部下篇(二):実務
実務
■組織に馴染む
人と接するときはまず「馴染む」ことを優先する
周りと和やかなら仲間意識が芽生え、さまざまな補助が受けられる
馴染んでいればそれだけ出世の機会も回ってくる
一匹狼を気取って出世できる人はほんの一握り、それなら独立すべき
《『莊子』人間世より》
《『易経』繋辞下伝より》
《『論語』学而第一、公冶長第五、季氏第十六より》
《『鬼谷子』ハイ闔第一》
《『菜根譚』前集より》
■相手の話をよく聞く
馴染むための手始めは「相手の話をよく聞く」こと
相手の話をよく聞いてやれば相手の心がじょじょに開いていく
相手の発言を遮って己の主張ばかりしていると相手から嫌われるだけ
一歩下がって譲り合う精神が求められる
《『易経』繋辞下伝より》
《『論語』学而第一、公冶長第五より》
《『鬼谷子』ハイ闔第一、反応第二》
《『呻吟語』第六章より》
《『菜根譚』前集より》
《『甲陽軍鑑』品第四十、第五十三より》
■相手の置かれている状況と価値観・心情を知る
日頃から相手をつぶさに観察し発言と込められた奥底を汲み取ること
世情や相手の価値観・心情を把握し相手の状況を予め知る
《『戦国策』韓より》
《『論語』雍也第六より》
《『鬼谷子』謀篇第十》
《『呻吟語』第五章より》
《『菜根譚』前集より》
《『甲陽軍鑑』品第五十三より》
《『言志四録』言志晩録より》
■手の内を知る
相手がどう思っているのかをすべて開陳させておくこと
相手の選択肢にないことを自主的にとることは絶対にない
相手の選択肢にあることなら実行を引き出しうる
《『鬼谷子』反応第二》
■調子を合わせる
相手の話を聞きながら「調子を合わせる」ことで共感を築いていく
共感が築ければ、相手と親しく付き合えるようになる
手っ取り早いのは「道徳的価値観を共有」して道理を貫くこと
ある人と親しくなることは、対立する人を敵に回すことでもある
《『論語』学而第一、里仁第四、公冶長第五、子路第十三より》
《『鬼谷子』ハイ闔第一、忤合第六》
《『呻吟語』第一章、第四章より》
■参加する派閥を明確にする
組織に派閥がある場合は、参加する陣営を明確にしたほうがよい
陣営を明確にしないと出世の道程は遠くなる
《『論語』為政第二、公冶長第五、衛霊公第十五より》
《『鬼谷子』忤合第六》
■任された仕事を全うする
相手から求められた仕事を全うして実績を築いていく
高い水準で全うできればよりレベルの高い仕事を任せられる
出世したいのならまず任された仕事は高い水準で全うすること
《『諸葛亮集』便宜十六策思慮より》
《『論語』学而第一、顔淵第十二、子張第十九より》
《『荀子』非十二子より》
《『管子』形勢より》
《『貞観政要』貪鄙篇より》
《『三事忠告』牧民忠告より》
《『呻吟語』第一章、第二章より》
《『菜根譚』前集より》
《『闘戦経』第四章、第五章、第十二章より》
《『言志四録』言志録、言志晩録、言志耋録より》
■仕事の優先順位を確認しておく
上司から複数の仕事を任されることがよくある
どれが最優先なのか後回しにしていいのかを予め上司に確認しておく
気力が充実している始めのうちに困難なことから手をつける
優先順位に齟齬が生じると確認しなかった部下側が責められる
《『論語』顔淵第十二より》
《『管子』覇言より》
《『三事忠告』牧民忠告より》
《『呻吟語』第一章より》
《『闘戦経』第三十七章より》
《『五輪書』水之巻より》
《『重職心得箇条』第十条より》
《『言志四録』言志晩録、言志耋録より》
■全力の八割で仕事を処理する
上司はこちらの全力ギリギリの成果を要求してくる
生真面目な人ほど全力全開で仕事に取り組もうとする
すべての仕事を全力でこなそうとすると心身ともに損耗が激しくなる
全力を求められても八割で対処し、残り二割は突発事態の備えとする
《『論語』子張第十九より》
《『呻吟語』第二章、第三章より》
《『菜根譚』前集より》
《『言志四録』言志晩録より》
■仕事を最速で仕上げる
任された仕事は脇目もふらず一心不乱に「最速」で仕上げる
迷いが生じたら即座に上司・同僚と相談して解決を図る
わからないことを放っておくと任された仕事は完遂できない
そのためにもじゅうぶんに準備を行なうべきである
《『孫子』作戦第二より》
《『論語』為政第二、雍也第六より》
《『三事忠告』牧民忠告より》
《『呻吟語』第三章より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『言志四録』言志晩録より》
《『ランチェスター思考II』一部一章、
二部九章より》
《『戦争論』第一編第一章より》
■拙速を心がける
期限に間に合うよう丁寧に仕上げようとすると改善する時間がとれない
短時間で成果を出すようにすれば、やり直しの時間を確保できる
よって質を問われることほど、拙くても速ければ速いほどよい
《『孫子』作戦第二より》
《『論語』為政第二、郷党第十、子張第十九より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『五輪書』水之巻より》
《『ランチェスター思考II』一部一章より》
《『戦争論』第一編第一章より》
■仕上げたら校正する
仕上げたら完成度を高めるため一度だけ校正し、誤りを修正しておく
校正するようになると、自分がどこで間違いやすいかが理解できる
結果、拙速で仕事を処理してもミスが少なくなっていく
昇進したときに必要となる修正力を鍛えることにも繋がるので怠らない
《『論語』学而第一、子張第十九より》
《『三事忠告』牧民忠告より》
《『呻吟語』第三章より》
■進捗を報告する
任された仕事は黙々とこなさずつねに進捗具合を上司に伝える
仕事の結果が〇か百かしか報告しないと相手には進み方がわからない
相手に進捗度を伝えていればペースを調整しやすくなる
《『三事忠告』牧民忠告より》
■約束を守る
相手と交わした「約束を守る」から相手の信用が得られる
信用が得られなければ実績を残しても昇進の話など持ち上がらない
約束は「有言実行」を旨とし、成果をきちんと形にすること
ただし無理強いされた約束は守るに値しない
ウソをつくのも他人との約束を反故にするようなもの
《『三略』上略より》
《『春秋左氏伝』鄭の荘公小覇の時代より》
《『易経』繋辞上伝より》
《『論語』学而第一、為政第二、里仁第四、述而第七、
子路第十三、憲問第十四、衛霊公第十五、陽貨第十七より》
《『墨子』耕柱、公孟より》
《『管子』形勢より》
《『韓非子』外儲説より》
《『三事忠告』牧民忠告より》
《『呻吟語』第一章より、第二章、第五章より》
《『菜根譚』前集より》
《『闘戦経』第八章より》
《図説『山鹿流兵法』第一章より》
《『負けない奥義』第一章より》
《『政略論』第三巻四十二より》
■できなくなりそうなら即報告
交わした約束が果たせなさそうなら相手に即座に報告する
上司と早期に相談していれば助け舟を出してくれる可能性が高まる
報告もせずに果たせなくなれば信用がガタ落ちし昇進にも響いてくる
《『易経』繋辞下伝より》
《『三事忠告』牧民忠告より》
■任されていないことには手を出さない
能力があれば職分を越えがちだが、相手が求めるのは職分を果たすこと
職分を越えるのは「出る杭」であり必ず打たれる
猜疑や反発を買うだけなので、能力があっても口にすら出さない
《『諸葛亮集』便宜十六策思慮より》
《『戦国策』斉より》
《『論語』学而第一、先進第十一、憲問第十四より》
《『墨子』公孟より》
《『荀子』非十二子より》
《『韓非子』二柄より》
《『三事忠告』牧民忠告より》
《『呻吟語』第二章より》
《『菜根譚』前集より》
《『言志四録』言志晩録より》
■信用を失うのは一瞬
信用されていないのに相手に口を出すのは「差し出口」でしかない
差し出口は心象を悪くするだけであり今の立場すら危うくする
じゅうぶん信用されていないうちに自身の考えを披露してはならない
過ちを犯しそれを認めないようではどうして信用されようか
《『論語』陽貨第十七より》
《『韓非子』説林より》
《『呻吟語』第一章より、第二章より》
《『菜根譚』前集より》
■上司から判断を求められたら
上司が思っていることをまず知り、乗りながら意見を付加していく
上司の判断が正しかったら裏づけられたと信頼が築ける
上司の判断が間違っていたらこう意見を述べていたと信頼が弥増す
《『論語』学而第一、為政第二、季氏第十六より》
《『三事忠告』風憲忠告より》
《『呻吟語』第一章より》
■上司が過ちを犯しそうならすかさず諌める
上司といえど判断がつねに正しいとは限らない
部下が上司を諌めもせず陰口を叩くなど職務怠慢も甚だしい
上司が失敗するのを見て勝ち誇るようでは上司から処断されるだけ
上司としても諌めてきた部下を褒賞するくらいでなければ一流ではない
《『戦国策』斉より》
《『論語』郷党第十、顔淵第十二、憲問第十四、微子第十八より》
《『墨子』親士、公孟より》
《『荀子』王制、臣道より》
《『孟子』公孫丑、万章より》
《『貞観政要』君道篇、政体篇、納諫篇、君臣鑒戒篇、公平篇より》
《『三事忠告』廟堂忠告、風憲忠告より》
《『呻吟語』第二章より》
《『菜根譚』前集より》
《『河陽兵庫之記』より》
《『甲陽軍鑑』甲陽軍鑑末書九品之八より》
《『君主論』第二三章より》
《『政略論』第三巻三十五より》
■何事も楽しんで行なう
知るだけでなく好きになること、好きになるだけでなく楽しむこと
楽しんで行なうから苦も感じずいつまでも続けていくことができる
仕事が長続きするかしないかは「楽しむ」かどうかにかかっている
あまりにも楽しみすぎるのもよくない、ほどほどにする
とりかかる前に終わったときのことを考えてあれば道を誤らない
《『老子』より》
《『論語』学而第一、雍也第六、述而第七、子罕第九、
憲問第十四、微子第十八より》
《『呻吟語』第一章、第五章、第六章より》
《『菜根譚』前集より》
《『負けない奥義』第二章より》
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