社会の荒波に揉まれた結果、ひねくれた社会人が昔話を今風に書き直したらこうなった

T-たっくん

第1話 ももたろう

 およそ1週間前、都心部から2時間弱のやや田舎におじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは、定年後、特に趣味も無く山へお散歩に、おばあさんは友人と川を越えてランチへ行きました。

 おばあさんがランチをしていると、川の上の方から来たという、桃色の服を着た孫と名乗る男の子が、ドン・ブラーコと名乗る男性と共にやってきました。

 おばあさんは、ドン・ブラーコにはお帰り頂き、桃色の男の子と家に帰り、おじいさんに紹介しました。おじいさんとおばあさんは、どうしてもその男の子の名前が思い出せず、桃色の服を着ていたので、桃太郎と呼ぶことにしました。

 数日後、桃太郎は急に鬼ヶ島に鬼退治に行くから資金援助して欲しいと言い出しましたので、とりあえずおばあさんは、警察に相談したうえ少し泳がす事にしました。

 しかし、元々趣味の無かったおじいさんは、孫の活動に興味を持ち

「鬼って何?」

「どこにいるの?」

「目的は?資金源は?」

「個人でどうやって退治できるの?」

と、うっとおしいほど興味を持ってしまいました。

 おばあさんは乗り気のおじいさんを説得し、着手金30%、成功報酬70%で桃太郎に、鬼退治に行って貰うことにしました。

 出発の朝、おばあさんは、GPSを仕込んだきび団子風のお弁当を渡し、最近畑を荒らしていた汚い野良犬とおじいさん括り付けて送り出しました。

 その道中、サル・ゴンザレスが合流し

「成功報酬の50%くれるなら同行する。」

と言ってきました。面識が無かった桃太郎は、とりあえずきび団子風のお弁当を渡しお帰り頂きました。

 また、近所の木地さんが話しかけてきました。

「お出かけですか?」

軽く会釈し、足早に向かいました。

 数日後、GPSの情報を基に、サル・ゴンザレスが詐欺罪で検挙されたとのニュースが流れました。

 容疑者は

「鬼ヶ島なんて知らねーよ」

と容疑は否認しているらしいです。検察は慎重に調べているらしいです。

 その後、桃太郎とおじいさんは、鹿児島県で発見されました。

 発見した職員によると、桃太郎は

「鬼ってどこにいるんですか?とりあえず、鬼連れてきてくれませんか?」

と、いささか困り気味で聞いて来たとの事です。

おじいさんは

「鬼って何?」

「どこにいるの?」

「目的は?資金源は?」

「個人でどうやって退治できるの?」

と、聞いて来ました。

 とりあえず、元気そうだったのでおばあさんの希望もあり、そのまま旅を続けて頂くことになりました。おばあさんは今日も友人とランチに行き、老後を楽しんでいます。

 その後、この二人とドン・ブラーコはどうなったのかは、ご想像にお任せいたします。


めでたし、めでたし

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