それは、そっと誰かの背中を押すような。

 家族の声すらうるさいと感じてしまう主人公。いつものように、家から逃げ出すように自販機に向かう。そこに、いつもとは違う光景があった。自販機の下に、白いチョークで、「死にたい」と書いてあったのだ。主人公は、その下に返答を書いた。
 あくる日、自販機の下に、再びメッセージが残されていた。だから主人公は、また返答を書いた。

 そして、雨。

 SNS社会にあって、二人だけのアナログ掲示板的な要素が素敵です。
 そして、主人公と誰かのささやかなつながりや、その言葉も、大変素敵でした。短編ながらも、その余韻に浸れる物語。

 是非、御一読下さい。