215話 いざ清水寺

「うーん! お蕎麦すっごく美味しかったね!」


「しっかり風味があってほんと美味しかった。ただちょっと高校生には高いかな……」


 本当に美味しかったけれどさすがだなって思う金額。でも修学旅行の今くらいそんな金額は気にしないのだ。


 お店を出ると後は清水寺へ一直線。人もかなり多い。


「あ、祐くん祐くん! 生八ツ橋! 生八ツ橋!」


 と、ここで葵が生八ツ橋の専門店を見つけた。あのホテルで試食して以降大好きになった葵にとってここは最高な場所だろう。


「たくさん種類ある! もう買って行こうかな。お母さんたちにも食べて欲しいからたくさん買わないと!」


 お店の中をぐるぐるしながら大はしゃぎの葵。思っていた以上にテンションが上がっててちょっと驚いた。


 八ツ橋がここまで葵を変えてしまうなんて。八ツ橋の力恐るべし。


「葵、生八ツ橋は清水寺行った後にたくさん買えるから今は我慢だよ」


 俺が言うとしぶしぶといった感じで葵はお店から出てきた。


「ほらほら後でぜんざい買ってあげるから。温かいぜんざい美味しいと思うよ」


「し、仕方ないなぁ祐くん。ぜんざいにのせられたわけじゃないけど祐くんがそこまで言うなら行くしかないね」


 完璧にぜんざいにのせられた葵がまたぴったりと俺の横にくっつく。  


「ってか葵さっきお蕎麦食べたばっかりなのにぜんざい食べて大事なの?」


「前にも言ったでしょ? 甘いものは別腹だって」


「女の子の別腹ってすごいなぁ。芸人の潰せば0カロリー理論もそうだけど」


 世の中不思議なことでいっぱいだ。探せばまだたくさん出てくるんじゃないだろうか。


 まぁそんな変なことを考えるのはやめておこう。


「祐くんまた生八ツ橋屋さん!」


「はいはいわかったからね〜。葵こっちだよ〜」


 こうして葵と歩くこと15分。そこで目に入って来たのは大きな仁王門。ばっちり写真を撮って三重塔を見ながら境内へ。


「すっごくわくわくするね! あれだけ有名な清水寺の本堂だよ! 清水の舞台とか言われてるあの!」


 はやくはやくと急かす葵を落ち着かせて早速入っていく。


 入ると思ったよりはやく本堂に到着した。


「わぁ。ここが超有名な場所なんだ。見てみて! 本当に下見ると怖いよ。すっごく高い」


「本当だ。思ってた以上に高い感覚だよ」


「ん? あれ、祐くん思ってたよりテンション変わってないね。もっとうっひゃー! ってなると思ったのに」


「葵は俺をどんなやつだと思ってるんだよ。今でも俺はめっちゃ感動してるけどすぐそこに他の神社があってね。そっちに気が逸れてたんだ」


「へぇ。どんな神社なの?」


「縁結びの神様の神様ですごく有名な地主神社」


「よし! 祐くんはやく行こう!」


 その言葉を聞いた瞬間、葵はサッと振り返ってその神社に行こうと言い出した。

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