第3話【担任と自己紹介その2】


 隣から綺麗な声が聞こえてきた。


『ばれ……てるよ……君、呼ばれてるよ?』


 俺は、驚いて立ちあがると顔を真っ赤にしながら自己紹介をする。


「こここ、こんにちわ!!只野ただの人間ひとまでつ!!よろちくおねがががが……」


 教室には笑いと鳴き声が響き渡る。


 俺は背中で指を差されている気がして、急いで着席と共に顔を机に伏せる。


 席順が最前列で担任の目の前であり、教壇の死角のお陰で上手く隠れた。


 自分の腕の中で、「やらかした……」と想っていたら、隣の女の子から『大丈夫?』と声を掛けられた。


 俺は腕の隙間から横目でその子を見る。


 あぁ、分かるよ。俺の審美眼は素晴らしいほど冴えているからな。


 前後へ揺れ動く【豊満】な【胸】とシャープなボディライン。

 そこから出る天使のような声質。


 可愛らしい灰色とアクセントの緑が映える、学生服を身に纏っているようだった。


 すると―名前を呼ばれた隣の女の子は、立ちあがり自己紹介をし始めた。


 あぁ、立ち姿までも美しい上に、胸の出具合が丁度いい。


『皆さん、これからよろしくお願いいたします。私の名前は種好たねすきキュウコと申します。明るい学校生活を共に歩みましょう!!』


 クラス中が拍手をし、俺だけしない訳にもいかないと思い、体勢を起こし隣の子を見ながら拍手をした――ら?


 つぶらな瞳に豊満で机に乗りそうな胸、顔は小さく、それでいて足が細い子が我が物顔でこちらを見ていた。


「種好……さんですよね?」


 俺は目を丸くし驚いてそれしか出なかった。

 元気な声で彼女は答えた。


『ハイッ!!ですけど?』


 文字通りと言うか、見た目通りと言うか鳩子と書いて〝鳩子きゅうこ〟。


 そう、紛れもない鳥類……良く公園でいるような鳩が俺の隣の席で座っていたのだ。


「えっ!?」と驚いて更に奥を見れば、日差しを浴びながら欠伸をする制服姿の猫が窓の外を眺めている。


 あちらではリボンを着けた猿とワイルドヤンキーな犬が口喧嘩をしていた。


「え、ちょま、ここどこなの!?」


 ※作者に聞いても分からなかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る