指揮官篇
指揮官篇(一):局所優位
いよいよ実戦指揮官の出番です。将軍や軍師の考え方が見えてきます。
局所優位
■兵法の最大原則
ある局所において相手より優れた状態を局所優位という
考えなく正面決戦をするときは数にまさるほうが勝つのは道理
戦場を限定し相手の数を減らせればこちらの数が多くなって勝てる
相手より優れることができる局所を見抜きそれを設定する側に回ること
《『孫子』行軍篇第九、用間篇第十三より》
《『尉繚子』攻権篇第五より》
《『孫ピン兵法』下篇客主人分より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『戦争論』第三編第八章より》
■大軍を擁していても局所優位に努める
大軍を擁する国はえてして「物量圧迫」の罠に陥る
全体の兵力差が明確なのだから刺し違えれば必ず勝てると思い込む
その考え自体が寡兵に「局所優位」を作り出させるスキを生む
「局所優位」が確立しなくては「刺し違える」ことすらできない
《『孫子』行軍篇第九より》
《『諸葛亮集』将苑将誠より》
《『甲陽軍鑑』甲陽軍鑑末書九品之八より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『五輪書』火之巻より》
《『戦略論』第一部第八章より》
■兵法における「局所優位」の優先度
【道】
一.敵国が不義を行ない大義名分の立つ挙兵をする
二.大義を有し外交により同盟国を増やして実数を増やす
三.敵国を分散させ、その手足と戦わず、本体を直接攻める
四.情報を収集・分析して、謀略によって戦わずに封じ込める
【天】
五.指導者が正統性を有し、政策が民意を得て運営に正当性がある
六.組織に明確な法律があり、信賞必罰が徹底している
七.組織が指導者の指示に忠実で、職務に従って職責を全うしている
八.内政が充実し、戦力を後押しするだけの食糧・資金・物資を有する
【地】
九.こちらの作戦を敵対国に見抜かれない
一〇.敵国の急所に出撃して相手をこちらの設定する戦場に遠来させる
一一.こちらの戦力が有効に活かせる戦場を設定し伏兵を配置する
一二.戦場の天候地形を熟知し、こちらの作戦を構築する要素とする
【将】
一三.指導者が指揮官を信頼し、指揮官は指導者を奉っている
一四.戦場では戦力を集中して補給を確保し、強兵で守りを固める
一五.敵軍を分断して補給を断ち、敵本体の崩れを待って弱卒で討つ
一六.こちらが集中し敵軍を分断しても勝ち目がなければ潔く退却する
【法】
一七.指揮官は兵士を慈しみ、兵士は指揮官を慕っている
一八.軍法を明確にし、信賞必罰を徹底して指揮官の命令に従わせる
一九.兵士に勝ち癖をつけて士気を高める
二〇.兵士の逃げ道を断ち、明確な標的を定めて死力を尽くさせる
兵士が戦場で死力を尽くすなど兵法では末端に過ぎない
優先度の高いものをクリアしていけば兵士は自然と死力を尽くす
《『孫子』始計篇第一より》
《『孫ピン兵法』上篇威王問、
下篇客主人分、〔五度九奪〕、〔積疏〕より》
《『尉繚子』戦威篇第四、攻権篇第五より》
《『李衛公問対』下の巻より》
《『諸葛亮集』将苑将誠、謹候、揣能、撃勢、
便宜十六策治軍より》
《『荀子』議兵より》
《『管子』七法より》
《『甲陽軍鑑』品第三十九より》
《図説『山鹿流兵法』第四章より》
《『君主論』第一〇章より》
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