第2話【担任と自己紹介その1】


 校長もとい大根の話は、とても上手ではなく、言うなれば下手くそだ。


 俺は正面で人間の言葉を話す大根に、驚きと共に間違った選択をしたと確信した。


 そこからは、あまり覚えていないのだが、気付けば登竜門とされる入学式が終わっていた。


 あらかじめ決められたクラスにいて、自分の席へ着いていた。


 視界がうつろでかなりボヤけているが、前方の入り口から先生らしき人物が入ってきた。


『皆、これから3年間よろしくな!!』と、かなり爽やかに言っている。


 呆然としながら周りを見渡せば、様々な色が視界に見える。


 恐らく、制服や髪の毛の色だろう。

 皆、慌ただしく動いているよ。


【白色】、【灰色】、【茶色】、【緑色】……etc


 うん、普通な色合いだな。

 そう、呑気に考えていると号令が聞こえた。


『起立、礼、着席!!』


 透き通った声に従い終えると、担任は出席を取る。


 俺は自分の番まで時間がかかりそうなので、シャーペンを回しながらそれをラジオ感覚で聞いていた。


 尚、まだ頭が痛い。


 聞いたところクラスの人数は、総勢25名であり、男女比2:8らしい。


 これから俺の人生を薔薇色に彩るハーレムが始まると思うと、ドキがムネムネしてしまいそうだ。


 まぁ、さっきの【大根】とやらも俺の見間違いだろうな。


 実は、美白過ぎる肌で緑色の頭髪が自慢なワイルドおじさんだと、勝手に解釈していたら事件は起こった。


 この教室で――


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