第10話

Y-警察署へ入る。受付があり、中には机が幾つかあり、その中の一つにはあの白髪メガネがいて、私に親しそうに声をかけながら出て来た。                 そして私を奥の部屋へ通した。細長いデーブルがあり、そこの椅子に座る様にと言った。そして、もう一人を呼んで来るからと言って出て行った。ドアは開いたまま。直ぐにブルが入って来た。何故かメモ用紙とペンを持っている。だがここは取り調べ室ではない。 そしてこの隣の部屋には、ドアが開いていたから少し中が見えたが、若い制服警官が何人かいて、立っていたり、座ったりしていた。彼等の待機室なのかもしれない。     白髪メガネも手にデジカメを持っていた。 彼がブルの事を、小松菜の上司だと説明する。何故この間言わなかったのだろう?  私はデジカメを見ながら、写真を撮るのかと不思議に思い、聞いてみた。だが笑いながら違うと言われ、逆に見せるんだと言う。そして、小松菜の耳の写真を一枚見せられた。 抜糸したばかりらしい耳の裏側。     白髪メガネはそれを私に見せながら、本人に聞いても「もう痛くありません。」と言った、と言う。そして「後はお前、自分で払え。」と言ったら、「はい、分かってます。」と返事をしたと。            だから、あの日の後に通院した分は自分で払ったそうだ。そして、「今お金を持って来るから。」と言うと、部屋を出て行った。そして幅の広い、薄い茶色の封筒を手に持って戻ると、私に渡した。封筒には鉛筆で何か記入してある。               お預り) 80,740 円     4/28   27,820 円         5/1    6,030 円          5/7    3,330 円         お返し  43,560 円               と、書いてある。            結局、私は ¥37,180を取られたと言うか、払った訳だ。とにかく、嬉しい。悪いが、8万円ナンテ私には大金だから!!  その封筒の中のお金を確認する様に言われた。                  その後、私はこの二人と少し話をした。白髪メガネが私に頼んだ。この事を人に話さない様にしてほしいと。自分、愛薔薇(近い名前)に免じてと。そうしたら自分達も、もうこれ以上は突っ込まないし何もしないからと。                  だから、一体何を言っているのかと驚いた!何か交換条件の様だが、私は別に調べられてまずい事はしていない。だが、恐らく何か大麻とかでもやっていると思ったのかもしれない?!私が数年前に海外に住んでいたからかもしれないが。アメリカ本土とグアムにいたからだ。何故私が海外に住んでいたのかをその時にも聞いたりしていたから。     だから小松菜を家に入れたがらなかったのも、そうした理由もあったからと、勝手に思ったのかもしれない! だから、私は確か こんな風に言った。           「何か交換条件みたいですけど、そんな風になりませんよ。だって私、何も調べられて困る様な事、してませんから。麻薬なんかもやってませんから。だから別に調べたって平気ですから。何か、勘違いしてるみたいですけど。」                  愛薔薇は気まずそうに黙った。ブルも何か嫌な顔をして黙っていた。ちなみにブルの名前は聞いていない、言わなかった。愛薔薇さんの名前だけは知った。          続く…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る