第3話 ミルクセーキの清涼感
あんだけ威勢よく食事に行こうと誘われたわりに、桜木遥人は東京もん。
九州の料理店なんて知るはずもなく…。
とりあえず、私は10分待たされて暑かったので、
冷たいものが食べたくて、ミルクセーキがある喫茶店に入ることにした。
「何これ?!」
「ミルクセーキだけど?」
「かき氷じゃないの?でも、それにしては背高くて細長いグラスだし。一番上にさくらんぼで、氷の上にミルク?か。美味しそう!」
「は?フツーじゃないの?」
「知らないよ!…うん、シャリシャリして美味しい!」
「そうなんだ。東京にはないんだ。」
「ないよ!」
「最近食べてなかったけど、小さい頃に食べてたな。久々に食べるとやっぱり冷たくて美味しい。」
「へー。日向にとっては懐かしの味って感じ?」
「まあ、そうかな。」
「ずっと食べ続けると…冷たっ!歯にしみる…。でも、美味しい!」
さっきまで非常に強引に誘ってた男の子とは全然違って見える。
意外と素直なんだな。
東京の人なんて、九州のことバカにしてると思ってた。
地元の食べ物が、しかも自分が昔食べてた味が受け入れられるってなんか嬉しいもんだな。
私の心の中で、氷が、すっと溶けていった。
私の心の中に、冷たくて、涼しさが残った。
ミルクセーキの清涼感だけではない気がした。
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