第23話

だが、正直余り面白くない。(勿論全てでは無いが)警察の男達がああして仕事帰りに そうしたマンションへそのまま行ったり、又は明らかにそうやって女と会う為に、と思う様な態度で、バス停てせわしなくメールを送ったりしている様が。          そして翌日はそのマンションから出て、直ぐ近くのコンビニで食べ物や飲み物を買ったりして、出勤している様が。朝帰り、と似た感覚を覚える。(地方公務員の警察官は風俗は当たり前だし遊び人が多い、と以前に何処かで聞いた事はあるが。)       

別に私に関係ないと言えば関係ない。個人的にその男達を知っている訳ではない。   だが、警察に働く男達で、毎朝夕に通勤しているのを見ている連中だ。後は、口を聞いた男達だ。だから分かった。でなければ普通の会社員だと思っただろう。        私が小松菜にそうした事を話したからか? それもあるんじゃないか?それまではああした娘達やそうした店に付いて何も興味が無かった様だったから。明らかに私の話した内容に驚き、反応していたから。だから最初の取っ掛かりはそうなのじゃあ。       なら、私のおかげて彼等は良い思いをしたし、しているんじゃないのか?小松菜もブルも,その他も。             小松菜は散々そうしてそのマンションに泊まりまくり、ブルは恐らくは生まれて初めての、若いホステスの浮気相手ができた。その他の中年の、普通のオジサン風や、若くて 大してお金もない様な男達がその店に通い、夜はそこのホステス宅に泊まっている。  専属の女達がいる男達と、いないがその都度適当に相手にしてくれる女達がいるのだろう。                  あそこの警察関係者がドンドン連れて行かれ、又、飲みに行くならあそこにする様になっているのかもだ。あそこに行けば、自分達を女達は喜んで泊める。相手をする。そうした段取りになっていて?        何故なら又違う警官仲間を連れて来るし、 行かせるから。客は増える。警察官だから殆どがブヨついたお腹ではないし、太っていない。変な態度もしない。         そして、そうした仕事をしている男達を相手にするのは嫌ではない。安全だとか安心だし、そうした男達が自分に夢中だとか興奮したりする様にも優越感を覚える…。    この間、20代前半の、背がかなり低い警察官がマンションの方から出てきてその間近のコンビニで買い物をして出て来た。私は後ろを歩いていた。彼は真っ直ぐに警察署へと歩いて行った。私も同じ方向を犬と歩く。  警察署の目の前の横断歩道で真横になった。信号は中々変わらない。だから私は声をかけてみた。                「ねー、警察の人?」           相手は驚いた。             「はい、そうです。どうして分かったんですか?」                 そんなのは見れば分かる。ましてや警察署の目の前で、渡ろうとして待っている。だが、私はこう聞いた。            「あのマンションの方から出てきて、あの コンビニで買い物してたでしょ。」     私の顔をまじまじと見る。        「あそこね、よく警察の人が出て来るから。有名だよ。」               わざと,有名だと言ってみた。      「いえ、たまたまですよ。」        なにかわざとらしい。とぼけた感じだ。  「でもあそこの道から出てきたでしょ。」  「はい。」                「あの近くに住んでるの?」        違うのは分かっているが、そう聞いた。  「いいえ、違います。」          何か困った感じだ。信号は中々変わらない。いつもそうだが。            「ねー。警察って背が小さくても入れるの?」                  「入れますよ。」             「でも結構小さいから。」         悪いと思ったがかなり小さく見えるし、知りたかった。そして、話題も変えてやった。 「160センチあります。160センチあれば入れるんです。」           「エーッ、あるの?」           とてもそうは見えない。もしかしたらギリ ギリなのか、それとも測り方をそこまで  ピシッとしないのかもしれない。彼は又同じ事を繰り返した、自分は160センチあると。わざと、あのマンションの話題に触れられたく無いと言う風に繰り返した。    この時に信号が青になったので、私達は  渡った。そして彼はもう行かなくては、と 言う態度をした。私は、行ってらっしゃい、と言ってやった。この時彼は無言で、初めて憎々しそうな表情で私をジッと見つめた。 そしてくるりと踵を返すと、警察署の方へと急いで、中へ入って行った。       続く…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る