第13話

何故、小松菜が私だと気付いた時に笑ったのか。これには理由がある。多分、これがそうだろう。                実は制服警官が家の前に大勢集まり丸で警察ドラマみたいになり、私は最初只驚いて  いた。だが、段々と不安になってきた。  嫌だなぁ、一体どうなっちゃうんだろう? そんな風に思い始めていると、小松菜警部補が来て、色々と聞いてきた。       だが、この男は私がグアムにも住んでいた 事を知ると、一寸黙ってからこう聞いた。 「サーフィン、するの?」        エッ、何でそんな関係ない事を聞くんだろう? 私はしないと答えた。すると、   なぁんだといった風に、一寸ガッカリした感じだった。               それから、私がお酒を飲んでいたので何を どれ位だとか、何を一緒に食べたかとも  聞いた。              

そうこうしてる中で、私は思った。これ、 この人がここではリーダーで一番偉いんだから。だからもし嫌われたりしたらもっと面倒臭くなったらどうしよう、と。      それで私は、お酒が入っている事もあり、 饒舌になった。そして、何か興味を持って いる様なので、グアムやアメリカにいた時の話を色々とし始めた。それは日常的な事や向こうでのテレビ番組の話等だ。      段々とエスカレートしてきた。何しろ長い!いつまでも警官達は家の周りを歩き回ったりメジャーで地面を図ったりだとか、私には 皆目理解できない事を一生懸命にしている。だから話す時間はうんとある。      勿論、小松菜は相槌を打つとか返事はしない。恐らくはしてはいけないのだ。だが、 面白いだとか、馬鹿みたいな話をすると目が笑ったり、じっと聞き入っているのは分かる。たまに笑いをこらえているのも。   そして、話はうちに数年前に出入りしていた職人の話になった。私が海外から戻り、  まだ 一年経つか立たないか位だったかも しれない。その時に家に少しの間出入りしていた、やはり30代の男の話をしたのだ。 この男、巳や呑んサンについて、私は愚痴った。                  小松菜は面白そうに聞き入った。     巳や呑んは真面目な、元が田舎出身の青年だが頑固な一面もあり、普段は無口だが一旦 何か取っ掛かりがあるとかなり饒舌になった。体型は普通で、顔は地味でコケシ系。 そしてこの彼には少し困る所があった…。 仕事は 一応一生懸命にやるのだが、携帯が鳴ると落ち着かない。気になり、出る。  ベラベラと話す。中々切らない、と言うか 切れない。嫌だなぁ、私はそう思った。(後から、注意して止めてはもらったが。)  又、来る当日の朝の9時にいきなり電話が あり、今日行くと言ったその時間にはどうしても無理だと言う。だから、できたら時間を変えてくれと頼みまくる。いきなり そんな事を言われても困るから、理由を聞くと、 急用ができたとか緊急なんで、と言うだけの説明。何回か聞いても同じ返事だから、仕方ないから時間を変えて当日来てもらう事にした。これが一回あった。         結局、後日探りを入れて分かったのだが、 彼には付き合ったばかりの彼女がいた。  自分が住んでいる所の近くの道を、もう一人の仕事仲間と歩いていると、声をかけられた。お店に来ないかとか何とか。     独身で彼女がいないし、それじゃあと、執拗に誘う二人組のフィリピン人ホステスの誘いに、彼等は興味本位に付いて行ったとか。 続く…

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