【夏の終わり】

133 吹く風に色は見えねど…… 句切れなし、本歌取り

――――――

  晩夏に百日紅さるすべりといふことを


吹く風に 色は見えねど 百日紅さるすべり うつろふ影に 秋ぞ知らるる


・ふくかぜに いろはみえねど さるすべり うつろうかげに あきぞしらるる

――――――――――


[通釈]

 晩夏にサルスベリ、という取り合わせを詠んだ歌

 吹く風に秋の兆しは見えないけれども、サルスベリの、風に吹かれて色あせていく花の姿に、秋が自然と感じられることよ。


[補註]

・句切れなし。


―――――

吹く風に 色は見えねど 百日紅さるすべり うつろふ影に 秋ぞ知らるる

―――――――


[本歌取り]

  最勝四天王院さいしょうしてんのういんそうに、高砂たかさごをかいた所を題に

290 吹く風の色こそ見えね高砂の尾のの松に秋は来にけり

◯吹く風に変った色は見えないけれども、高砂の尾の上の松に吹く風の音には、はっきりと秋のひびきがあって、秋は来たことだ。「高砂」は、摂津の国(兵庫県)高砂市。

   藤原秀能ふじわらのひでよし

『日本の古典 10 古今和歌集 新古今和歌集』河出書房新社「新古今和歌集」、整形引用者。


―――――

吹く風に 色は見えねど 百日紅さるすべり うつろふ影に 秋ぞ知らるる

―――――――



(令和元年七月二日)(二〇一九年)(夏歌なつのうた

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