12.こんな状況だからこその仲直り

「………………」


「………………」


パチパチと暖炉の火の音がよく聞こえてくる。そりゃそうよね。だって、私達アレから一言も喋ってないんだから!

だって!?そりゃそうでしょ!?喧嘩したのもあるけど!今、私達は裸で毛布にくるまってる状況よ!?気まずくて喋れないわよ!?本当に!?私は早く服よ乾け!と念じながら、暖炉に薪をくべていくと……


「……あの、お姉様……先程は申し訳ありませんでした!!」


アリーは突然私の方を振り向いて頭を下げてきた。その際、ちらっとアリーの膨らみが見えた気がしたけれど、今はシリアスなシーンなのだから見なかった事にしましょう。


先程のというのは、恐らくは私を叩いた事を言ってるのだろう。私はそれについてずっとずっと頭の中で考えていた。この状況下のせいで若干忘れていた感がない訳でもないけど……


「私ね、ずっと頭の中で何で私はアリーに叩かれたんだろうって考えてた」


「それは……」


「それでね。アリーと同じ立場になったらって考えた時、私もアリーと同じ事をしたなって思った」


「お姉様……」


もしも、私がアリーの立場になって、私の言ったあの言葉をアリーに言われたら、悲しさと怒りで例えアリーが目の前にいても叩いてただろう。


「だからね。私の方こそごめんなさい」


「いえいえ!?そんな!?叩いたの私ですし!!?」


「ううん。結局は軽率な発言をした私が悪いんだし……」


「いいえ!悪いのは私が!!


「いや!私が悪いの!」


「私が!!」


「私が!!」


そうやって言い合ってるうちに、お互いおかしくなって、プッと吹き出して2人揃って笑いだした。


「このままだとまた喧嘩になっちゃうね」


「そうですね。ですから、お互い悪かったという事にしましょう」


「そうだね。あっ、でも、これだけは言わせて」


「はい。何でしょう?お姉様」


コテンて首を傾げてくる妹がこんな状況だけど可愛いです。


「私は絶対にアリーを守るから。その為ならまた無茶な事でも何でもすると思う。そこだけは、私は絶対に譲らない」


今の私にとってアリーこそが全て。だから、何がなんでもアリーを守っていきたいという気持ちは絶対に変わらないし、無茶もたくさんするだろう。


「……分かっています。お姉様がそういう方なのは……だからこそ……私は……もっと強くなってみせます……いずれ、お姉様の隣に立つのに相応しくなれるよう強く……」


別に私の隣に立つのに強くならなくても、アリーなら大歓迎なんだけどなぁ〜……まぁ、せっかくの妹の決意を無粋な言葉で潰す訳にはいかないので、私は何も言わずにアリーに微笑み、アリーも微笑み返してくれた。


『クッシュン……!!?』


そんなタイミングで、私達は2人同時にクシャミした。う〜ん……まだ服は乾いてなさそうだし、暖炉もこれ以上暖まらないだろうし、毛布をもう1枚持ってくるべき?


「あの……お姉様……お姉様が迷惑でなければそちらに寄っても構いませんか?」


「えっ!?いや!?全然構わないけど、何で!!?」


「あの……その……こういう場合はやはり密着していた方が暖かくなるのではと思いまして……」


うん。確かにその通りだ。下手したら暖かいを通り越して熱くなりそうだけど……けど、今毛布を取りに動くのアレだし……



で、結局はアリーの案採用で私達は密着している。と言っても、流石に肌同士ではなく、毛布越しだけれど……


「………………」


「………………」


で、再び私達姉妹沈黙。いや!?この状況で会話しろってのが無理でしょ!?でも、会話しない訳にもいかないから……


「は……!早く服乾かないかしらね!」


「そ……!そうですね……!」


そう言って、私達姉妹は2人で暖炉に薪を放り込んだ。その頰の熱を誤魔化す為に…

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