13.そして翌朝……

「お……嬢様……きてください……お嬢様……」


「うぅ〜……ん……?」


セバスが私を呼ぶ声がして私はゆっくりと目を開けた。すると、そこはいつもの豪奢な天井とは違う見慣れぬ天井……はて?…………あっ!?そうだ!?私ったら結局あのまま眠っちゃったんだ!?


私は慌ててガバッと飛び起きる。同じタイミングでアリーも覚醒したらしく、流石は双子というべきなのか、同じタイミングで起き上がった。


「お目覚めになられましたか。お嬢様方」


と、私達の目の前に何故かいるはずのないうちの屋敷の万能執事長が!!?


「セバス!?何であなたがここに!!?」


「お嬢様方があの崖から飛び降りて、川の流れ等から考えてここまでたどり着くであろう事は想定していましたので」


流石はセバス……ステインローズ領の地理等を完璧に把握してるとか……優秀過ぎるにも程があるわ……だったら……


「セバスはこの家が何なのか知ってるの?」


「ここは、かつてご主人様が奥様と愛し合い、お2人を身篭った場所でございます」


『ぶふっ!!?』と私とアリーは同時に吹き出してしまった。いやいやいや!?私達!そんな由縁ある場所で一晩過ごしちゃったの!?聞いてないし!?知らないんですけど!?


「まぁ、あの当時どうしても子供が欲しかったご主人様が、静かで自然豊かな場所でなら出来るかもしれないと、勢いで作ったのがこの場所ですから、若気の至りというのもあって、お2人に言うのがはばかれたのでしょう」


うん。確かに。それは恥ずかしくて子供に言えないわよね!?


「そして……そんな所縁ある場所でお嬢様方は結ばれた訳ですか……」


そこで私達はふと気づく。私達は裸で近くで一緒に眠ってて……うん。はたから見たら絶対誤解されてるわ!?これ!!?


『ち……違うの……!?コレは……!!?』


「……お嬢様方のその反応で何もないのは分かりました。朝食が出来ています。冷めないうちにいただいてください。服は私の魔法で乾かしてありますから着替えてからどうぞ」


私達2人は慌てて弁明したが、セバスはそれでもう理解したと言わんばかりに、自分の仕事に従事し始めたので、私達2人は黙って頷くしか出来なかった。



で、結局セバスが用意してくれた朝食を食べ終えて数分後、私達は必死の形相で探しに来てくれた王国騎士団の手によって、私達は無事にステインローズの屋敷に戻る事が出来た。


そして、その時の出来事を私はいつものメイドメンバーに話したら


『いや、だったら服は魔法で乾かせば良かったのでは?』


と、メルルにすらそう言われ、私は頭を抱えて悶絶した。

そうよ!?何であの時の私気づかないのよぉ!!?私でも乾燥の魔法は使っても問題ないし!ダメでもアリーに頼めば良かったんじゃない!?私のバカぁ〜!!?


アリーも私と同じように感じたのか、アリーも頭を抱えて悶絶していた。いやぁ〜……アレね……雰囲気酔いって怖いわねぇ〜……

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