21.懸念事項

えぇ〜……もう私、ゲームの悪役令嬢の役目も終えたし、後は影ながら妹の成長を見守るスローライフを送ろうと思ってたのに……懸念事項って何よ……


「で、キョウカの言う懸念事項って?」


「お嬢様はパルティア王国はご存知ですか?」


パルティア王国……うん。聞いた事ないわね〜……前の建国祭の時にもそんな国の話は聞いた事ないし……


「実は、パルティア王国って男尊女卑が激しい国でして、女性は男をたててこそだと主張する国なんです」


えっ?何その超古臭い考え……いや、私の今の世界観なら、そういう思想があってもおかしくはないんだろうけど、でも、基本ウィンドガル王国はそういうのないからなぁ〜……。


「私も流浪のようにメイドをやっていた時に聞いた事がありますね。しかも、アイリーン様の力でこれだけ発展した国を侮蔑してるとかなんとか……」


いや、サクラさん。流浪メイド時代ってどういう事?そっちがすごく気になるけど、1番の問題は……


「何でそんなウィンドガル王国を敵視しているような国を招待するのよ……」


「それは、我が国は若干の鎖国状態だったからだ」


私のそんな疑問に答えたのはキョウカでもサクラでもなくヴァン王子だった。


「って、聞いてたんですか?ヴァン王子」


「まぁ、その……気になってな……」


そっか……王族としては、自分の国への話題は気になるわよね〜……若干頰が赤いのは何でだろうか?


「それで、さっきの疑問の話だが……」


ヴァン王子の説明によると、アイリーン様はまだ「災厄」の可能性を考慮して、自国と敵対関係が少しでもありそうな国とは交流を持たないように代々伝えるように厳命したらしい。

それで、「災厄」の可能性も去ったので、もうあらゆる国を招いても大丈夫だろうという判断になり、その問題になってる国も招待したらしい。


「でも、敵対の意思がありそうなのに何で呼んじゃうんですか?」


「まぁ、来るのはあくまで代表学生数名と、世話係のみとなってるからな。そこまで大それた考えはやれないと考えてるのと、パルティア王国は口だけで実際に動いた事は一度もないし、パルティア王国が開催国だった時は我が国もちゃんと招待は受けてるからな。我々も招待しない訳にはいかないんだよ……」


ヴァン王子は疲れたような溜息をついてそう言う。なんとなくだけど、ヴァン王子もパルティア王国が問題が起きると思ってるのかしら?


「後は、「災厄」の一件が各国にも伝わってしまったからな。だから、ウィンドガル王国は大丈夫な国だとアピールする必要がある。まぁ、これが1番の理由だな」


なるほど……確かに、誤解やら何やらは早めに解いておくに越したことないものね。それにしても……


「その話を私にしてもいいんですか?」


「…………まぁ、今更お前に「災厄」についての話を誤魔化しても仕方ないからな」


まぁ、私はがっつり「災厄」の一件は関わってますから、私が「災厄」関連の話を聞いても問題ないと判断された訳ね。何故か微妙な間と、頰を赤くしてそっぽを向くヴァン王子が気になりはしたけれど……

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