218話 お守り
「えへへ〜祐くんとこれでもっと一緒に居れる〜神様のお墨付き」
無事に辿り着いた葵はとても嬉しそうにはしゃいでいる。その顔はすっごく嬉しそうで思わず抱きしめてしまった。
「もう祐くんったら。でも私も嬉しいからこうする」
そう言って葵の方からも俺をギュッと抱きしめてくれる。そして耳元で囁いた。
「今、私が頑張ってくれたから次は祐くんの番だね。私もしっかり応援するからね」
葵に言われて俺も目を瞑って準備する。あ、確かにこれはちょっと怖いかも。
「どう祐くん。不安になるでしょ?」
「いや、これくらいなら……」
「そんな無理言わなくても大丈夫! 怖くて立てない祐くんしっかり写真に撮っておくからね」
葵が楽しそうに言う間に俺はスタスタスタと歩いていく。俺なら10メートルくらいなら目を瞑ってでも真っ直ぐ歩くことは簡単だ。
「えっえっ? 祐くんなんでそんなに余裕そうに歩いていけてるの?」
葵が不思議そうな声を漏らす間にも俺は一歩一歩歩く。そしてコツンと足元に何かがぶつかったところでしゃがんでみる。
「ゴール」
そこには対面の石がしっかりと鎮座していた。
「すごい祐くん。こんなあっという間に行っちゃうなんて」
「だって一回でしかも早く着けば葵ともっと早く結ばれるかもしれないだろ? だから頑張っちゃったよ」
「祐く〜ん! そんなこと言ってまだ私を惚れさせるつもり!? 私はどれだけ祐くんにキュンキュンしたら良いの」
「そんなこと言われても。俺はただ葵のことについて一生懸命なだけで」
「またそんなことゆー! そのまで私をドキドキさせるなら私だって負けないからね!」
何故かやる気になった葵。でもすぐに俺の手を取って次は売店に行こうと言ってくる。
「祐くんたくさん恋愛成就のお守りがあるね。全部持って帰りたいくらいだよ」
流石にそれはやりすぎだと思いながらも分からないでもないなぁと思ってしまった。
ここのお守りどこの物よりご利益ありそう。
「どれか1つに絞らないといけないね。これも可愛いし、こっちの感じもいいし迷っちゃうよ」
「葵はお揃いが良い?」
「そうだね。ここは絶対お揃い!」
そういって悩んで決めたのはピンク色の真ん中にハートが刺繍されたお守り。そんなに凝ったものじゃあない。
けれど1番良いと感じたものだ。
「えへへ〜。祐くんと一緒のお守り〜祐くんからもらったペンダントと肌身離さず持っていよっと」
すごく嬉しそうな葵を見ているだけで幸せになる。ほんとここに来てよかった。
葵と俺の仲がさらに深まった気がした。
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