指揮官篇(二):作戦
作戦
■戦闘が戦局全体に占める意義を問う
対戦判断や戦闘中はつねに戦局全体に占める意義を認識する
眼前に敵がいるからと近視眼で戦いを仕掛けてはならない
戦局を無視して戦果を挙げようと逸るのは無益である
戦局の劣勢を知りながら手柄欲しさに武勲を誇ることのないよう
《『孫子』始計篇第一、地形篇第十、九地篇第十一より》
《『李衛公問対』中の巻より》
《『孫ピン兵法』上篇威王問、
下篇〔将失〕より》
《『諸葛亮集』将苑将善より》
《『中庸』知より》
《『ランチェスター思考II』一部三章、
二部七章より》
《『戦争論』第八編第二章より》
《『戦略論』第一部第二章、第八章、
第三部第十七章、
第四部第十九章、第二十章より》
《『戦争の変遷』第六章より》
■まず不敗に立ち、のちに必勝を期する
大義名分を立てて戦いの意義を示し、仁愛により人々から慕われる
賞罰によって部下の統制を保ち、絶えず鼓舞して士気を高める
戦巧者でも確実なのは「守りを固めて不敗に立つ」ことだけ
勝つには相手の状況態勢を崩してスキを作り出す以外にない
実力行使前にいかに相手のスキを作り出せるかで勝ちが決まる
まず勝ってのち戦うこと
《『孫子』軍形篇第四、九地篇第十一より》
《『尉繚子』十二陵篇第七より》
《『李衛公問対』下の巻より》
《『六韜』虎韜の巻金鼓篇第三十八より》
《『三略』上略より》
《『孫ピン兵法』上篇威王問より》
《『諸葛亮集』将苑将剛より》
《『荀子』議兵より》
《『闘戦経』第四十八章より》
《『河陽兵庫之記』より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『五輪書』水之巻より》
《『ランチェスター思考II』一部六章より》
《『政略論』第三巻十二より》
《『戦術論』第七巻より》
《『戦争論』第六編第一章より》
■作戦を練る
相手の戦略・戦術を研究し、勝つための条件とその推移を想定しておく
敵将や参謀の性格や傾向、組織構成を看破しその弱みに付け込む
絶えず自軍有利・敵軍不利になるよう戦況を導き、勝つべくして勝つこと
型にハマらず新しい情報を取り入れて勝利への采配を洗い出す
状況に応じて柔軟に仕掛けて対応する
《『孫子』軍形篇第四、行軍篇第九より》
《『李衛公問対』下の巻より》
《『六韜』竜韜の巻軍勢篇第二十六、兵徴篇第二十九より》
虎韜の巻絶道篇第三十九、塁虚篇第四十二より》
犬韜の巻均兵篇第五十五、戦車篇第五十八、
戦騎篇第五十九より》
《『三略』上略、中略より》
《『孫ピン兵法』下篇奇正より》
《『諸葛亮集』将苑将善、
便宜十六策治軍より》
《『闘戦経』第十七章、第四十五章より》
《『河陽兵庫之記』より》
《『甲陽軍鑑』品第五十三より》
《『ランチェスター思考』総論六章より》
《『ランチェスター思考II』二部八章より》
《『政略論』第三巻十八より》
《『戦術論』第四巻、第七巻より》
《『戦略論』第三部第十五章より》
■作戦を相手に知られない
作戦が決まったら誰にも知られないようにすること
こちらの策がわからないから相手はどう戦っていいのかわからなくなる
兵士を分散配置するしかなくなり、各個撃破の好機を得る
知られていたら相手はたやすく対抗策やカウンターなどを施してくる
手の内を知られないことが勝ちやすさに繋がる
こちらの戦力を低く見せて誘い出し、素早く合流して戦力差を逆転する
《『孫子』始計篇第一、九地篇第十一より》
《『李衛公問対』上の巻、下の巻より》
《『六韜』竜韜の巻軍勢篇第二十六より》
《『三略』上略より》
《『孫ピン兵法』下篇奇正より》
《『諸葛亮集』将苑将善、
便宜十六策治軍より》
《『三十六計』第十計より》
《『河陽兵庫之記』より》
《図説『山鹿流兵法』第五章より》
《『五輪書』火之巻より》
《『戦略論』第一部第二章、
第三部第十八章より》
■こちらで戦場を設定する
こちらの強みを活かせつつ「相手が守らざるをえない」戦場を設定する
「守らざるをえない」ところに進軍すれば相手はそこに来ざるをえない
相手戦力の展開元である「結節点」に進攻するのもよい
戦場は健康衛生も加味して設定し、長駆してくる疲れた相手を待つ
戦場を定めたら地形情勢を把握し必要な物資人員を見極めておく
相手にとって不利な地形からあえて前進して対峙する
退却と見せて相手をそこに誘い込んで反転攻勢する
交通線や鉄道線などを利用すれば短時間で兵力を展開できる
《『孫子』虚実篇第六より》
《『李衛公問対』中の巻、下の巻より》
《『六韜』竜韜の巻奇兵篇第二十七、
豹韜の巻突戦篇第四十四、
犬韜の巻武鋒篇第五十二より》
《『孫ピン兵法』上篇擒ホウ涓、
下篇善者より》
《『諸葛亮集』便宜十六策治軍より》
《『河陽兵庫之記』より》
《図説『山鹿流兵法』第一章、第三章より》
《『ランチェスター思考』総論五章より》
《『言志四録』言志晩録より》
《『政略論』第一巻二十三より》
《『戦略論』第一部第二章、第三章、第五章、
第二部第十一章、
第三部第十五章、
第四部第二十章より》
《『戦争の変遷』第四章より》
■状況を最大限に利用する
戦闘時の天候・地形・情勢・敵将の性格・兵の疲労などを利用する
自己の強化や相手の弱化に繋がり、より優位に戦える
《『孫子』九地篇第十一より》
《『呉子』料敵篇第二、論将篇第四より》
《『六韜』竜韜の巻王翼篇第十八、論将篇第十九、
犬韜の巻武鋒篇第五十二より》
《『孫ピン兵法』上篇威王問より》
《『諸葛亮集』将苑便利、地勢、情勢、戦道、
便宜十六策治軍より》
《『呻吟語』第三章より》
《『河陽兵庫之記』より》
《『甲陽軍鑑』甲陽軍鑑末書九品之八より》
《『兵法家伝書』殺人刀 上、活人剣 下より》
《『五輪書』水之巻、火之巻、風之巻より》
《『言志四録』言志晩録より》
《『ランチェスター思考』総論六章より》
《『ランチェスター思考II』一部二章、三章より、
二部八章より》
《『政略論』第三巻三十九より》
《『戦争論』第二編第二章より》
《『戦略論』第四部第十九章、第二十章より》
■相手に守る場所がなく籠城するなら
相手に守る場所がなく最初から籠城するなら包囲を一部緩める
自給自足をさせなくして降伏を迫ればよい
相手に退ける場所がないときは降伏勧告を発して死力を尽くさせない
《『孫子』軍争篇第七より》
《『司馬法』用衆篇第五より》
《『六韜』虎韜の巻略地篇第四十より》
《『孫ピン兵法』上篇威王問より》
《『三十六計』第十六計、第二十二より》
《『呻吟語』第五章より》
《『菜根譚』前集より》
《『甲陽軍鑑』信玄全集末書上巻之六より》
《『政略論』第二巻三十二より》
■進撃ルートの策定
複数の目標を攻略できる地域に進軍する
いずれを攻略するのかわからなくさせて相手を分散防衛させる
そのうえで抵抗の少ないルートを選んで相手の本体を攻撃する
相手が万全の対処をしているなら、すかさず代替目標に切り替える
《『孫子』虚実篇第六、軍争篇第七より》
《『孫ピン兵法』上篇擒ホウ涓より》
《『言志四録』言志後録より》
《『戦略論』第一部第二章、第三章、第七章、
第三部第十七章、
第四部第二十章より》
■先着したら罠や伏兵を配置する
先着したら落とし穴や撒菱・鉄条網等で相手の作戦行動を制限しておく
相手が気を配らない場所に伏兵を潜ませる
相手が気を配っていない時機に強攻させる奇襲兵を準備する
伏兵・奇襲兵の存在が知られたら各個撃破の的になるので即時撤収する
《『孫子』虚実篇第六より》
《『呉子』応変篇第五より》
《『尉繚子』勒卒令篇第十八、踵軍令篇第二十より》
《『李衛公問対』中の巻より》
《『六韜』竜韜の巻奇兵篇第二十七、
虎韜の巻必出篇第三十四、
豹韜の巻敵武篇第四十六、
犬韜の巻戦歩篇第六十より》
《『孫ピン兵法』上篇陳忌問塁より》
《『諸葛亮集』便宜十六策治軍より》
《『春秋左氏伝』斉の桓公制覇の時代より》
《『河陽兵庫之記』より》
《『甲陽軍鑑』品第四十一より》
《『ランチェスター思考II』一部六章より》
《『戦術論』第四巻、第七巻より》
《『戦争論』第三編第九章より》
《『戦略論』第二部第十二章、
第三部第十六章より》
《『戦争の変遷』第三章、第四章より》
■追撃・挟撃の伏線
劣勢に立った相手は「進軍路なら安全」と思うので進軍路を退却する
斥候が敵軍通過を知らせてきたら伏兵や奇襲兵としてそこに残すとよい
《『孫子』虚実篇第六より》
《『呉子』応変篇第五より》
《『尉繚子』踵軍令篇第二十、兵教上篇第二十一より》
《『孫ピン兵法』上篇陳忌問塁より》
《『河陽兵庫之記』より》
《『戦術論』第四巻より》
《『戦略論』第一部第三章、
第四部第十九章より》
■強みで弱みを衝く
数で優っていても相手の攻撃を正面から受け止めない
こちらの「強み」で相手の「弱み」を衝き、一撃必殺の短期決戦を挑む
《『孫子』虚実篇第六より》
《『呉子』料敵篇第二より》
《『孫ピン兵法』下篇〔積疏〕より》
《『諸葛亮集』便宜十六策治軍より》
《『三十六計』第二計、第五計より》
《『貞観政要』納諫篇より》
《『河陽兵庫之記』より》
《図説『山鹿流兵法』第一章、第三章より》
《『五輪書』水之巻、火之巻より》
《『負けない奥義』第二章より》
《『ランチェスター思考』総論五章、各論九章より》
《『言志四録』言志晩録より》
《『戦争論』第三編第十章より》
《『戦略論』第一部第三章、第五章、
第四部第二十章より》
《『戦争の変遷』第四章より》
■集中して補給を確保する
軍を動かすには食糧・物資・資金が不可欠である
それらを前線に送り届けなければ軍は維持できない
こちらは補給・増援を確保しつつ「局所優位」のために全軍を一にする
余裕があるなら数師団に分けて「分進合撃」する戦い方もある
だが分進合撃は各個撃破の危険をはらむため分ける戦力比率を考慮する
《『孫子』作戦篇第二、軍争篇第七、九地篇第十一より》
《『尉繚子』攻権篇第五より》
《『李衛公問対』下の巻より》
《『六韜』文韜の巻兵道篇第十二、
竜韜の巻王翼篇第十八より》
《『孫ピン兵法』上篇威王問、勢備、
下篇客主人分、善者より》
《『河陽兵庫之記』より》
《『甲陽軍鑑』甲陽軍鑑末書九品之八より》
《図説『山鹿流兵法』第一章、第三章より》
《『ランチェスター思考』各論九章より》
《『政略論』第一巻二十三、
第三巻三十六より》
《『戦術論』第五巻より》
《『戦争論』第二編第二章、第三編第十一章、第七編より》
《『戦略論』第一部第二章、第五章、第八章、第九章、
第二部第十二章、
第三部第十八章、
第四部第十九章、第二十章より》
《『戦争の変遷』第四章より》
■相手は分断して補給を断つ
相手の補給・増援を断って長期戦を選択肢から外させる
相手を牽制して分散を促し「局所劣位」に導く
当初こちらが分散し、相手が応じて分散したら、こちらは集中に戻る
戦闘中も敵部隊に間隙が生じたなら分断を図るも一手
後方を撹乱したり後方から挟撃したりして相手を悩ませるのも一手
《『孫子』虚実篇第六、地形篇第十より》
《『尉繚子』攻権篇第五より》
《『李衛公問対』中の巻より》
《『孫ピン兵法』上篇威王問、
下篇客主人分、善者、〔五度九奪〕より》
《『三十六計』第二計より》
《図説『山鹿流兵法』第一章、第三章より》
《『ランチェスター思考』各論九章より》
《『政略論』第一巻五十七より》
《『戦争論』第七編より》
《『戦略論』第一部第二章、第四章、第五章、第六章、第七章、
第八章、
第二部第十二章、
第三部第十五章、第十七章、第十八章、
第四部第十九章、第二十章、第二十三章より》
■武器と戦わず、徹底して本体を攻める
相手が兵を出してきたら、考えなしにそれを迎え撃たないこと
兵を分けてきたのだから、戦力が減少している相手の本体を攻める
いくら相手の前衛を攻撃しても、本体が健在なら脅威は取り除けない
《『孫子』虚実篇第六より》
《『孫ピン兵法』上篇擒ホウ涓より》
《『三十六計』第十三計、第十八計、第三十計より》
《『呻吟語』第一章より》
《『闘戦経』第三十七章より》
《図説『山鹿流兵法』第一章、第三章より》
《『戦術論』第六巻より》
《『戦略論』第一部第三章、
第三部第十七章より》
《『戦争の変遷』第四章より》
■なんでもできる状態で相手の仕掛けを待つ
武術の達人のようになんでもできる状態で構え、相手の仕掛けを誘う
仕掛けてくるということは相手に攻撃の型が作られるということ
攻撃の型には適切な防御・カウンターの型があり、過たずに選択する
固定の型で待ち受けても相手が別の攻撃の型でくれば対処できない
相手が速すぎるときは合わせられないので、博打に出る覚悟は必要
《『孫子』軍争篇第七より》
《『孫ピン兵法』上篇威王問より》
《『諸葛亮集』便宜十六策治軍より》
《『政略論』第三巻十二より》
《『兵法家伝書』進履橋、殺人刀 上、活人剣 下より》
《『五輪書』火之巻、空之巻より》
《『負けない奥義』第二章、第四章より》
■相手に振り回されない
相手の作戦を見抜き、相手に振り回されないで急所を守る
こちらの急所には伏兵などの罠を仕掛けておく
急所に迫られそうならこれ見よがしに罠をひけらかして進軍を抑止する
第三者の立場から相手のすることを見れば思惑は手にとるようにわかる
《『孫子』虚実篇第六、軍争篇第七より》
《『司馬法』天子之義篇第二より》
《『孫ピン兵法』上篇威王問より》
《『諸葛亮集』便宜十六策治軍より》
《『三十六計』第十九計より》
《『兵法家伝書』殺人刀 上、活人剣 下より》
《『五輪書』火之巻より》
■相手を意のままに
主導権をとるとは相手を意のままにでき、相手に振り回されない状態
相手に作戦を知られずに攻めて、相手を意のままに引きずり込む
相手に「これなら勝てる」と思わせて、その油断を衝く
相手に「急所を狙われる」と思わせて、その恐怖心を衝く
相手に手の内を読まれていてもその裏をかく
裏の読み合いになったら、どちらかが選択肢を示すまで受け身が続く
《『孫子』始計篇第一より》
《『孫ピン兵法』上篇威王問より》
《『三十六計』第七計、第十五計、第二十五計、第三十一計より》
《『河陽兵庫之記』より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『兵法家伝書』殺人刀 上より》
《『五輪書』火之巻より》
■相手を誘導する
囮を撒いて相手に「利益」をチラつかせてこちらの「強み」に誘い出す
「手痛い仕返し」があると陽動し、こちらの「弱み」に近づけない
相手が判断を誤るよう情報遮断や偽りや激怒させるなどのミスを誘う
《『孫子』勢篇第五より》
《『呉子』論将篇第四、応変篇第五より》
《『孫ピン兵法』上篇官一より》
《『三十六計』第二十一計より》
《『河陽兵庫之記』より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『兵法家伝書』殺人刀 上より》
《『五輪書』火之巻より》
《『負けない奥義』第二章より》
《『戦略論』第一部第八章、
第三部第十七章、
第四部第十九章より》
■陽動
少数の相手でも正面から攻撃すれば自軍の戦力を相当削られる
そこで先に相手の気を牽制して逸らせておくこと
陽動で東に顔を出して対処させ、主力は警戒の薄らいだ西から攻める
陽動に気づかれたら陽動で局地的な勝利を挙げたのちいったん退却する
《『孫子』勢篇第五より》
《『六韜』文韜の巻兵道篇第十二、
虎韜の巻臨境篇第三十六より》
《『三十六計』第六計より》
《図説『山鹿流兵法』第三章より》
《『兵法家伝書』殺人刀 上より》
《『ランチェスター思考』各論九章より》
《『戦略論』第一部第二章、第三章、第七章、第八章、
第四部第十九章より》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます