2.妹は覚悟をみせ、姉は妹の髪の毛の葬式をする
いや、アリーの髪型はベリーショートでもそれはもう似合ってるのよ?ますます天使さが増して可愛らしくなった感じがして。けどね、髪は女の命って言ってね、特に貴族令嬢はそういうもののはずなのよ。そんな髪を切ったって事は……それは、アリーが恋に敗れたという……
「誰!?こんな可愛いらしいアリーを振ったのは誰!!?言いなさい!?アリー!!!」
「おぉ、今日はあっという間に起き上がりましたね〜」
私はガバッと起き上がり、アリーに詰め寄った。アリーは困惑した表情を浮かべながら
「あの……お姉様……違うんです。逆なんです」
「逆?つまり……どういう事?」
私はサッパリ訳が分からず首を傾げていると、アリーはコホンと一つ咳払いをし
「今のままの私では、その人に振り向いてもらえないと分かったんです。だから、新しい自分でその人を振り向かせたい。この髪型はその決意です」
アリーは真剣な瞳で私をジッと見つめてそう言った。
くっ!?アリーにここまでさせても気づかないなんて!そいつはなんて鈍感な奴なのかしら!蹴散らしてやりたわ!本当に!!
「アリー。それがお前の覚悟か」
ふと、お父様がアリーを真剣な表情で見てそう言った。
「はい。お父様。これが私の覚悟です」
「そうか。なら、私から言う事は特にない」
いや!?言う事ならいっぱいあるでしょう!!?特に!アリーにここまでさせた奴に!一緒に文句を言いに行きましょうよ!?お父様!!
「うふふ……短い髪もよく似合ってるわよ♡アリー」
「ありがとうございます。お母様」
ううっ……私もお母様の意見には全面的に同意なんだけどぉ〜!?でも〜!アリーの綺麗な長い髪も好きなのよぉ〜!!?
はぁ〜……もうアリーも切ったなら私も切ろうかしら?髪のお手入れって大変だし、別に私が短くても誰も何も言わないだろうし……
「あっ、お姉様は髪を切ってはダメですよ!お姉様は綺麗な長い髪なんですから!もったいないです!」
まるで私の心を読んでいたかのようにそう言うアリー。それ!?私のセリフなんだけど!!?はぁ〜……けれど、アリーにそう言われてしまったら切る訳にはいかないわね……
まぁ、色んな想いはあるけれど、短い髪のアリーも可愛くて最高の天使だから問題ないわね!
ただ……今夜はアリーの髪の毛のお葬式だけはあげさせてもらうわね……
その夜、私は本当にアリーの髪の毛の為の葬式をして、メイド達に若干引かれた……
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