11.喧嘩の余韻のせいで色々忘れてる姉妹

家の中を全部見て回ったけれど、やはり人は誰一人いなかった。けれど、生活に必要な物はだいたい揃っていた。なんだか不思議な家ではあるが、今森を探索するのは危険なので、この家に泊まる事をアリーに提案した。アリーは私の提案に黙って頷いた。


そして、今私達は暖炉に火をつけ、暖炉の前で温まっていた。春らしい気温になったとは言え夜はまだ冷える。私は暖炉の炎を見つめる。アリーも同じように見つめている。


「………………」


「………………」


あれから2、3言葉は交わしたけれど、未だに無言になる私達。うぅ……!?気まずい……!?すぐに仲直りしたいのだけど!仲直りする為の言葉が浮かばない!?いつもの喧嘩の時に仲直りする言葉ではなんとなくダメな気がするし……一体どうしたら……!!?


と、そんな時だった……


『クッシュン……!!?』


私達は同時にクシャミをする。そういえば……アリーとの喧嘩で頭がいっぱいになっていたけれど、私達は川に落ちたから、服はビショビショで髪も濡れていたんだった……崖から飛び降りる際に張った結界は、痛みを和らげる用で、水に濡れない用に張るのを、なんだか神の見えざる手によって邪魔された気がするのよね……


「あの……お姉様……」


どうやら、アリーも自分の状況に気づいたようである。うん。まぁ、濡れた服を着たままでいたら風邪をひいてしまうわよね。けど、この家に替えの服みたいなのはなかったわよね……あるのは毛布ぐらいしか……


「………………」


「………………」


アリーも私と同じ結論に至ったのか、顔が真っ赤になっている。かく言う私も同じであろう。


まさか、遭難した時に漫画でよくあるパターンを私達姉妹がやる事になるなんて……やっぱり神の見えざる手が働いてるような……そんな気がしてならない私だった……


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る