7.爆炎の騎士アリアンロッテ
アンナとアリーはノイエル町の入り口付近でキョウカ達を待っていた。といのも、2人を乗せてきた馬車が破壊され、新しい馬車を用意しなければならないという事で、キョウカ達は新しい馬車を探しに行ったのである。
別に、アンナ的には歩いて家まで行ってもいいのだけれど、アリーを歩かせる訳にはいかない。どこで不埒者がアリーを狙ってくるか分からないし……よって、仕方なくキョウカ達が用意してくれる新しい馬車を待っているのだが……
「それにしても……何で馬車が壊れてたのかしら?」
「そうですね……しかも、壊れ方から見ても魔法によって破壊されたように見受けられますし……」
確かに、アリーの言う通り馬車は刃物のような物で斬り裂かれたような跡に、不自然な黒焦げた箇所があった。これは明らかに普通のやり方で馬車を壊したとは考えにくい……
「一体誰がこんな事を……?」
「その馬車なら私が破壊した。お前達をここで足止めする為にな」
突然そんな風に言って現れたのは、銀髪の長い髪に、鎧を纏った美しい女性だった。ん?この女性の顔立ち……誰かに似てるような……?
「あのぉ〜……?どちら様ですか……?」
「悪女に名乗る名はないと言いたいところだが、冥土の土産というやつで教えてやろう!私はウィンドガル王国の第1王女!アリアンロッテだ!」
第1王女ですって!!?あぁ〜……ようやく誰に顔立ちが似てるか分かったわ……ヴィオラルド様に似てるんだわ……この方は銀髪だけど……
「悪女アンナ・ステインローズに!その愛人!私の目に入れても痛くない可愛い可愛い弟をキズモノにした罪で!貴様を私の剣の錆にしてくれる!!」
「はい!!?全く身に覚えないんですけど!!?」
「待ってください!!?愛人だなんて……まだ恋人関係にすらなってないんですよ!!?」
「いや!?アリー!?ツッコミを入れるところそこじゃないでしょ!!?」
「えぇい!!うるさい!うるさい!問答無用で2人とも断罪してくれる!くらえ!!」
アリアンロッテは握っていた剣を振り下ろす。2人はそれをなんとかわす。が、次の瞬間……
ドゴオォォォォ〜ーーーーーーーーーーーー!!!!
アリアンロッテが振り下ろした剣の周囲から火柱が上がった。2人はその火柱を見て驚愕の表情になる。
「これが……!?爆炎の騎士アリアンロッテ……!?」
「爆炎の騎士アリアンロッテ?」
「はい。アリアンロッテ様は国の騎士団の総隊長を務め、彼女が剣を振るう先で爆炎が巻き起こる事からそう呼ばれてるそうです」
まんまのネーミングセンスね……だけど、これは正直ヤバいかも……
「ほう……私の初撃をかわしたか……だが、私はまだまだこんなものじゃないぞ!!」
アリアンロッテ様は剣を構えて、再び私達に攻撃する体勢をとる。これは……本気でマズいかもしれない……私はアリーの腕を思いっきりガシッと掴む。
「ッ!?お!?お姉様ぁ!!?」
「逃げるわよ!!アリー!!!」
「えっ!?ちょっ!?お姉様ぁ!!?」
私はアリーの腕を強引に引っ張って思いっきり走って逃げる。アリーには悪いけど、今の私には逃げる以外の選択肢がないのよ!?
「待ってぇ〜!!?にがすかぁ〜!!?」
当然そんな私達を追いかけてくるアリアンロッテ様。そして、剣を振るっては立ち昇る火柱。それを走って回避し逃げ惑う私達。
何故かよく分からないまま、私達とアリアンロッテ様の謎の攻防?逃亡?劇のようなものが始まった……
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