211話 銀閣へ

「楽しみだね祐くん! 銀閣とか教科書でしか見たことなかったから実際に行くとどんな感じなのかな」


「俺もどんな感じなのかは詳しく調べてないんだよね。やっぱり葵とちゃんと一緒にいろいろ見たいから。でもバスとかルートはめっちゃ調べておいたからしっかりエスコートするよ」


 いざとなったらスマホのマップ機能を使えばいい。スマホ便利すぎ。


「祐くんかっこいい! 頼りにしてるからね。私、こういう乗り継ぎとかマップ見るのとか苦手で」


「それは知ってるよ。だからバス降りたら手を離すんじゃないぞ。人も多いしね」


 何故かわからないけど葵は地図を見るのが苦手だ。とはいっても北と南を逆にしてしまうとかほどではないけども。


「それより葵さん」


「なんだい祐輔さん」


「バスの中くらいは手を離していいよ?」


 バスの中は人が少なく2人席に座ることができた。そこまではよかった。座ってスマホのマップを確認しようとして葵の手を離そうたのに何故か手が離れない。


 理由は簡単だ。葵が離してくれなかったから。それだけ。


「だって祐くんが離すなって言ったし。一度握っちゃったらなかなか離せない」


 冬の朝に布団から出られないのと同じだなんて葵は言ってる。うん。そう言われちゃったら仕方ない。


「それでそれで。今からどんなルートを行くの?」


「銀閣寺道ってところで降りたらもう簡単にいけるから。後ちょっとだよ」


 バスのモニターにも後ちょっとだと書いてある。

 

 そこから10分くらいして目的のバス停に到着。有名なのもあるのか結構ぞろぞろ人が降りていた。


「じゃあ行こっか」


「うんっ」


 そこからは一本道を歩いて行く。


「わぁたくさんお店あるね。こういうところってよくテレビで観るよ」


 一本の坂道に沢山のお店が出ていてthe京都みたいなお土産とかをかなり売っている。セ扇子だったりTシャツだったり。


「祐くん見てみて! こっち可愛いキーホルダーがあるよ! あ、これ舞妓さんの写真だ!」


 あっちに行ったりこっちに行ったり。ぐるぐるとお店をみては楽しそうにはしゃぐ葵。


「待って待って葵。先に銀閣行くよ。お店は後からでもゆっくりみれるし、清水寺のところとかもすごいお店あるから」


「うーん。そうだね。ガマンガマン。よしっ! レッツゴー!」


 こうして俺たちは入場口へ行くのだった。

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