第二十四話 ミミック、感心する


「ただいま帰りましたわ、ドラン様」

「帰りました!」


 屋敷の庭に出現した次元の穴から、ロベリアとハルコが颯爽と現れた。

 俺とウルスラは二人でそれを迎え、同時に感心の声を上げる。


「おおーーー」

「さすがは次元龍だね」


 二人の後に続いて、初めて見るモンスターがぞろぞろと現れた。


 先頭は大きな狼のような姿をした魔物だ。

 白銀の毛と、黄色いたてがみ、それが擦れるたびにバチバチと青い稲妻が弾ける。

 鋭い爪が地面を砕き、剥き出しの牙は岩でも噛み砕きそうな迫力だ。



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『』

種族:フェンリル S


HP(生命力):A

MP(魔力):B

ATK(攻撃力):S

DEF(防御力):B

INT(賢さ):B

SPD(俊敏性):SS


固有スキル:【一匹狼】【疾風迅雷】

習得スキル:【雷属性無効】【麻痺攻撃強】



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 次に出てきたのは、二本足でゆっくり歩く機械人形のような魔物だった。

 手足の関節から歯車が覗き、黒を基調にしたマグネシウムのようなボディが輝いている。

 穏やかそうな顔に反して、身体の節々に埋め込まれた鉱石が紫色に妖しく光っている。



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『』

種族:ダークゴーレム S


HP(生命力):S

MP(魔力):C

ATK(攻撃力):SS

DEF(防御力):SS

INT(賢さ):C

SPD(俊敏性):C


固有スキル:【要塞】【ヘビー級】

習得スキル:【全属性軽減】【状態異常耐性大】【ステータスダウン抵抗大】



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 最後は燃える翼を持った、四つん這いのモンスター。

 鷲の頭と前脚、焦げ茶色の体毛、下半身はライオンのようだ。

 二枚の翼を器用に畳んで、次元の穴からサッと飛び出してくる。

 鈍く光るくちばしと不気味な三つ目が恐ろしい。



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『』

種族:バーングリフォン S


HP(生命力):A

MP(魔力):A

ATK(攻撃力):S

DEF(防御力):A

INT(賢さ):A

SPD(俊敏性):S


固有スキル:【千里眼】【闘争心】

習得スキル:【火属性無効】【凍結無効】【風属性無効】【麻痺無効】



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「ざっと、使えそうな魔物を作ってきましたわ」

「ハルコ軍団結成ですよ!」


 ロベリアとハルコは、並んで得意げに胸を張った。

 三体の魔物の列の後ろから、ツバキとマチルダがくたびれた足取りで出てくる。


「ぬしらはほぼ何もしておらんじゃろう」

「まったくだ。私とツバキにばかり戦わせていたくせに」

「なんですの、人聞きの悪い。わたくしが眠らせたおかげで捕獲ができ、ハルコのおかげで移動が楽でしたのよ」

「ぬしらの仕事量が少な過ぎるじゃろうが」

「適材適所ですよツバキさん! 僕が戦いに参加したって、足手まといになるだけなんですからね!」

「偉そうに言うな」


 なんとも賑やかだ。

 最初はメンバー的に少し不安だったけれど、どうやら仲良くやれていたらしい。

 ハルコの存在が大きいんだろうな。

 こいつがいるとなんだか、和むし。


「ではマチルダ、この三体の躾は任せましたわよ。わたくしはシャワーを浴びて休むことにしますわ」

「貴様にこき使われる筋合いはない。ハルコ、お前の仕事だ」

「ええっ!」

「ハルコ軍団なのだろう? 自分の部下くらい自分で教育するのだな」

「そ、そんなぁ……」

「ではなハルコ。妾も湯浴みじゃ。行くぞマチルダ」

「うむ」


 すっかり仲良くなったなあ。


 初対面の時はギスギスしてたのに、今じゃ普通に一緒に行動している。

 特にマチルダとツバキは二人とも武人気質だからか、仲良くなるのが一際早い。


 そのまま三人は一緒になって大浴場の方へ歩いて行ってしまった。

 ハルコはその姿を恨めしそうに眺めたが、なんだかんだ言って張り切っており、さっそく三体の魔物達を屋敷一帯の案内へ連れて行った。


「また賑やかになるね」

「ああ。やっぱり、守るちからが必要だな」

「その通り。それじゃあ、続きをやろうか」


 ウルスラに促され、俺たちはまた少し距離を取って向かい合った。


 みんなが配合遠征に行っている間、俺はウルスラに魔法の稽古をつけてもらっていた。

 このことがマチルダやロベリアに知れると色々とまずいので、基本的には内緒なのである。

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