135 片空の涼しき風や…… 文法、句切れなし、本歌取り

――――――

  晩夏の風を


片空の 涼しき風や 今吹きて 夏のいほりを たづねそむらむ


・かたそらの すずしきかぜや いまふきて なつのいおりを たずねそむらん

――――――――――


[通釈]

 晩夏の風を詠んだ歌

 夏空にまざる涼しい風よ、お前は、今吹いて、そうして、夏模様のわたしの家を訪ね始めているであろうか。


[補註]

・文法…結句「らむ」→視界外の現在推量を表す。

・句切れなし。


―――――

片空の 涼しき風や 今吹きて 夏のいほりを たづねそむらむ

―――――――


[本歌取り]

  六月の終りの日に詠んだ歌

168 夏と秋と行きかふ空のかよひは片へ涼しき風や吹くらむ

◯夏と秋とが、今夜の夜半に行きちがふ空の通り路は、その片方だけが、秋の涼しい風が吹いているであろうか。

   みつね

『日本の古典 10 古今和歌集 新古今和歌集』河出書房新社「古今和歌集」、整形引用者。



(令和元年七月十三日)(二〇一九年)(夏歌なつのうた

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