指導者篇(十二):戦略
戦略
■戦略・作戦戦術の策定
戦略とは指導者が定める勝利の条件を指す
作戦戦術とは条件を満たすよう指揮官がふるう采配を指す
戦略は部下であっても秘匿して相手に意図を悟らせない
つねに複数の代替戦略を用意しておくこと
《『孫子』軍争篇第七、九変篇第八、用間篇第十三より》
《『孫ピン兵法』上篇〔見威王〕、簒卒、月戦より》
《『諸葛亮集』将苑将善、戒備、
便宜十六策治軍より》
《『政略論』第二巻十五より》
《『戦争論』第八編第二章より》
《『戦略論』第一部第二章より》
■目的に適った戦のみ行なう
目的に適いできることから確実に目標を設定する
「できない手段で目標を設定しても」無意味だ
戦に勝つことで目的にどう貢献するかを明確にし、無駄を避けること
また戦闘自体を政治的目的としてはならない
《『孫子』作戦篇第二、火攻篇第十二より》
《『尉繚子』兵談篇第二より》
《『李衛公問対』下の巻より》
《『三略』上略、下略より》
《『孫ピン兵法』上篇〔見威王〕、月戦、
下篇〔将失〕より》
《『諸葛亮集』将苑将善、戒備より》
《『三十六計』第四計より》
《『中庸』知より》
《『管子』五輔より》
《『貞観政要』弁興亡篇、征伐篇より》
《『三事忠告』牧民忠告より》
《『呻吟語』第三章より》
《図説『山鹿流兵法』第一章、第四章より》
《『ランチェスター思考II』二部七章より》
《『言志四録』言志後録より》
《『戦術論』第一巻より》
《『政略論』第一巻六、三十一、
第二巻二十七より》
《『戦争論』第一編第一章、第八編第二章、第八編第六章Bより》
《『戦略論』第三部第十七章、
第四部第十九章、第二十章り》
《『戦争の変遷』第六章より》
■講和を考慮する
政治的に利益のある講和が可能な状況を迎えたら、ただちに講和する
たとえ軍部が反対しようと、講和は指導者の裁量である
講和内容を変更せず名誉回復の機会を与え、和平を長続きさせる
《『孫子』作戦篇第二より》
《『李衛公問対』中の巻より》
《『貞観政要』征伐篇より》
《『孫ピン兵法』上篇月戦より》
《『孟子』梁恵王より》
《『荀子』議兵より》
《『管子』覇言より》
《『政略論』第三巻二十より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『戦争論』第一編第二章より》
■いつでも行動できるよう備える
希望的観測にハマらず組織を結束させ態勢を整えて万事に備える
好機が到来したときに見逃さず乗じることができるよう態勢を整える
個人の能力に過度な期待はせず総員を「勢い」に乗せる
ただ好機を待つだけでなく、こちらから機会を作る
《『孫子』九変篇第八より》
《『孫ピン兵法』上篇〔見威王〕より》
《『諸葛亮集』便宜十六策治軍より》
《『管子』覇言より》
《『闘戦経』第三十四章、第四十二章、第五十三章より》
《『甲陽軍鑑』甲陽軍鑑末書九品之八より》
《『重職心得箇条』第三条より》
《『言志四録』言志録より》
《『政略論』第三巻十より》
■不敗に立つ
まず万全の態勢を築いて「不敗」に立つ
「不敗」とは決戦をせずに内政や自己努力で相手と覇を競う状況
平時は相手と均衡を保ち、相手に不祥事や弱みが生じたら攻めに転ずる
勝てそうな局面であればリスクをとってでも大きく勝負に出る
《『孫子』軍形篇第四より》
《『李衛公問対』下の巻より》
《『三略』上略より》
《『荀子』議兵より》
《図説『山鹿流兵法』第一章、第三章より》
《『負けない奥義』第三章より》
《『ランチェスター思考』総論六章より》
《『戦争論』第一編第一章より》
《『戦略論』より》
■致命傷への道筋を見通しておく
戦略の優先度が高いのは「致命傷を受けない」こと
負けそうな局面でも致命傷を避け、損耗を減らすことを成果とする
相手のどういう仕掛けでこちらが追い込まれ敗れるのかを想定しておく
その道筋をたどっているようならすぐに脱出することを考える
座して待てば敗北するだけだが脱出を図ることで致命傷を回避できる
《『諸葛亮集』出師の表、後出師の表より》
■争いたくないときは強さを装う
争いたくないときはこちらがさも強いと見せかけること
見せかけることで相手の敵対・開戦意欲を抑止する
《『李衛公問対』下の巻より》
《『三十六計』第二十九計より》
《図説『山鹿流兵法』第二章より》
《『戦略論』第一部第二章より》
■それでも争いたくないとき
争いたくないのに相手が争いたがっているときは争わずに負けるべき
ただ大幅に負けこまないラインまでしか譲歩しないこと
これ以上負けるわけにはいかない生命線ならば抗戦せざるをえない
《『政略論』第一巻二十二より》
《『戦略論』第一部第二章より》
■非道を討つ
力を蓄えたら「非道」討伐に乗り出して「常勝」となす
「非道」とは世間に害を振り撒き味方も損ねるような存在を指す
「非道」討伐には戦を起こす大義名分が立つ
大義名分を立てて戦えば他組織や民衆の賛同が得られる
敵を作り上げてその脅威を人々に煽り「非道」さを印象づける
そして人々の先頭に立って「非道」を討つと宣言すれば賛同される
《『孫子』始計篇第一より》
《『尉繚子』十二陵篇第七、武議篇第八より》
《『六韜』武韜の巻発啓篇第十三より》
《『三略』上略、下略より》
《『諸葛亮集』将苑審因より》
《『春秋左氏伝』斉の桓公制覇の時代、楚の荘王制覇の時代より》
《『孟子』梁恵王、公孫丑、尽心より》
《『墨子』兼愛下、非攻、公孟より》
《『荀子』王制、富国、議兵より》
《『管子』七法より》
《『河陽兵庫之記』より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『兵法家伝書』殺人刀 上より》
《『君主論』第九章、第二六章より》
《『政略論』第一巻二、
第二巻二十八より》
《『戦争の変遷』第五章、第七章より》
■開戦判断
戦った後の分け前を考慮して、戦に臨むべきかを冷静に判断する
その場の感情に任せて視野を狭めないこと
相手の出方が不明なら万全の想定をしたうえで誘いをかけて反応を見る
《『孫子』始計篇第一より》
《『管子』七法より》
《『呻吟語』第三章より》
《『河陽兵庫之記』より》
《図説『山鹿流兵法』第一章、第四章より》
《『政略論』第二巻六より》
《『戦略論』より》
■損害を考慮しなければ得られない
戦には損害が付き物で、利益のみを追及して成功した例はない
損害と利益の釣り合いがとれている場合のみ開戦すること
戦争で人を殺す者は、人から報復されることを覚悟していること
《『孫子』九変篇第八より》
《『諸葛亮集』便宜十六策思慮より》
《『三十六計』第十一計より》
《『管子』七法より》
《『呻吟語』第三章より》
《『菜根譚』前集より》
《『闘戦経』第二十七章より》
《図説『山鹿流兵法』第二章、第五章より》
《『政略論』第二巻六より》
《『戦略論』第三部第十五章より》
《『戦争の変遷』第六章より》
■攻めようとする思惑を知られない
自分が狙われていると気づかれれば対策を施される
気づかれなければ不意を衝き裏をかいて短期決戦が可能となる
戦う場合はこちらの思惑を知られないことが重要
《『孫子』始計篇第一より》
《『河陽兵庫之記』より》
《図説『山鹿流兵法』第三章、第五章より》
《『負けない奥義』第二章より》
《『ランチェスター思考II』二部九章より》
《『戦略論』第一部第二章より》
■弱いと思わせて侮らせる
こちらが強いと思われると相手は備えを万全にして「不敗」に立てる
弱いと思われると備えを怠って短期決戦が可能になる
強いと思われて研究されるより弱いと思わせて侮らせたほうが得なのだ
《『孫子』始計篇第一より》
《『李衛公問対』上の巻より》
《『六韜』文韜の巻兵道篇第十二より》
《『三十六計』第二十七計、第二十八計より》
《『論語』公冶長第五より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『五輪書』火之巻より》
《『政略論』第三巻二より》
■勝敗ラインを事前に把握しておく
争いは一方的に始められるが、一方的に終わらせることはできない
双方合意のうえでないと終戦できないのだ
もし「こちらが勝つまで戦い続ける」となれば泥沼に陥る
相手が挫折する最終防衛ラインが勝敗ラインの判断基準となる
《『政略論』第一巻二十三より》
■開戦したときの障害を事前に処理しておく
戦術レベルで優秀な敵将はいくらでもいる
戦う前に力をふるえないようにしてしまえば障害は取り除かれる
頼みの綱が満足に戦えない状態なら戦わずして相手を降すこともできる
《『孫子』用間篇第十三より》
■事前に対策を調えておく
戦う前にあらゆる事態を想定して対応策を巡らせておく
戦いながら勝機を見出すことはしない
あらかじめ事態を想定してあれば心が落ち着いて余裕をもって臨める
事前に想定して代案を準備しておくかで勝利できるか決まる
《『呉子』励士篇第六より》
《『呻吟語』第五章より》
《『戦術論』第四巻より》
■換えのきかない武器
技術など「換えのきかない」武器を手にして標的を特定して攻める
自分たちが持たない技術では、その技術を有する勢力には勝てない
強者は模倣するので、追いつかれる前に新たな武器で攻め続けること
《『六韜』虎韜の巻軍用篇第三十一より》
《『諸葛亮集』将苑択材より》
《『河陽兵庫之記』より》
《『負けない奥義』第四章より》
《『戦術論』第二巻より》
《『戦略論』第一部第四章、
第三部第十六章、
第四部第二十一章より》
《『戦争の変遷』第三章より》
■特殊部隊の編成
人員にゆとりがあれば切り札となる特殊部隊を複数編成する
身体・適性・思考など特徴ごとに特殊部隊を編成する
圧倒的な「強み」の切り札を適宜投入すれば戦況を優位に進められる
《『呉子』図国篇第一より》
《『六韜』竜韜の巻王翼篇第十八、
犬韜の巻練士篇第五十三より》
《『孫ピン兵法』上篇官一、
下篇十問より》
《『諸葛亮集』将苑択材より》
《『管子』軽重より》
《『闘戦経』第四十三章より》
《『河陽兵庫之記』より》
《『甲陽軍鑑』甲陽軍鑑末書九品之八より》
《図説『山鹿流兵法』第四章より》
《『君主論』第一二章より》
《『戦術論』第二巻より》
《『戦略論』第一部第四章より》
■戦は一瞬で決する
戦は短期間に一回で勝敗を決し、長引かせないこと
長引くと物価の高騰・国民の減衰・財政の逼迫・軍の損耗を招く
《『孫子』作戦篇第二より》
《『孫ピン兵法』下篇〔将失〕より》
《『諸葛亮集』便宜十六策治軍より》
《『三十六計』第十五計より》
《図説『山鹿流兵法』第三章より》
《『ランチェスター思考』各論九章より》
《『政略論』第二巻六より》
《『戦争の変遷』第六章より》
■敵領を占領したら
相手人民の反発を招くような略奪暴行は厳禁し、違反したら即処罰する
そして相手人民から糧秣を適正価格で買い取って自軍の補給とする
現代では敵地で補給を確保することは困難なため輸送を強化すること
《『孫子』作戦篇第二より》
《『呉子』応変篇第五より》
《『司馬法』仁本篇第一、定爵篇第三より》
《『六韜』武韜の巻三疑篇第十七より》
《『孟子』梁恵王より》
《図説『山鹿流兵法』第四章より》
《『政略論』第一巻二十六、
第二巻二十一より》
《『戦争論』第七編第三章より》
《『戦争の変遷』第四章より》
■掃討は粘り強く
勝利後の残党掃討は完全に壊滅させるまで粘り強く続ける
残党を放っておくと時機を見て再集結して反撃してくる
《『戦国策』秦より》
《『呻吟語』第三章より》
《『甲陽軍鑑』甲陽軍鑑末書九品之二より》
《『五輪書』火之巻より》
《『政略論』第三巻四より》
《『戦術論』第四巻より》
《『戦争論』第一編第二章より》
■失敗したらやり方を変える
成功はさらなる大きな成功へ繋げ、失敗は最小限に抑える
失敗したことを規模を変えて繰り返しても結果は変わらない
やり方そのものを改めないと失敗を成功に転じることはできない
やめようと思いたったらそのとき即座にやめるべき
《『易経』繋辞下伝より》
《『論語』衛霊公第十五、季氏第十六、子張第十九より》
《『孟子』公孫丑、離婁より》
《『墨子』親士より》
《『呻吟語』第四章より》
《『菜根譚』前集、後集より》
《『五輪書』火之巻より》
《『ランチェスター思考II』一部五章、
二部十二章より》
《『言志四録』言志後録、言志耋録より》
《『戦術論』第四巻より》
《『戦略論』第四部第二十章より》
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