第20話 あまのはごろも

 最近あった、少し不思議な話をします。

こないだ、山道をツーリング中に山の中の秘境と呼ばれる温泉に着いたら先客が居ました。

 女性の集団であったため、自然と私は隠れていまいました。

 目の前に、もう一人同じように見ている男性が居ました。

 仮にその男性を男性Aと呼びます。

 男性Aは、私から言うと、私とは明らかに目的が違う様子でしたが、はたから見ると私も同じ目的の様に勘違いされるでしょう。

 しかし、私にはそんな目的はありませんでした。

 仙人ではありませんが、そんな目的はありませんでした。

 私は断じてそんな事はありませんが、私と男性Aは、女性の集団を眺めていました。

 私と男性Aは目的は全然違いましたが、二人で眺めていました。

 本当に目的は違いました。

 本当です。

 すると、風で飛んだのでしょうか?きれいな布がその男性の目の前に落ちてきました。

 男性Aは躊躇うことなく、それを懐に入れてしましました。

 やがて、女性の集団は入浴を終え各々着替えをしておりました。

 どこか透明感のある女性たちはみんなお揃いの羽衣を身に纏っておりました。

 しかし、一人の女性が羽衣が無く困っている様子でした。

 男性Aが懐に入れている羽衣はきっと彼女のものだったのでしょう。

 リーダー格の一人の女性は、羽衣を無くした女性を気にすることはなく、怪しげな呪文を唱えました。

 すると次々に空へ浮き上がる女性たち、羽衣は、飛行石の様なものなんでしょうか?いったい彼女たちはどこへ行くのでしょか?

 私はびっくりしてしばらくその光景を眺めていました。

 次々に空へ浮かび上って行く女性達、しかし羽衣の無い一人の女性は飛ぶことが出来ず、必死に羽衣を探していました。

 誰も彼女を助けようとはしませんでした。

 女性社会の厳しさを垣間見たそんな瞬間でした。

 そして、ついに男性Aも空へ浮かんで行きました。

 しかし、その女性の他にも数人同じように羽衣を無くした女性達が佇んでいました。

 そして、森の中から次々に男性B、男性C、男性Dが飛んで行きました。

 羽衣の管理甘くない?っと思いましたが、これで少しは平和になったかなっとも思いました。

 めでたし、めでたし

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