23.メルルの兄?

私はメルルを側に控えさせ、アリーが来るのを玄関で待っていた。代表に選ばれたアリーは色々と打ち合わせがあり、先生方色々と話をしなければいけない。でも、寮までとは言え、私と一緒に帰りたいという可愛らしい妹の言葉に従って待っていたら……


「ふん。愚妹よ。貧相なお前には似合いの格好だな」


そう言って私に……いや、メルルに声をかけてきたのは……なんだかやたら筋骨隆々な見るからにマチョですと言わんばかりの男子生徒だった。えっ?誰こいつ?ってか、筋肉モリモリ過ぎて制服が弾けそうなんだけど……


「あっ……アルト……お兄……」


「おっと!つい愚妹と言ったが、お前はマチョリンスキー家を勘当された身の上。お前と私は最早兄妹ですらなかったな!」


「は……はい……申し訳ありません……」


ふむ。どうやら、会話の内容を察するにこの2人は兄妹のようだけど……なんか色々ややこしい事情がありそうね……しかし……マチョリンスキー家って……本当にまんまな家の名前だわね……


「くくく……!それにしても……!マチョリンスキー家を勘当された者と、極悪令嬢と名高い女、似合いのコンビではないか!」


私を絡めてメルルをバカにしてきた。何より、バカにする度にマッチョポーズをとるのがウザい。私は見えない魔力弾を目の前のマッチョにぶつけた。


「ぐべほぉあ!!?」


う〜ん……かなりのムキムキ筋肉だから2、3発は必要かなと思ったんだけど、まさか一発で吹き飛ばされて気絶するとは……


「お兄様!?大丈夫ですか!!?」


「大丈夫よ。気絶してるだけだから。それより、主として命じるわ。色々聞かせてもらえる?アリーも来た所だし」


私はヒエンとレイカを連れて来たアリーを指差してそう言った。


「……はい……分かりました……」


メルルは兄をどうにかするべきか迷っていたようだが、自分の立場が今、ステインローズ家のメイドであるのを自覚したのか素直に頷いた。

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