機械に殺される未来
葵菜子
便利と危険の天秤
近年、全世界で民間政府問わず急がれるるAI化・電子化。皆さんの生活の中にも必ず電子機器はあるはずです。テレビやスマホ、IHに洗濯機。これらが無い家の方が珍しいくらいです。さらに掘り下げば、クレジットカード・仮想通貨なんて物も電子化の産物であり、便利なものであります。現代を生きる人間にとって、電子機器は無くてはならない存在だと言えるでしょう。
しかし、当然ながら便利なものにはデメリットがあるものです。特に日本は災害大国ですから、災害による停電やライフラインの停止を受ける機会が他国より圧倒的に多いです。最近で言うと北海道地震や、少し前だと東日本大震災。北海道地震は記憶に新しい災害です。停電により火力発電所が停止し、水力発電等の自然エネルギーを利用した発電方法に頼った結果、電力不足を起こし停電となりました。幸いこの時期は冬ではなかったので、道民の多くが凍死する事は避けられました。しかし、あと一歩時期がズレていたらとんでもない被害をもたらした災害となったでしょう。北海道には原子力発電があり、地震時もこの原発に大した異変は確認されていませんでした。原発は頑丈に作られており、ある程度の地震には耐えられます。豪雨や豪雪、台風なんかでもビクともしません。東日本大震災の経験から殆どの原発が稼働を停止していたため、北海道原発も満足に発電できる状態ではなかったので、このような大規模停電となったのです。
以上から分かるかと思いますが、日本は電子化に弱い国です。それは災害時における安定した電力供給手段が確立されておらず、対応策も十分練られた状態ではないからだとも言えます。北海道地震当時もATMが使えない、クレジットカードが使えない、テレビも見れないしスマホも充電出来ないと困る方が多くいました。特に現金がなかった方は買い物もできませんし、スマホの電池が切れた方は今どのような状況なのかも調べたり連絡も出来なかったわけです。
日本政府は民間企業に対し電子決済化を急がせています。これは外国人観光客が日本に来た時、簡単に支払いができるようにする為です。しかし、これはあくまで外国人観光客が来る観光地が率先して行えば良い政策であり、地方や田舎でもやるべきなのかは疑問が残ります。仮に大災害が起きて電力供給が停止したとします。その時電子化された商店はどうするのでしょうか。
世界的に見ると、日本は現金保有率が高く、中国や韓国ではQRコードや電子決済が盛んです。電子マネーは現金に比べ、使ったという感覚が少ないため、躊躇わずに物を買ってしまうというデメリットがあります。もちろん素早く決済できるというメリットもありますが、お金を簡単に使ってしまいクレジットカード等電子マネーの決算日に支払えないという結果になってしまえば元も子もありません。それに、上記したように電子マネーオンリーでやれば、災害時に苦労します。タンス預金をしろと言っている訳ではありませんが、それ相応の対策は必要だと断言する事はできます。
AI化というのは便利なものです。企業にとって人員削減やコストカットに繋がり、最終的に効率化になり利益も上がります。現在の日本は極度の人手不足と言われています。そこで活躍するのが仕事のAI化です。本来人がやるべき仕事をAI(機械)にやらせるので、雇う労働者や手間が減る。聞こえはとても良いですが、本当にこのまま進めてい良いのでしょうか。
というのも、人手不足とは言いますが、少子高齢化で人口は減り続けています。つまり、あと十数年もすれば需要に対して人が余ることになります。そうなった時に1番最初に切り捨てられるのは何か。人間の労働者です。機械は初期コストこそ高いですが、ランニングコスト(保守運用費)はそこまで高くありません。人間の労働者は月々給料を支払う必要がありますが、機械に高い給料を支払う必要はありませんよね。
レジのAI化はかなり進んでいます。スーパーなんかも「お支払いは機械で」というのが結構多くなっています。こういう所からじわじわと雇用数が減っている。このまま技術が進歩すれば、殆どの作業で人間が不要になり、失業率が上がるでしょう。
2045年問題という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは2045年代になるとAIが人類より優秀になり、我々生きる人間に取って代わり文明を発展、またはAI独自の文明を生み出し人間社会を担う可能性が出る技術的特異点の事です。”Detroit become Human”というゲームがあります。このゲームの世界は2035年頃に、人間の脳や体を模したAI(ヒューマノイド)が人間生活を手助けする反面、人間に支配され続けるままでいいのかと悩み、反乱を起こすというストーリーになっています。このゲームの世界でのAI(ヒューマノイド)はほぼ人間と変わらず、見た目も考えも人間そのものです。そのため人間ができる仕事は全てAIが担当するという事態になったのです。失業率は35%まで上がり、軍隊の多くもAI。「AIに仕事を奪われた!」と怒り反AIデモを起こす人間も当然出てきます。このような事態が2045年頃には我々が生きる世界でも起こり得るのです。そうした時、国や私たち民間人がどのように行動するかはまだ予測が出来ません。ただ、このような事態が起こる可能性はとても高いと覚えておくと良いでしょう。
最後に、電子化というのはとても便利なものです。現にこうやって文字を羅列しているのもスマホであり、電子機械です。とても便利な生活を送れるのは電子機械に依存しているからであり、依存すればする程そのしっぺ返しを受けた時に痛いダメージを受けるということでもあります。機械というのは便利ではありますが、頼りすぎるというのも危ないのです。今後AIが発展する中で、我々人類がどう機械やAIに付き合うか問われることになるはずです。その時最善の答えを導けるかは、その時を生きねば分からないでしょう。
機械に殺される未来 葵菜子 @fuwafuwamodern
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