第15話

巳や呑んは、恐らく今まで彼女などいなかったのじゃないか?そんな感じの青年に思えた。だから仕事中でも、電話がかかって来れば、出ないといられない。そして出ないと、嫌われたり振られるんじゃないか?、とそんな風に心配してたのでは?        そして、振られたら又寂しい独りに戻る。 そんなのは耐えられないだろうから!   何しろ精神的にも肉体的にも満たされているのだ。                 彼等はは彼女達から簡単には離れられないし、離れたくないのだ。だから蟻地獄にもなるのだろう。              もし結婚していれば、浮気がバレたら戻るかもしれない。(戻らない人もいるらしいが…。)                 私が当時ホステスとして働いていた時に、 こんな出来事があった。今話した事を裏付ける様な。                一つは、そのフィリピーナが出勤して来た時に、手にアイスキャンディーを持っていた。丁度夏で、暑い日だった。        彼女はそれを頬張りながら入って来た。仲間が何か言った。すると彼女はそのアイスを 何度もペロペロと舐め回したり、しゃぶったりした。周りのフィリピーナ達がゲラゲラと嬉しそうに笑い始めた。又、その娘はアイスを意味深に舐めたり、しゃぶる。     その時は、一体何がそんなに面白いだとか 楽しいのだろうと思った。        又、違う時だ。私が割と親しかった、少し 年上のホステスがいた。彼女には子供が二人いた。その彼女が私に話した内容はこうだ。                  彼女は、いつも指名が多いだとかお客が耐えないピーナ達が、一体どうやってお客を呼んでいるのかと前からとても知りたかったそうだ。だから、ある時同じテーブルについた そのピーナに何気なく聞いてみた。   「ね〜、どうして貴方達ってそんなに   お客さんが沢山いるのー?」       その娘は割とお酒が入っていたらしい。  「エッ、何?」             それで彼女は又聞いてみた。       「舐めるの。」             「エッ?」               最初は意味が分からなかったそうだ。するとその娘は得意そうに又言ったそうだ。   「お姉さん、舐めるの。そうしたらお客さん、みんな来るから。」          そして、その娘は母親に教えてもらったからそれを実行していると。母親は彼女がフィリピンにいる時に、もうもっと前にそう教えたそうだ。                男の性器を舐めろ。性器を舐めたりしゃぶると男は最高に喜ぶ。これが男を繋ぎ止める、そして上手くいく秘訣だ。これさえやって いればどんな男との関係も上手くいくと。 だから、彼女は男性器を舐めるししゃぶる。その技術を磨く。そして長くそれをお客に する。お客はその快感に酔いしれて何度でも来店する。               他のピーナ達も同じで、だからお客が切れない。もしその客が駄目になっても又違う男が代わりに幾らでも来る。         そうした仕事の仕方をする。       友人は私にそう話したが、最初は大変に驚いたそうだ。ましてや親がそんな事を子供に教えると言って。普通じゃ考えられない、日本じゃとても考えられないと言って呆れ返った。そして何度も繰り返した。      「やっぱりあんな国だもん!やっぱりあんな遅れた、貧乏な国だもん!!だから仕方ないんだろうけど、本当に聞いて驚いたよ。」 これは今からもう役30年近く前の話だ。 一応、言っておく。            (今も大して変わりは無い様に聞くが、仕方ないのだろう。)             巳や呑んももう今頃は、あの時のピーナと 結婚しているかもしれない…。それか違う娘を目当てに通っているか、違う娘と疑似恋愛をしているかもしれない…?)      さっき犬を散歩をしていると朝夕たまに見る、真面目そうな警察官のオジサンがバス停で待っていた。何となくソワソワして、周りを少し気にした風で。だが実はこの間、朝にあのマンション付近のコンビニから出て歩いていた、同じ人だ。           私は後ろを通ったが、その時にポケットから携帯を出してメールをし出したのが見えた。既婚者の男がバス停で、又はバスに乗った 途端に携帯を出して見る。メールをチェックしたり、送る。             余り、配偶者や家族が相手だとは考えられない…。普通は待ち合わせだとか、これから 会う相手じゃ?相手が男なのも余り考えられない。男同士でそんな事をするのが。   私は何となくそんな風に思った。違うかどうかは分からないが。だから今日その店に行き、その後にあのマンションに泊まるのだろう…?きっと彼も、病みつきになった一人なのだろう。               続!                                                                                               

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