117 いざ参る死出の闇路の…… 初句切れ、三句切れ、本歌取り

――――――

  盂蘭うらぼんの折に、物思ひて


いざ参る 死出の闇路の 三瀬川みつせがは いづれの瀬をや さをさして行く


・いざまいる しでのやみじの みつせがわ いずれのせをや さおさしてゆく

――――――――――


[通釈]

 盂蘭うらぼんのときに、物思って詠んだ歌

 さあ、参ろう。死出の旅の先にあるさんの川に。その川の渡し船は、いったい三つのうちのどの瀬をさおさしてゆくであろうか。


[補註]

・初句切れ、三句切れ。


―――――

いざ参る 死出の闇路の 三瀬川みつせがは いづれの瀬をや さをさして行く

―――――――


[本歌取り]

  摂政太政大臣(藤原良経)の家の百首歌合に、かわを詠む

252 飼舟がひぶね高瀬さし越すほどなれやむすぼほれ行くかがりの影

◯鵜飼舟の、今、川の浅瀬の高い波を、棹さして越えてゆく時であろうか。舟の揺れにつれて、もつれかたまってゆく、かがり火の光は。

   寂蓮じゃくれん法師

『日本の古典 10 古今和歌集 新古今和歌集』河出書房新社「新古今和歌集」、整形引用者。


―――――

いざ参る 死出の闇路の 三瀬川みつせがは いづれの瀬をや さをさして行く

―――――――



(令和元年七月八日)(二〇一九年)(夏歌なつのうた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る