」
「お姉様知らなかったのですか!?マチョリンスキー子爵と言えば……」
私の最愛の妹曰く、マチョリンスキー家とはアイリーン様の代から続く名家で、その筋肉とパワーで国を支えてきたという。いや、パワーはとにかく筋肉は関係あるの?
ちなみに、私がマチョリンスキー家の事をよく知らないのは、私が教育係に無視され、その辺の教養を受けなかったからである。まぁ、私もこれ幸いとアリーの幸せ資金稼ぎしていたから、ある意味ウィンウィンな関係かも。
「はい。アリーお嬢様の言うそのマチョリンスキー家で間違いありません。最も、私はその家を勘当された身ですが……」
そういえばそんな話をしていたわね。一体何があったのか、メルルに聞いてみると……
「私の一族は母も父も兄も弟も妹も祖父も祖母も、みんな筋肉がついてるんです」
えっ……一族全員が筋肉モリモリって……なんかものすごく嫌なんだけど……
「ですが、私だけ……この通り筋肉が全くつかなくて……どれだけマチョリンスキー家に伝わるトレーニングを実践しても筋肉が身につかなくて……だから、最終的に私には我が一族に伝わる「マッスルパワー」がないんだと、勘当されました……」
そんな理由で勘当って……旧い名家は色々厳しいとは言え、厳しすぎるんじゃ……
ちなみに、「マッスルパワー」とは、マチョリンスキー家の者だけが得られる特殊な魔力属性らしく、鍛えれば鍛える程美しい筋肉とパワーが身につくという物らしい。うん。私絶対その属性いらないわ……
「ですから……その……なんとなくアンナ様の気持ちが分かって他人事のようには思えなくて……」
なるほどね〜。メルルが私に対して悪感情がなかったのはそう言った経緯があったからなのね。自分も家の人間から疎まれてきたから……
「それで……勘当されて……最初は途方に暮れていたんですけど……もういっそ開き直って、私には筋肉がつかないと言うのなら、女の子らしい生活をしようとメイド募集の張り紙を見て受け、このステインローズ家のメイドになったんですが……それも……失敗ばかりで……」
だんだんとメルルがトーンダウンしていってる。あの兄に会ったせいで色々思い出したせいで落ち込んでるのね。これは、早速話題を変えないと……
「あの……」
「少しいいでしょうか……?」
私が話題を変えようと模索した時、ヒエンとレイカの2人が手を挙げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます