1.読者の皆様初っ端から申し訳ございません

ここは、ステインローズ伯爵邸のアリーの私室。


「お嬢様。本当によろしいのですか?」


「構いません。お願いします」


「アンナ様が色々聞かれますよ」


いや、むしろぶっ倒れる可能性の方が高いかなとレイカは思いつつもアリーにそう聞く。


「そうですね。お姉様は私を妹として大切に想ってくださっていますからね」


ちょっとその想いが行き過ぎてるけど……とヒエンとレイカは思えど、2人はプロのメイドだから一切口には出さない。


「ですが、これは私の覚悟です。だから、お願いします」


「分かりました」


「それでは……」


アリーの決意が固いと知ったヒエンとレイカは……





拝啓、読者の皆様。お久しぶりです。アンナ・ステインローズです。今、私がどうしてるかって?私は今、食事をする部屋でぶっ倒れています。

お前ぶっ倒れ過ぎだろうという様々なコメントをいただき、私もぶっ倒れないよう頑張ってはみたのですが、これはもうどうしようもないと思うんです……



事の始まりは今朝、私とアリーはあと数日で「リリカルスクール」の2年生になります。前世でハマった乙女ゲームの悪役令嬢に転生した時は正直どうしようかと思いましたが、なんとか断罪も避けられ、今は妹に相応しい人を探しつつ、妹と一緒のスローライフ計画を密かに立てていたりします。


で、いつものように朝食を食べる為に部屋へ行くと、そこにはすでにお父様とお母様の姿がありました。


「お父様。お母様。おはようございます」


もう16歳である私は、ちゃんと淑女らしくお父様とお母様に挨拶をします。


「あぁ、おはよう。アンナ」


「おはよう。アンナ」


お父様とお母様は相変わらず美しいオーラ全開で私に微笑んで挨拶してくれます。本当にこの2人のDNAが私に注がれているとはとても思えないわ……。


「ん、アリーはまだかしら?」


「先程ヒエンとレイカとすれ違った時に、支度に時間がかかると言ってましたが……」


私の疑問に答えたのは私の専属歴が1番長いメイドのキョウカ。どんな仕事もバリバリにこなせる優秀なメイドだが一つ困った性癖持ちだ。


「あぁん♡申し訳ありません!ご主人様♡私は分かりませんからお仕置きで叩いてくださいな♡」


こっちは、つい最近私の専属メイドになったサクラ。優秀なメイドなのだがドMだ。


「駄目です。お嬢様に叩かれるのは私の専売特許です」


「だったらキョウカお姉様が叩いてもいいのですよ♡」


「嫌です。私は叩くより叩かれる方がいいんです」


と、キョウカとサクラがそんなドM会話を繰り広げる。そう、キョウカも立派なドMメイドだ。


「でしたら!私が呼びに行ってまいり……はうわぁ!!?」


何もないところで派手に転んだのは、サクラと同じく最近私の専属メイドになったメルル。彼女はドMメイドではないが、ドジっ子メイドだ。

……なんで私の専属メイドこんなメンツなのかしら……まぁ、とりあえず……


「アリー達はもうすぐ来るでしょうから大人しくしてなさい」


「ふわぁ〜い……」


私がメルルにそう声をかける。


それと同時に……


「お父様。お母様。お姉様も、お待たせして申し訳ありませんでした」


「アリー!おそか……」


私はアリーの姿を見て固まってしまった。何故かって?アリーの髪が!?腰ぐらいまであった長い髪が!?ベリーショートヘアーになっているのだ!!?



私はそのアリーのベリーショートヘアーの衝撃で……これまた前作のパターンと同じように気絶してしまいました……

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