3.アリアンロッテ第一王女

アリーが髪の毛を切り、大騒ぎになった一方で、ウィンドガル王国よりかなり離れた地で、反ウィンドガルを掲げた集団が1人の女性によって壊滅させられた。その集団は他国からも集まり10万もいたが、それら全て1人の女性により全滅させられた。


で、この事実に女性についてきた女性の騎士団達は驚いたかと言うと……


「ん、今日もやっぱり俺達の出番はなかったな」


「まぁ、俺達はあくまで念の為の騎士団だしな。もしくは、いざとなった時あの方を止める為のな……」


「後半の役目は役目だけど絶対無理なやつだよな……」


特に驚いた様子もなく事実をありのままに受け止めていた。すると……


「うむ。皆!今戻ったぞ!」


『ハッ!お帰りなさいませ!アリアンロッテ第一王女様!!』


彼らの元に、文字通り飛んで戻ってきたのは、先程10万の集団を全滅させてきた張本人、アリアンロッテ・アルア・ウィンドガル第一王女である。

美しい長い銀髪をなびかせ、王国騎士団の鎧を身にまとう姿はまさに至高の女性騎士そのものである。


そもそも、アリアンロッテ第一王女は王位継承権は真っ先に放棄し、王国に仕える騎士となると言って、今や王国騎士団総隊長にまでなった人物なのである。アリアンロッテ第一王女に憧れ、女性騎士になる夢をもつ女性も最近増えてきている。


「アリアンロッテ様!お疲れ様です!」


「なぁに、大して疲れてなどいないさ!」


騎士の1人の言葉にアリアンロッテ第一王女は笑ってそう返す。数人の騎士は「ですよねぇ〜……」と心の中で思っても、口に出す事はしない。


彼女の力をもってすれば10万の集団ぐらい一捻りだ。それぐらい、この第一王女と、妹の第二王女は異常なのだ。正直王女のどっちかが王位につけばいいんじゃね?という意見もあったが、


「何を言う!弟達のどっちかが王位に就き!それを支える為に騎士になったんだ!弟達が王位に就かないなら騎士も王女も辞めてやるさ!」


と、ブラコン全開の発言をした。

アリアンロッテ第一王女は、民衆からは憧れの王女騎士様に見られがちだが、蓋を開けたら、暴走しがちなブラコン王女なのだ。先程の10万の集団が壊滅させられた理由も、


「カイン王子が王位を継いだらこの国は終わるぞ!」


などと、発言をしてしまった為に、ブラコン王女の逆鱗に触れてしまったのだ。


「ふん。たいそうな事をほざく割に大した事のない奴らだったよ」


と、アリアンロッテ第一王女はまだ、カイン王子がバカにされた事を怒ってるのか、ドカッと椅子に座ってそう言う。長年の経験上、あまり怒らせておくとこっちに飛び火しかねないので、騎士の1人が話題を変える為にアリアンロッテ第一王女に発言をする。


「アリアンロッテ第一王女。今日の任務はこれで終わりでしょうか?」


「ん?いや、一つだけまだ残ってるぞ」


騎士がそう尋ねると、アリアンロッテ第一王女がそう返した。それを聞いた騎士達は「なんか他に王子の悪口を言った奴いたっけ?」と首を傾げる。


「あの……次の任務は一体……?」


騎士の1人が恐る恐るそう尋ねたら……


「あぁ、ちょっとステインローズ領に殴りこみをしにな!」


『はぁ!!!!?』


アリアンロッテ第一王女の言葉を聞いて、騎士団の数人が素っ頓狂な叫びを上げて固まった。

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