219話 お買い物

「ふんふんふ〜ん。清水寺よかったね」


「そうだな。実際にあそこに立つのもいいけど外から木材の骨組み見るのも良かったし、パンフレット通りだったよ」


「ね〜。えへへ。祐く〜ん」


すりすり


俺たちは地主神社と清水寺を堪能して来た道を降って行っている。お土産の物を買ったり食べ歩きしたりしようってことになってる。


その道中葵はずっとこんな感じだ。ずっと嬉しそうな顔をして最初は手だけを握っていたのにいつの間にか腕を組んでほっぺたをすりすりしている。


「葵、ちょっとくっつき過ぎじゃないか? 嬉しいんだけど人も多いし他の人にぶつかったらいけないから」


「もう仕方ないなぁ。じゃあほら、指と指を絡めて……腕ももっと寄せて」


「葵やっぱり地主神社の相当嬉しかったんだ?」


「うん! もう今も心がぽかぽかしててね。今祐くんとずっとくっついていたくて。離れたくないの」


「なら……仕方ないか。ほら葵。人にぶつからないように気をつけて。もっとこっちに」


「えへへ。祐くんそうして私のこと大切にしてくれるから好き……」


とまぁそんなこんなあって俺たちは行きで見つけた生八ツ橋屋さんに到着した。


いろいろな種類があって葵はぐるぐると店内を見渡しながらニッキのやつだったり抹茶のやつだったりを見比べている。


「どれにしようかな。お母さんたちの分もだけど私もたくさん食べたいし。やっぱりニッキは外せないとして後は……」


「おいおい葵。結構もう積まれてるぞ」


ぶつぶつ言いながらひょいひょいと箱を取っていく葵。カゴにはいつの間にかかなりの量の八ツ橋が積まれていた。


「だって仕方ないもん。私もたくさん食べたいけどお母さんたちもたくさん食べるだろうし。それに種類も多いからさ。どれも試してみたいの」


そう言いながらもまだ葵の手は止まらない。次々とカゴに入れていく。


「ふぅ。これくらいで十分かな」


カゴいっぱいに積まれた生八ツ橋をレジへと持っていく。店員さんもちょっと引いている。


「これだけどうするんだよ。まだ行くところたくさんあるのに」


「これ配達お願いします」


「その手があったか」


「ふふん。祐くん今の時代はこういうことが出来るんだよ」


「いや知ってるよ。俺をいつの人だと思ってるんだ」


葵は店員さんに言われた通りに用紙に住所を記入した。お母さんたちもびっくりするだろうな。こんなに沢山の八ツ橋が届くなんて。


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