044 五月雨の晴るるともなき…… 掛詞、句切れなし、本歌取り

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  五月雨に虹といふことを


五月雨の 晴るるともなき 切れ間より 揺らめきのぼる かげろふの虹


・さみだれの はるるともなき きれまより ゆらめきのぼる かげろうのにじ

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[通釈]

 五月雨に虹、という取り合わせを詠んだ歌

 五月雨の晴れそうで晴れない雲の切れ間から、ほのかに光る虹が、はかなく消えやすくも揺らめくようにのぼるよ。


[補註]

・掛詞…結句「かげろふ」→「影ろふ」と「陽炎かげろふ」。

・句切れなし。


―――――

五月雨の 晴るるともなき 切れ間より 揺らめきのぼる かげろふの虹

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[本歌取り]

  五十首歌を奉った時

235 五月雨の月はつれなき深山よりひとりも出づる時鳥かな

◯五月雨がつづき、月は待っても出て来ない山から、ただひとり出て来る時鳥であるよ。

   藤原定家朝臣

『日本の古典 10 古今和歌集 新古今和歌集』河出書房新社「新古今和歌集」、整形引用者。


―――――

五月雨の 晴るるともなき 切れ間より 揺らめきのぼる かげろふの虹

―――――――



(令和元年六月四日)(二〇一九年)(夏歌なつのうた

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