第5話【夢を見るな現実を見ろよ】


 僕は思わず顔を再び机へ伏せた。


 まともな品種というか、人種はどうやら僕だけみたいだった。


 8等身の巨乳美人な『鳩』。

 もはや粒が美しい『米』。

 そしてその横には絹の様に決め細やかな『豆腐』らしき物体もいた。


 とんだ勘違いだ。

 ここは動物園ではなく、食べ物のテーマパークでしたよ。


 その後、一度も起きることはなく放課後を迎えた。


【夕方の教室】


『ねぇ、君――具合悪いの?……大丈夫?』


 気絶するように眠っていた僕は、朦朧とする意識を無理矢理ではあるが覚ましながら、声の主……の足だけを見て話した。


 ビックリ仰天の顔を見たら、また気絶しそうだからな。

 薄れている視界から見えるその子の足は、華奢ながら手入れもされており、『綺麗』と言う他ないだろう。


 うん。ここまでは完璧だ。


 好奇心の収まらない僕は【パンドラの箱】を開ける冒険者の様に、恐る恐る、脚→腹→胸→首→数秒の沈黙→顔の順で見た。


 はははっ嫌な予感は当たっていたよ。


 普通にと言うか自然な形もとい、大自然が似合いそうな羚羊カモシカがいたんだ。


 信じられないと思うが、真新しい制服に少しだけ、歯形が見える祝いの花を付けている


おまけにモジモジと悩ましいポーズで立っていた。

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