胸騒ぎ
「身の程だと?!お前は一体何を…」
「もうあなたと話していても意味がない」
施設長の言葉を切るように松岡は立ち去っていった。
……身の程を知っている?
あいつは一体何を言ってるんだ!
子供が殺されるのに平然と…
だが、殺すと言ったあいつの気持ちは分かる…。私は最後まで諦めない!!
ヤマトを探そうと部屋を出ると目の前に立っているヤマトに驚き、不覚にも声を上げてしまった。
「ヤマト、ちょっと来てくれるかい?」と施設長室へ迎え入れた。
「博幸くんのことなんだけど、あれから未来に変化はないかい?」
期待を込めて聞く。するとヤマトは首を振って言った。
「ううん、変わってないよ」
「では未来を変える方法なんてものは見えるかい?」
「……ええと、奇跡や運命と言った出来事は過去が全て記録された意識の集合体である…」
「?!何か辞書を引いて読んでいるみたいだな、知りたいことを探せるのかい?」
施設長は瞼を瞬しばたかせながらヤマトに聞いた。ヤマトは表情を変えることなく
「うん、見に行っているから」と答えた。
見に行っている??いつ、何処へ??
施設長の疑問を見透かすようにヤマトは続けた。
「世の中と呼ばれるものには意識の集合体があり、そこには過去が全て記録されている。それは特別なものではなく意図せずに良い結果が得られたり、奇跡や運命といった出来事もそこにアクセスした結果だ。この世に残されている書物や記録も全てアカシックレコードから読みだしたものに過ぎない。」
施設長は自分の想像を超えた出来事に得体の知れない恐怖を感じていた。
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