第3話 シンデレラ

 東京都町田市し、新出 麗良 と言う、気立てのいい女性が住んでいました。その女性は、父の再婚相手の義姉2人と暮らしていました。

 義姉は遊び人で頻繁に合コンに行く様な人たちで、合コンに数多く参加するのではなく、選んで参加すべきだという麗良とは気が合わず、二人はいつも麗良に厳しく当たり、今日も麗良に街コンの検索をさせたり、自分のメールやラインの返信をさせていました。24時間、勘違い野郎どもからのメールやラインを一人で暗い部屋で返信している麗良。さぞかしさみしい思いをしていたでしょう。

 そんなある日のこと、大金持ちの御曹司が参加する街コンのメールを見た麗良は、姉二人とこの街コンに参加する事を決めました。

 「普段着で参加しようね」

そう言っていたにも関わらず、当日、二人の姉は、とびっきり綺麗なドレスを着飾り家を出発しました。麗良は当然、そのような服は持っていません。麗良が寂しく街コン会場に向かっていると、魔女が現れました。

 そう、貸衣装「魔女」を偶然見つけました。

 藁をもすがる思いで入店し、二人の姉以上の衣装をオーダーしました。

 しかし・・・・

 高い。目ん玉飛び出るほど高い。

 しかし、魔女の店員はこう言いました。

「本日の夜12時までに返却して頂けるならば、50%OFFでご提供出来ます。しかし、夜12時を1秒でも超えると定価+延滞料として50%頂きます。」

 目ん玉飛び出るほどの値段ですが、12時までに返却すれば半額なので、リボで対応出来る範囲。リボでレンタルする事にしました。

 スカートに隠れるハイヒールは、どうせ見えないし自前の靴のままにしました。

 化粧もサービスでして頂け、偶然で来た奇跡の様な仕上がりで、まるでお姫様になった気分でした。

 会場に行くと、麗良は、誰よりも美しい姿をしていました。

 リボの力とも知らず、御曹司の目にとまり、二人は楽しいひと時を過ごしました。23時半のアラームが鳴り、麗良は連絡先も告げず、会場から30分かかる「魔女」へ大慌てで向かいました。その時、ハイヒールが片方脱げましたが、そんなこと気にしていられない麗良は、それはそれは猛ダッシュで走り去って行きました。何とか間に合った麗良は、ふと我に返り、連絡先を交換していなかった事を後悔しました。しかし時すでに遅し、後悔しながら過ごしていた、ある日、落とした片足のハイヒールと同じサイズの靴を履いている女性を、御曹司が探しているているとのうわさがSNSで拡散していました。

 私のハイヒールのサイズは25.0cm。女性にしてはやや大き目なサイズです。その日から、近隣の女性はみんな25.0cmの靴を履き始めました。

 麗良も当然参加しましたが、あの日の様な化粧は出来ず、御曹司から本人とは分かって頂けませんでした。

 御曹司から、SNSで発表がありました。25.0cmの靴を履いていた女性は、1万3255人いました。との事です。続けて

「同じハイヒールのもう片方を持っている女性」

次はその女性を探しているとのメッセージです。

 近所の靴屋では、そのハイヒールが売り出され即日完売しておりました。

 麗良も当然参加しましたが、やはり、御曹司から本人とは分かって頂けませんでした。麗良は、もうリボを使う余力は無かったのです。

 その後、25.0cmの靴が大量に売れ、ハイヒールは大量に売れ、靴屋「シンデレラ」はいつまでもこの地域で幸せに暮らしました。


めでたし、めでたし

 

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