第25話

今朝は30分程、犬の散歩が遅れてしまった。余りこうした事はないのだか。    それで、散歩の帰りにブルが例のマンションの直ぐ近くの、あのコンビニの外にいるのを見た。あの小松菜の上司で、ブルドッグに 似た警部だ。              相変わらず太っている。         ブルはコンビニの外に並べて置いてある  ゴミ箱の横に、後ろ向きで立っている。  頭は下を向き、一生懸命にメールを打っている様だ。                時間は、普段ならもうとっくに警察署へ着いている時間なのだが。          何をやってるんだろう?恐らく、昨日は  警察署に泊まったんだろう。週に一度だとかに泊まりがあるらしいから。       だからそんな時間にそこにいるのかもしれない?そして恐らくは、そのマンションにいる自分の浮気相手に連絡をしているんではないか?                  帰る前に会いたいのか、一寸そこで休憩でもしたいのか?でも、多分女のほうはそんな朝方には会わないと思うが。まだ寝ているだろうから。                それともそこから出て来て、帰る前にメールをしているのか?余り考えられないが。  そういやその前にも、ブルがこのコンビニの直ぐ側を警察署へと歩いていて、道路向かい側の私と顔が合ってしまった。      それで私は、知っているよ!、と言う顔で ジッと見つめると、自分も気まずそうにしばらく見つめ返したが、直ぐに薄ら笑いを浮かべて横を向き、真っ直ぐに前を向いて歩いて行った。                後日、今度は警察署付近の交差点でかち合った。私を見ると、警察署へと渡る為に赤信号を待っていたのに、途端に急いで横の青信号を渡り、反対側へ!           渡った目の前にある、警察署直ぐ側のコンビニへと逃げ込み、離れる作戦だ。     私はこの間のあの顔に付いて一言言ってやろうかと思い、犬と共に交差点を走り渡り、 追いつく。               「この間、私を見て笑ってませんでしたか?」                 コンビニの扉はもう目前。だが、困り顔だ。                 「エッ?!」              返事に困り、黙る。だが、直ぐに怒り顔だ。「何か、自分だけ良い思いしてるから、あんな顔したのかな〜、って。」        わざとそう言ってやった。あんな馬鹿にした顔をされる必要は無いから。       ブルはムッとしてもっと怒り顔になり、急いで無視してコンビニへと飛び込んだ!! 又 不躾な、子供みたいな態度で。      私はそんな事も思い出して、勝手に色々と 思いながら、車道を挟んだ向かい側の道路を歩いて行った。             だが今日は、ブルは私が自分に気付きその後ろ姿を見ていた事は、恐らく知らないだろう。                  だけどこの男、一体いつまでそんな事をするつもりなんだろう。奥さんが知ったら何て 言うだろう。きっと凄くショックだろう。 奥さんは、相手について色々と聞いたりして、病院へ行って性病にかかっていないか 検査しろ、と言うだろうか?水商売をして いる、そうした外国人の女達だからやはり 心配してそう言うだろうか?       小松菜の事はもうしばらく見ていないが、 やはり奥さんにバレたのではないか?もし そうなら、検査をしただろうか?行かされただろうか?               私なら多分、一応念の為にする。もし自分がそうした男なら。(普通、風俗嬢は定期的に検査を受けていると聞いた事があるが、ああした外国人のホステスは多分しないだろうから。)                 それとも、やはり恐くて行けないだろうか、どうだろう?…

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