214話 清水寺へ

「なんだかこういう道ってさthe京都って感じするよね」


「たしかに石畳で一本道。古い街並みがそのまま残ってる感じ。雰囲気があるよね」


「あ、着物着た人がいる。すっごいきれい」


 周りの雰囲気を楽しんでいると向かい側から着物を着た人たちが。


 やっぱり着物とこの街並みってベストマッチだな。


「葵も着物着てみたい?」


 葵が着物を着たところを想像してみる。贔屓目なしで絶対似合うな。葵がこの道を着物着て歩いたらみんな振り向くだろうなぁ。


「やっぱり着てみたいよ。女の子の憧れだよね。でもそれなら私は祐くんにも着て欲しいな」


「え? 俺も?」


 絶対似合わない気がする。男の着物は威厳とかそういうものを感じさせるけど俺には全然そういうのないし。


「祐くんが着たらすっごくカッコいいと思うの! それで腕組んでさ。考えたらほんとに着て欲しくなっちゃう。今回は無理だけど将来また来た時は絶対2人で着ようね」


「俺、自信ないんだけど葵がそこまで言うなら着てみても良いかな」


「なら約束!」


 と、2人で約束してまた石畳の道を歩く。途中人力車が走っていてまた葵がはしゃいだり可愛らしい小物店でキャッキャしたりと目的地に着くまででもかなり楽しんでいた。


 そしてまた歩くと急に現れたのは五重塔。びっくりした。こんな古い街並みの並んだところに五重塔。それもかなり立派だ。


 しっかり写真を撮ってまた進んでいく。清水寺に近づいていくにつれて人もなんだか多くなっている気がするな。


 そしてさすが見どころが多い京都。そこらかしらにカップルがいる。みんな仲いいなぁ。


「私たちだって負けてないってところを見せつけちゃおっか」


 俺の心を読んだかのようにそう言ってさっきまで手を握っていたところを腕まで絡めて来た。


「大丈夫大丈夫。みんなこんな感じだもん。それにちょっとでもくっついていた方が寒くないでしょ?」


「たしかに温かいけどさ。うーん。蕎麦屋さんに着くまでだぞ」


「そういうところやっぱり好き。でもなんならお蕎麦屋さん出た後もこうしたいな」


「っ〜〜! ま、まぁ今日は寒いし葵の手袋がないなら今日だけだぞ」


「えへへ。ならもうずっと手袋なしでもいいかな」


「そんなことしたら霜焼けとかになっちゃうぞ。女の子のなんだから特に気をつけないと」


 俺は霜焼けになったことはないけれどなったらけっこう大変だと聞く。かゆいとか痛いとか友達が言ってた。


「大丈夫だよ〜。祐くんがずっと温めてくれるもん」


「なら俺も葵に温めてもらおうかな。って蕎麦屋さん着いちゃったよ」


「じゃあ続きはまた後でだね」


 とか言いながらガッチリ俺の腕をホールドしながら俺たち2人でお店の暖簾をくぐった。

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