第2話 うらしまたろう

 2か月前この海岸に、おはあさんと一人の青年が住んでいました。

 青年の名前は、浦島田 郎。45歳で無職の青年でした。

 おばあさんは、本当にこの浦島田の扱いに困っていました。働かず、お金だけ要求する浦島田は、この日もおばあさんとけんかし、ふてくされ一人浜辺を歩く浦島田、そこに子供たちが何やら集まって騒いでいました。憂さ晴らしに、その子供たちの集団に突入する浦島田。近所でもある意味有名な浦島田を見た子供たちは一斉に逃げていきました。

 逃げていった後にあったのは、亀柄の財布でした。少し重量感のある財布でしたので、持って帰ろうとするとその亀の持ち主が現れました。

 「い・・いまから・・警察に届けようとしてたところなんです。。」

と言う、浦島田の言葉を信じ、お礼がしたいから車に乗って下さいと言う持ち主の男性。浦島田は、言われるがままに乗り込み、付いた先は「竜宮城」でした。

 そう、キャバレー「竜宮城」に到着しました。

 その男性は

「財布を助けて頂いたお礼をさせて下さい。一日だけご自由にお過ごしください。」

と言い残し去っていきました。

 浦島田は、ここで時を忘れ楽しみました。美しい女性とおいしいお酒、食べたことのない料理に舌鼓を打ち、本当に時を忘れて楽しみました。

 何日ここで過ごしたでしょう。おばあさんの年金が入る時期になったので一度家に帰ることに。そんな浦島田にキャバレー「竜宮城」のママの織戸さんは、お土産として「玉手箱」を渡しました。

「これは絶対に開けないでね。」

というので、

「なんでそんなもの渡すねん!!!」

と逆切れし、玉手箱を受け取らずに帰宅した浦島田。

帰宅するとなんと、住んでいた家が無くなって更地になっているではありませんか。

周りの雰囲気も変わり、何年も竜宮城にいたかのような変わり様でした。

 そう、おばあさんは浦島田が帰ってこない隙に引っ越してしまっていたのでした。

 茫然自失の浦島田

「これからどうやって生活していけば・・・」

そこに織戸さんから宅急便が。玉手箱でした。住所も無いこんなところに良く配達できたなぁといささか疑問に思いながらも、もう玉手箱を開ける選択肢以外ありませんでした。

 開けると激しく飛び出す白い物体。請求書の塊でした。亀の財布の男は確かに「1日だけ」と言っていました。

 浦島田の髪は、ストレスでみるみる白くなっていきました。

 その後、彼はどうなったのかは想像にお任せします。

 そして、亀の財布の男は本当に浦島田の事を信じていたのでしょうか?


めでたしめでたし


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