同窓会
ヒガシカド
同窓会
「久しぶりだな田中!美大を卒業してからの活躍ぶり、話に聞いてるよ」
僕は久々に同級生の田中に会った。場所は彼が個展をおこなっている画廊だ。
「千原、久しぶり。同窓会で会えなくて残念だったよ」
「すまんな、法事と被っちまった」
数ヶ月前に催された同窓会に、僕は行けずじまいだった。田中によれば、同じクラスだったほとんどが来たらしい。不参加はクラス三十五人中、僕を含めてたった三人。
「今回の作品は、実は同窓会がテーマなんだ。まあ中に入って見てってよ」
僕達は画廊へ入った。時計回りに作品を見ていく中で、僕はあることに気づいた。
「これ、モデルは僕らクラスメイト?」
「あたり!」
「安藤、飯岡、尾崎、加藤、神崎、北野…皆いるじゃないか!」
「正確には皆じゃない。私と千原、それに坂上と水野はまだ未完成なんだ」
「なぜ?」
「同窓会に来なかったから、モデルにする許可をもらえなくて。やっぱり面と向かって頼みたいし」
「僕をモデルに?嬉しい!ぜひ使ってよ!」
よく見ると、作品と作品の間隔が異なる場所がある。ほどなく僕は、田中が作品を名前順に配置していると理解した。
「ありがとう、すごく素敵な展覧会だったよ。ところで一つ聞いていいか?僕は全然芸術に詳しくないんだけど」
「何だい?」
「どうして皆驚きの表情を浮かべているんだ?なんの意味があるんだい?」
「それはね、
今私に殺される、皆そんなこと予想できないからさ」
あと二人。
同窓会 ヒガシカド @nskadomsk
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