206話 もう両思いじゃん

「めっちゃいい風呂だったな! あとはコーヒー牛乳飲めば完璧や」


 お風呂から出た俺たちは脱衣所で服を着て涼んでいた。風呂上りに涼しい風浴びるのめっちゃ気持ちいい。


「俺も飲もっと。瓶入りのやつってなんかいいよな。口当たりがいいのかな」


 拓哉と進が自販機でコーヒー牛乳を買ったので俺も飲むことにした。


 蓋を開けたらもちろん腰に手を当ててぐびっと一気に飲み干す。


 まじでその時の爽快感。もうその時ときたらやばいものだった。


「ぷはぁー! これやっぱ最高だな! 火照った身体にキーンとくるぜ!」


「いや進、めっちゃおっさんみたいじゃん」


「そんなことないし。俺まだ十代ピチピチだし」


 なんか進がおかしくなってる。いや、最初からだったかも。


「まぁ進は放っておいて拓哉、俺たちは部屋に帰ろうぜ」


 進を置いて暖簾をくぐる。


「あ、祐くん! ちょうどぴったりだったね!」


「あ、葵。そっちも上がったんだな」


 俺たちが出てきたことほぼ一緒のタイミングで葵たちも出てきた。


 お風呂の浴衣姿はすごく色っぽくて可愛い。少し火照った感じとかもうやばい。


「えへへ。こんなところで祐くんに会えるなんてラッキー。ちょっとホテルの中見て回らない?」


「俺はいいけど一緒にいる人たちはいいの?」


 と、そこにいたのは拓哉が好きな麻倉さん! ホテルの部屋割りも自由そういえば自由だったから葵も同室の人と一緒にお風呂入ったんだろう。


 これは葵と一緒にいることもできて拓哉と麻倉さんを2人にもできる。


 葵にそんなつもりはないと思うんだけどこれはナイスだ。


「そうだな。あっちに売店もあるみたいだからせっかくだし行ってみようか。拓哉と麻倉さんは……」


「あ、私は小野くんとどこか行って見たいな。部屋に戻っても1人だし。いいかな?」


 あれ? これ麻倉さん脈アリじゃないか? これまさか……


「もっ、もちろんだよ! それならあっちとか行ってみない? あっちの方がいいかな!?」


「どっちからでもいいよ〜。ならあっちから行ってみない?」


「そっ、そうだね。じゃ、じゃあ祐輔また後で」


 そう言って顔を真っ赤にした拓哉が麻倉さんと中庭の方に行ってしまった。ちなみに小野くんって言うのは拓哉のことだ。


「2人とも初々しいねぇ。これで距離縮むといいんだけど」


「って葵、麻倉さんってまさか」


「ふふふ。そのまさかだよ」


 葵曰く麻倉さんも拓哉のことが好きでこの修学旅行で距離を縮めようと葵に相談したらしい。


 偶然にも程があるだろとか思うけどもうこれあとは2人が告れば成功じゃん。


「祐くん。私たちも一緒にどこかいこ?」


「そうだな。拓哉たちあっち行ったから売店の方から行ってみようか」


「うんっ! えへへ。ほらほら手繋ご?」


 こうして葵と手を繋いで散策に行くのだった。

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